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人口減は国家サイズを縮小

昔日の力を失う中国の哀れ

軍事費負担に耐えきれない

世界の3極が反中で足並み

 

中国は、習近平政権になって以来、怖いもの知らずの存在となった。軍事面や経済面で威嚇しているからだ。中国外交部報道官による他国を威嚇する発言は、「戦狼外交」として広く世界に知れ渡っている。

 

これは、中国にとって決して賢明な政策でない。国内向けで、中国の国威を発揚する役割を果たすとしても、対外的には大きな失点である。知らず知らずのうちに、中国へのイメージを悪化させているのだ。これは、中国を敵視する国を増やすことに他ならず、中国の孤立を招くのである。

 

中国は、もはやこれまでのような「上り坂」経済ではない。「下り坂」の過程に入っている。原動力は、労働力人口の減少である。総人口に占める生産年齢人口比率が、2010年をピークにして下降に向かっていることで証明されている。

 

日本も同じ道を辿ってきた「先輩国」である。1990年が生産年齢人口比率のピークであり、人口ピークは2010年であった。翌11年から人口減社会にはいっており、すでに10年を経過した。これと同じ現象が中国にも起こる。平清盛は、沈み行く夕日を引き戻せたらと願ったそうだが、叶わぬことであった。中国の「帝王」習近平といえども同じこと。抵抗することは不可能である。

 

中国は、生産年齢人口比率のピークが2010年であった。日本と同じコースを辿るとすれば、2030年が人口ピークとなるであろう。だが、世界の人口専門家の見解では、もっと早まるという説が多数である。

 

人口減は国家サイズを縮小

人口減と言ってもピントこないかも知れない。日本もそうであった。満員電車が空いて結構という程度の認識が多数であった。現実には、GDP成長率の低下や社会保障費の膨張で、働く世代の税負担が重くなるなど、良いことは一つもないのだ。中国には、日本と違って急速な人口高齢化と重い軍事費負担。それに、「一帯一路」などと称して発展途上国支援へと手を広げた負担がずっしりと、今後の減少人口へ負担増としてのしかかるのである。

 

人口減少が、国家の未来像を語るとき、何とも言えない鬱屈したムードを醸し出すのである。日本の現役世代が、日本の将来に対して明るい展望を持てないのと同様に、中国の現役世代にもそうした気運が襲うはずである。その時、「中華再興」などという習近平氏の夢は、ただの標語か夢程度の扱いとなろう。国家の夢を語る前に、自分の老後を憂うるという閉塞感が充満してくるはずだ。

 

このように、これから迎える中国の20年代は、コロナによるパンデミックのもたらす負の影響と、人口減接近という暗いムードに襲われよう。その中で「中華再興」と「個人生活充実」という選択の競い合う関係が生まれ、共産党政権による国家優先政策の是正が求められるであろう。私は、世界覇権の夢を断念すると見る。

 

中国民政部(省)養老サービス司の李邦華副司長は今年10月23日の記者会見で、2021~25年までの5年間、中国の60歳以上の高齢者の人口は3億人を超えると明らかにした。同氏は、中国の高齢化が急速に進んでおり、当局の「養老サービスが一段と厳しい局面に直面する」と示した。

 

中国では、定年制が男子60歳、女子55歳となっている。国際標準では高齢者は65歳以上としているので、ここに5歳のギャップがある。この理由は、儒教社会の慣例が支配していることだ。つまり、老後は子どもに面倒を見て貰うという考えが根強い。日本のように、元気な内は一生働きたいという勤労観が欠如している。また、健康要因もある。

 


ただ、「一人っ子政策」で一人の子どもは両親と祖父母を含めると、実に4人を扶養せざるを得ない計算になる。物理的にも不可能であるから当然、国家が扶養義務(年金)を負っている。この結果、心配されるのが年金財政の支払い能力が持つかどうかだ。

 

国務院(内閣)直属のシンクタンク、中国社会科学院が昨年4月に公表した推計では、驚くべき結果が出ている。「年金積立金は27年の約7兆元をピークに急減し、35年に底を突く」というのだ。この推計に国内では大きな波紋を呼んだ。推計根拠は不明だが、考えられる要因はいくつかある。年金を負担する現役世代の人数限界。賃金上昇率のピークである。要するに、中国経済がその最盛期を過ぎて「日没する」段階に入ったという示唆である。

(つづく)