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安直に考えるTTP11加盟

国有企業温存であれば不可能

中身を全く精査しないで発言

TPPも動かす反中グループ

 

中国の習近平氏が、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)署名の席上で突然、TPP(正しくは米国が脱退したのでTPP11、CPTTPと呼ばれる。環太平洋パートナーシップ協定)への加入意思を明らかにした。TPP11では、TPPと異なる条約なので加入条件、脱退条件を決めていない。要するに、「来る者は拒まず、去る者は追わず」であるが、加盟11ヶ国の承認がなければ参加は不可能である。

 

中国がRCEP署名の後、にわかにTPP11へ照準を合せた理由が興味を引く。米国がTPP(TPP11でない)に復帰となれば、加盟条件が厳しくなって、各加盟国の承認を得なければならなくなる。米国は当然、「仮想敵国」である中国の加盟を認めるはずがない。となれば、米国の加入しないTPP11へ加盟申し込みをしたい。その方が、実現性は高くなると読んでいるのだ。

 

中国が、加盟条件の楽なときにTPP11へ加盟する。そういう安直な方法は、全く間違っていると言うほかない。TPPもTPP11も同様だが、中国には越すに越せない第17章の「国有企業及び独占企業章」という大きな壁が立ちはだかっている。習氏が国家主席に就任以来、推進してきた国有企業優遇の「国進民退」政策によって、自らこの壁を高くしてしまったのである。TPPは、自由主義経済を前提にしており、国有企業の存在は「例外」という位置づけである。中国経済の流れと180度も異なるのだ。

 

 

中国が、こういう事情を知らないはずがない。不可能を知りつつあえて、「TPP11の旗」を掲げているのは外交上の戦略と見られる。中国が、開放経済姿勢を取っていることをアピールする手段に使っているのであろう。もう一つ考えられるのは、近くTPP11へ加盟申請するとされる台湾への牽制である。台湾がTPP11へ参加できて、中国は不可能となれば、中国国民の手前なんとも釈明ができなくなる。こういう思惑が手伝い、中国は加盟できるまで台湾加盟を遅らせろ、というシグナルである。

 

台湾は、RCEPに加入せず、TPP11への加入を熱望している。台湾は、電子製品をはじめとするRCEP加盟国への輸出の7割が、既に無関税となっているからだと説明している。だが、RCEPに加盟しない理由は、中国との経済交流を抑制して、米国との関係濃密化をアピールしていると見られる。台湾の本心は、米国とのFTA(自由貿易協定)締結が大きな目標になっているからだ。

 

中国の経済構造は、台湾のそれと比べてはるかに遅れている。市場経済の台湾と、計画経済の中国との差でもあるが、世界の潮流は市場経済である。TPP11は、それを前提にして組立てられている。計画経済の中国が、TPP11の流れに乗ろうというのは「不可能」である。その不可能な理由は、TPP11「第17章 国有企業及び独占企業章」で見れば、一目瞭然である。中国は、諦めるほかあるまい。

 

1)加盟国は、国有企業と指定独占企業は、物品・サービスを購入・販売の際に、商業ベースで行うこと

2)他の加盟国の企業に対して、差別的な扱いをしないこと

3)加盟国は、国有企業へ贈与や有利な条件での貸付け等によって、他の加盟国の利益に悪影響を及ぼさないこと

4)加盟国は、国有企業と指定独占企業に関する情報を他の加盟国に提供すること


 

これら4項目を中国の国有企業に当てはめれば、すべて「違反」している。

 

1)国有企業・指定独占企業は、商業ベースよりも優遇されている。手厚い補助金がついているからだ。ファーウェイは、実質国有企業であって、多額に補助金が支給されている。

 

2)補助金支給は、他の加盟国に対して差別的扱いである。

 

3)国有企業は、国有銀行から貸出面で金利や担保の面で優遇されている。

 

4)国有企業と指定独占企業に関する情報開示は、中国政府にとって最も忌避したい秘密事項である。あらゆることを機密扱いにする中国に耐えられないことだ。

(つづく)