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韓国は、12月に開催予定の日中韓首脳会談をぜひとも実現させたいと焦っている。日韓関係が正常な状態であれば、遅延することなく開催すべきであろう。だが、歴史問題を絡めてきた韓国の対日非難に対して、軽々な解決をすることは、百害あって一利なしである。韓国に日本との外交的行き詰まりがどういう結果をもたらすか、政府も民間も十分に考える時間を与えることである。

 

日本は、昨年7月から対韓国への半導体重要3素材の輸出手続き規制を行った。韓国はこれに対して、「反日不買運動」で対抗してきた。韓国は、それ以前に日本に対して行った、日韓慰安婦合意の破棄や旧徴用工問題賠償という解決済み歴史問題を蒸返し、日韓関係を根本的に破壊した。こういう、韓国自らが行ったことを棚に上げて、「反日不買運動」という感情論で対抗してきたのである。

 


韓国は、現在になって歴史問題を蒸返したことに反省の気持ちが出始めている。この「千載一遇の機会」を生かさなければならない。過去の日韓関係は、日本が日韓併合という弱味で、最後は妥協して韓国を「甘やかして」きた。そのツケが、歴史問題として際限なく繰返させている。日韓慰安婦問題では、韓国の市民団体がこれを悪用して寄付金を集めて私腹を肥やす事件まで起こっている。反日が、韓国ではビジネスとして成立する奇妙な事態を生んでいるのだ。

 

こういう腐った韓国の反日土壌を断ち切るためには、日本は韓国に対して安易な姿勢を見せるべきでない。反日をやれば、どういうブーメラン効果が起こるか。韓国社会へ考えさせる時間を与えるべきである。それをやらないから、反日運動は儲かるものとして、繰り返し引き起されるのである。そういう愚を繰り返してはならないのだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(11月28日付)は、「日中韓首脳会談開催へ努力を」と題する社説を掲載した。

 

日本、中国、韓国3カ国の首脳が、年内に韓国で会談するめどが立っていない。新型コロナウイルスや北朝鮮問題などへの対応で国際協調が求められる時期だけに、会談の意義は大きい。実現への努力を重ねるべきだ。

 


(1)「日本政府は菅義偉首相の訪韓の環境が整っていないとみている。元徴用工問題を巡り韓国で日本企業の資産が差し押さえられており、現金化という最悪の事態を防ぐのが先決だ。1965年の日韓請求権協定が揺らぐ現状を韓国側の責任で是正する必要がある。情報機関トップや韓日議員連盟の会長が相次ぎ来日し、菅首相らと会談した。新駐日大使に内定した姜昌一氏は東大で学び、革新系与党出身で数少ない知日派だ」

 

小渕首相当時に、金大中大統領と「日韓共同宣言」(1998年)を発表して、日韓新時代の到来を約束しあった。だが、たった3年間で韓国国会は、この「日韓共同宣言」を全員一致で破棄する決議(2001年)をしている。理由は、日本の教科書問題である。このように、韓国は気に入らないことが起これば簡単に両国の合意を破棄する。日韓慰安婦合意は、国家間の正式合意である。日本から10億円の資金も提供され、慰安婦の人たちに配分されていた。それを、文政権は勝手な理由をつけて破棄したのだ。日本は、こういう韓国と情にほだされて、簡単に握手することは無駄であろう。

 

(2)「日本からも日韓議連の河村建夫幹事長らが訪韓しており、菅政権誕生を機に対話の機運が生まれているのは評価できる。それでも両国間に温度差が隠せないのは根幹部分で前進がみられないためだ。韓国から聞かれる「冷えこんだ日本との関係を改善する文大統領の意志」が本物かは疑念が残る。韓国側は日韓首脳による「共同宣言」案や、日本企業の資産売却を来夏の東京五輪終了時まで凍結する案を、日本に持ちかけた。これでは根本的な解決にはならない。北朝鮮との対話再開の環境づくりを優先するようでは困る」

 

日韓が、話合いをすることは結構である。だからと言って、簡単に過去の「反日」を水に流すような「お人好し外交」は身を滅ぼす。中国は、韓国の「THAAD」(超高高度ミサイル網)が無害であることを知りつつ、韓国へ徹底的な報復を継続している。韓国が、中国から離間しないように脅迫しているのだ。日本は、中国のような脅迫行為をしてはならないが、韓国の要求に振り回される事態だけは避けるべきである。

 

(3)「日本も東京五輪の成功や日朝問題の進展に向け、韓国との対立を放置するのは国益に沿わない。米大統領選で同盟重視を唱えたバイデン氏の当選確実を受け、「日米韓」体制を支える安全保障の協力や経済連携の立て直しは急務だ。徴用工問題と日本からの輸出管理の問題は実質的に絡み合っており、一方だけを解決させるのは困難だ。包括的な決着でこそ、こじれた日韓関係が正常化する。日中韓首脳会談をソウルで開いた2015年には、日韓首脳も約3年半ぶりの2国間会談によって関係改善に導いた。地域の安定のため、外交力と首脳の指導力が問われる局面を迎えている」

 

韓国が、日本へ協力を申入れているのは、韓国の利益になるからやろうとしているだけである。東京五輪を舞台に、南北交流促進や米朝接近の舞台回しを目指しているのだ。日本は、韓国が東京五輪に協力してくれることに感謝しても、それ以上の行為に出るべきでない。文政権による一連の反日行動を精算させるには、まだまだ反省させる時間が必要なはず。日韓関係修復には、時間をかけて慎重の上にも慎重を期すべきなのだ。