a0960_008707_m
   

韓国与党は進歩派の看板を上げている。実態は、欧米のリベラル政党と異質である。民族主義が前面に出ており、人権弾圧の北朝鮮を支援するという常識ではあり得ない行動を始めた。韓国政府が、北朝鮮の人権弾圧を非難するビラ散布禁止の立法措置を行ったのである。

 

米国議会は、来年1月に超党派機構「トム・ラントス人権委員会」の公聴会を開催する意向を固めた。この公聴会では、韓国文政権が擁護すべき北朝鮮の人権に対して、逆に弾圧する側に回ったとして非難が集中するであろう。文政権は、内政問題でも多くの課題を抱えているが、さらに同盟国である米国からの圧力に直面する。

 

『東亜日報』(12月26日付)は、「米議会人権機構委員長『韓国与党は自由制限党』」と題する記事を掲載した。

 

米議会内の超党派機構「トム・ラントス人権委員会」の共同委員長を務める共和党のクリス・スミス下院議員が、対北朝鮮ビラ禁止法(南北関係発展法改正案)を通過させた韓国与党に対して、「自由党ではなく『自由を制限する』政党」と批判した。来年1月に開かれる米議会の公聴会でこの問題を提起する意向も明らかにし、対北朝鮮ビラ禁止法をめぐる韓米間の葛藤が続くものと予想される。

 

(1)「スミス氏は12月24日(現地時間)、米政府系放送局の『ボイス・オブ・アメリカ』(VOA)に、「米国民は、70年間米国の同盟であり強力なパートナーである韓国でどんなことが起こっているのか知らなければならない」とし、対北朝鮮ビラ禁止法処理に対する米社会の関心を呼びかけた。また、「2017年に急進的で進歩的な左派政党が政権を獲得し、基本的な市民・政治的権利を縮小し始めた」と主張し、「(政権与党は)自由党ではなく自由を制限する政党」と非難した。米議員が韓国の政権与党を批判するのは異例のこと」

 

韓国進歩派は検察総長追放に動くなど、リベラル政党にあるまじき行動を取っている。「民族業者政党」とも揶揄されるほど、北朝鮮の悪に目を塞ぎ接近しようとしている。今回の北朝鮮へのビラ散布禁止法は、半ば北朝鮮の要求に基づくもの。人権重視というリベラル政党本来の姿勢から離脱した動きだ。米国が、厳しい姿勢で臨むのは当然である。

 

(2)「スミス氏は、国境を越えて北朝鮮に民主主義を支持する情報と、自身が「聖書と防弾少年団(BTS)風船」と呼ぶ宗教と韓国大衆文化の資料を風船で散布することを犯罪視するのは問題と指摘し、対北朝鮮ビラ禁止法の通過を「文在寅(ムン・ジェイン)政府と国会内の協力者による市民・政治的権利に対する非寛容の事例」とも述べた。さらに、「世界の自由を愛する人々は、風船散布の禁止において、北朝鮮の要求に対する文政府の黙認、脱北者や人権擁護者に対して文政府が見せた敵対感に驚かなければならない」と強調した」

 

文大統領は、ただ南北朝鮮が統一すれば由とする幼稚な視点である。そのためには、あえて韓国の自由や民主主義を犠牲にしても良いという、極端な思考の持ち主だ。米国が、この危険な動きにブレーキを掛けようとしている。同盟国米国からの非難は、文大統領にとって決して無視できない圧力になろう。

 


(3)「スミス氏は、来年の米議会の公聴会でこの事案が扱われることを再度確認し、「次の会期に韓半島で続いている市民・政治的権利に対する政府の脅威の実態を把握するために公聴会を推進する」と述べた。スミス氏は最近、韓国最大野党「国民の力」の池成浩(チ・ソンホ)議員に電子メールを送り、対北朝鮮ビラ禁止法を阻止するために憲法訴訟を起こすことを支持し、必要な場合は支援を惜しまない考えを示したという」

 

スミス氏は、韓国最大野党「国民の力」の議員へ、憲法訴訟を起こすように訴えている。その際は、必要な支援をするというのだ。文政権には突風となろう。

 

(4)「米議会人権委員会は、公聴会に国内の北朝鮮関連団体を招請する計画だ。脱北者団体「自由北韓運動連合」の朴相学(パク・サンハク)代表の法律代理人の李憲(イ・ホン)弁護士は、「米議会で公聴会が開かれれば、朴氏に出席してほしいと言われた。公聴会の日程が決まり次第、調整する」と話した。こうした中、ソウル中央地検公共捜査1部(梁東勳部長検事)は23日、朴氏を寄付金品の募集および使用に関する法律(寄付金品法)違反の疑いで不拘束起訴した。朴氏が2015~19年に寄付金品募集の登録をせず寄付金を集めた疑いが適用されたという」

文政権の「汚いやり口」は、北朝鮮へのビラ散布をしてきた責任者を検察の手で弾圧することだ。ソウルの人権団体が行った最近の調査によると、脱北者の3分の2近くが、ビラや報道、映画やドラマなどを通じて、外部の情報に接していたことが分かった。こういう人権支援団体を適当な口実を作って弾圧し、北朝鮮の金正恩氏の「ご機嫌伺い」しているのだ。恥を知るべきである。