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中国の王毅外相は、11月25~27日の3泊4日で日韓両国を訪問した。日本訪問は、中国側の要請という。王毅氏の日韓訪問には、明らかに濃淡の差があった。日本は儀礼上、韓国は戦略上という違いである。

 

王毅外相は、意味深長な発言を残している。日本へは「一衣帯水」、韓国には「守望相助」という挨拶をしたのだ。「一衣帯水」は、狭い川や海を隔てて近接していると言う関係である。「守望相助」は、共通の敵や困難に備えて交互に見張りを務める関係である。つまり、日本とは「薄い関係」であり、韓国とは「濃い関係」を意味している。王毅氏は、日中と中韓の関係性について微妙な言い回しであった。

 

『ハンギョレ新聞』(11月30日付)は、「韓国は『守望相助』、日本は『一衣帯水』、王毅中国外相の発言の真意とは」と題する記事を掲載した。

 

来年1月のバイデン政権発足を控えて行われた中国の王毅・外交担当国務委員兼外交部長の「34日の韓日歴訪」が27日に終わった。特に今回の歴訪は米国の主要同盟国である韓国と日本に対する中国の“戦略的観点の相違”をそのまま表したという点で注目される。

 


(1)「25~27日の3日間の訪韓で最も目を引いたのは、ムン・ジョンイン大統領統一外交安保特別補佐官らとの27日の朝食会だった。この日の朝食会の内容を伝える中国外交部の資料には、意味深長な表現がいくつか登場する。王毅部長は同朝食会で、韓中関係について「両国首脳が重要な共通認識に基づいて両国の根本的利益の方向に合うように両国関係に対する青写真を導き出すとともに、発展戦略をうまく結びつけて実務的な協力で両国関係を安定的に推進することを望んでいる」と述べた」

 

王毅外相は、韓国に対して中韓関係のより密接な関係性樹立を要望している。これは、バイデン米政権が発足後の米韓同盟密接化を前に、大きなくさびを打ち込もうという狙いである。中国の対日関係については、次のパラグラフで取り上げるが、日米同盟の強固さから中へ入り込むことについて絶望視している。それに比べて、韓国は中国が入り込める余地があると甘く見ているのであろう。

 

(2)「『アメリカ・ファースト』を掲げ同盟を軽視したドナルド・トランプ政権と違い、バイデン政権は放置されてきた韓米日「三角同盟」を再整備し、中国への圧力を強めていくものと見られる。このような敏感な時期に、王部長は韓国に両国間の「共通認識」と共通ビジョンである「青写真」を提案し、米国にあまり傾くことなく、中国と「国際社会の公平と正義を守ろう」と呼び掛けたわけだ。また、26日に行なったカン・ギョンファ外交部長官との会談前の冒頭発言でも、両国間の「守望相助の精神」を強調し、韓国とともに「地域の平和と安定を守っていきたい」という意向を示した。韓国の発表にはない「中韓外交・安全2+2対話(外交安保当局連席会議)の始動」に言及し、韓中関係の“戦略性”を強調した」

 

中韓の間には、「外交・安全2+2対話」(外交安保当局連席会議)が存在することが明らかになった。米韓同盟がありながら、韓国が米国の仮想敵国である中国と、こういう「2+2」対話機会を持っていたことは、米国への裏切り行為である。韓国は、こういう行為を平気でするのだ。危ない相手である。

 

(3)「これに比べ、24~25日王部長の日本訪問は冷ややかな雰囲気の中で終わった。王部長は日本では協力が必要な隣人という「一衣帯水」を持ち出した。王部長は茂木敏充外相との会談で中日関係を「長期的協力パートナー」とし、「適切な戦略的コミュニケーション」が必要であると強調するにとどまった。冷ややかな雰囲気を悪化させたのは、尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる厳しい攻防だった」

 

日中関係は、尖閣諸島問題で対立関係にある。日本に、冷ややかな雰囲気があるのは当然である。日本人の「中国嫌い」は、世界一という世論調査結果が出ている。世論の80%台が「好ましい国」と見ていないのだ。

 

(4)「24日の記者会見で、茂木外相が、尖閣諸島をめぐる中国の動きに対する懸念を示したことに対し、王部長は「日本の漁船が釣魚島周辺の敏感な水域に入る事態が発生している」と反論した。中国の習近平国家主席の訪問についても、韓国では王部長が「条件が整い次第、訪韓したい」という習主席の口頭メッセージを伝えたが、日本では関連した言及はなかったと朝日新聞などが報じた」

 

自民党の中には、習氏を国賓で迎える行事は、2022年以降へ延期という主張も聞かれるようになってきた。現時点で、習氏の日本訪問は見通し難という状況だ。韓国と違って、習氏の訪日が菅政権の外交的プラスにならないからである。むしろ、「反中ムード」を醸し出すリスクの方が大きくなっている。