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中国武漢を発症地とする新型コロナウイルスによるパンデミックは、中国への信頼を大きく損ねる結果になった。豪州調査機関は昨年1月、ファーウェイの次世代通信「5G」に、バックドアが仕掛けられていることを明らかにした。これが、米国でも追認されて一挙に、ファーウェイは劣勢に立たされることになった。欧州は当初、ファーウェイ採用方針であったがパンデミックで考えを変えてしまった。こうして、5Gで独走していたファーウェイは、主要国で拒否されている。日本に次いで韓国でも、企業レベルでファーウェイ5G導入を見送った。

 

アジアの多くの国では、中国との貿易量が多いことからあえて、異を唱えずにファーウェイ5Gを採用の方向である。だが、TPP(環太平洋経済連携協定)加盟国のベトナムとシンガポールは、ファーウェイ5Gを不採用の方針を明らかにしている。

 


『日本経済新聞 電子版』(12月1日付)は、「ファーウェイ、東南アジアに望み、事業存続探る」と題する記事を掲載した。

 

中国の華為技術(ファーウェイ)が東南アジアへの働きかけを強めている。高速通信規格「5G」に関連しインドネシア政府と協力することで合意した。欧米で排除の動きが強まるなか、経済面では米中と「等距離」を保つ国が多い東南アジア市場を取り込むことが事業存続の条件になりそうだ。

 

(1)「ファーウェイはインドネシア政府との覚書に基づき、クラウドや5G関連などデジタル人材10万人の育成に乗り出す。自社の職業訓練のノウハウを活用する。インドネシア政府がこの種の覚書を交わすのは初めてだ。大統領府関係者は「ファーウェイの力を借りて人材レベルを国際水準まで引き上げたい」と話す。インドネシアの政府機関が5Gや人工知能(AI)関連の取り組みを進めるのにも協力する」

 

インドネシアは南シナ海問題など政治面では中国と対峙しつつも、経済面では最大の貿易相手国で、関係は良好だ。自国も独立運動を抱えることから、香港やウイグル族に関する問題に口を出すこともない。5Gを巡ってはエリクソンやノキアといった北欧勢も現地で実証実験を始めているが、「ファーウェイ製品は23割安く、品質も向上している」(国営通信テレコムニカシ・インドネシアの関係者)と好評だ。

 

(2)「東南アジアでもファーウェイに距離を置く動きはある。シンガポールでは通信大手が5Gの主要機器に採用せず、ベトナムでも政府傘下の通信最大手が5Gで排除するもようだ。それでも、欧米などに比べれば逆風は弱い。中国に友好的な国が多いアフリカではファーウェイへの抵抗感も小さいが、5Gの取り組みは遅れている」

 

シンガポールやベトナムは、米国が将来TPPへ参加する前提で、ファーウェイを排除したと見られる。

 

(3)「業界団体の英GSMAによると、20~25年に東南アジア10カ国で通信会社が設備投資に投じる額は660億ドル(約6兆9000億円)。北米(2820億ドル)や欧州(1810億ドル)に比べ規模は小さい。ただ、英調査会社オムディアのパスカル・レミ氏は「東南アジア市場は成長の可能性が大きい。ファーウェイにとって事業が拡大する主要な地域になる可能性がある」と指摘する」

 

東南アジアの成長性を見込めば、将来は大きな市場になるとしても、ファーウェイはそれまで持ちこたえられるか、だ。北米と欧州の両市場で、ざっと4600億ドル(20~25年)になる。ここから排除されるファーウェイの痛手は極めて大きい。

 


(4)「欧州では華為技術(ファーウェイ)を締め出す動きが広がっている。英政府は11月30日、ファーウェイ排除の行程表を発表した。2021年以降は同社製品の購入を認めない方針を既に示していたが、今回は購入済みの製品の取り付けも21年9月末から禁止するとした。機器を多めに買っておき、後から取り付けるのを防ぐ狙いがある。英政府は1月にはファーウェイ製品の使用を部分的に認めていた。米国の圧力や、中国による香港国家安全維持法の制定などを受け、27年までに完全に排除する方針に転換した。英議会は排除に応じない通信会社に罰金を科す法案を審議中だ」

 

英国は、2015年頃までは「親中国」であった。一帯一路にも率先して参加したほど。それが今では、完全に逆転している。香港で中国に裏切られた(一国二制度の破棄)ショックは大きかった。EU離脱も手伝い、TPPへの参加を希望している。南シナ海へ空母を派遣するという「反中」に転じている。日本は、外交面で英国と密接になっている。

 


(5)「欧州各国は経済的なつながりの強い中国と比較的良好な関係を保ってきたが、潮目が変わりつつある。フランスも実質的に排除する方針だ。今後の注目は、中国の広域経済圏構想「一帯一路」で協力する覚書を交わしたイタリアや、自動車販売などで依存するドイツの判断だ。両国の与党内では、排除すべきだとの声が強まっている」

 

ドイツも、「反中」を明らかにした。南シナ海へ積極的に関与する姿勢を見せている。フランスも同様で、軍艦派遣を検討しているほどだ。イタリアもパンデミックで大きな被害を受け、反中意識が強くなっている。