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文大統領が、剣が峰に立たされている。政権の犯罪捜査を中止させる目的で、ユン検察総長を業務停止に追込もうとした策略が行政裁判所で止められたからだ。「検察の中立性を犯す」とまで断じられて、文政権は形無しの状況に追い込まれた。

 

英エコノミスト誌は辛辣な政権批判記事を掲載した。

 

英国の時事週刊誌『エコノミスト』が、秋美愛(チュ・ミエ)法相と尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長の対立している韓国の状況に言及しつつ「文在寅(ムン・ジェイン)大統領の検察改革が正反対の効果を生んでいる」と評した。ユン総長の職務停止が検察全体をユン総長の側に立たせ、文大統領は前任者のように捜査対象になりかねない、とも分析した。

 

同誌は11月28日付の「複雑な検察問題」という記事で、「文大統領の任期末が迫るにつれ、権力弱体化の対象だった検察は文大統領に対する調べを強化するだろう」と記した。同誌は朴景信(パク・ギョンシム)高麗大学教授(法学専門大学院)とパク・ミョンリム延世大学教授(政治学)の発言を引用しつつ、「尹総長の職務停止は検察組織を総長の味方にしてしまい、これは改革の意図を挫折させるだけでなく、絶え間ない起訴を通して政府をまひさせる潜在性を有する」とも記した。『朝鮮日報』(12月2日付)が伝えた。

 

『朝鮮日報』(12月2日付)は、「尹検察総長追放試みて文大統領の責任論拡大…与党『ここで後退すればレームダック懸念』」と題する記事を掲載した。

 

秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官が尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長に対して下した職務排除命令について、ソウル行政裁が1日、尹総長が不当だと訴えた執行停止の申し立てを認めたことから、与党による「尹錫悦追放」戦略に狂いが生じた。これまで尹総長の問題は秋長官が前面に立ち、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は沈黙していた。

 

(1)「尹総長の懲戒が強引だったことが明らかになり、文大統領が直接関与せざるを得ない状況へと変化している。さらに、裁判所の決定で文大統領も身動きが制限された状態だ。与党幹部は「ここで後退すれば、レームダック(任期末の権力空白)につながりかねない。引き返すことができないところまで来た。秋長官の意向通りに2日に次官人事を行い、4日に懲戒委員会を開き、尹総長の解任手続きに入る可能性が高い」と語った」

 

与党は、強行突破でユン検察総長を解任に持込むと強気だが、その場合の反動を考えれば、文在寅氏は「大悪党」というレッテルを貼られる。行政裁判所が、手続きについても問題を指摘しているからだ。それを無視した解任とは、法秩序の崩壊になる。

 

(2)「与党のそうした構想は裁判所と法務部監察委員会が尹総長の懲戒手続きに問題があると判断したことで現実性を欠く状況となった。むしろ与党が望んでいた尹総長の辞任ではなく、文大統領と秋長官の責任論ばかりが拡大した。それでも与党では「尹総長の懲戒をなかったことにはできない」というムードが強い。与党幹部は「尹総長の懲戒を進め、大統領が受け入れる方法以外に他の道はない」と述べた。法務部が尹総長の職務復帰にもかかわらず、2日に予定していた懲戒委員会を4日に延期し、後任の法務部次官人事を行うこともそうしたムードを反映したものとみられる。与党は懲戒委を開けば、尹総長の解任が決まるとみている」

 

与党は、国会で絶対多数を占めているので超強気だが、法律論はそれと無関係である。この辺りが、彼らの限界である。白を黒と言いくるめられないのだ。こういう与党のピンボケ感覚を見ると、韓国社会の民度の低さが改めて浮き彫りになる。

 

(3)「法務部が4日、尹総長の懲戒を決めれば、文大統領はそれを受け入れるかどうか決定しなければならない。文大統領が法務部の総長解任決定を受け入れれば、尹総長は総長職を務めることができなくなる。しかし、文大統領が原発や蔚山市長選疑惑など政権に対する捜査を阻止するため、尹総長を解任したという批判は避けられず、大きな負担となる」

 

仮にユン検察総長を解任に追い込んでも、ユン氏は行政裁判所へ訴える心づもりだ。今回の行政裁判所の判断から見ても、「解任不当」という判断が下されるのは火を見るより明らかである。こういう見え透いた結論にも関わらず、文大統領は弁護士出身にあるまじき行動を取るのだろうか。

 

(4)「裁判所と法務部監察委が法的手続きに問題があると指摘したことを無視することも法律専門家出身の文大統領には受け入れ難いことだ。政界関係者は、「尹総長懲戒を受け入れれば、尹総長追放の総企画者が大統領であることを自認することになる」と指摘した。尹総長の中途解任は文大統領が公言してきた検察権の独立、検察総長の任期保障という約束とも全く反する。文大統領は自著「運命」で、「検察の政治的中立のために整えられた重要な制度が検察総長の任期制であり、任期を守ること自体がとても重要だ」と指摘している」

 

文氏は、絶体絶命の窮地に立たされている。下線部分のように文氏は過去、検察総長の任期を守ることが検察の政治的中立の証としている。この「命題」を自ら破るのか。文氏の人間性が問われる局面となってきた。