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5年前の今日(2015年12月28日)、日韓慰安婦合意がソウルで締結された。安倍首相が訪韓して、朴槿惠(パク・クネ)大統領と合意書を交換した。大統領府で行われたが、韓国側は昼食も出さない冷たい仕打ちをした。

 

こういう経緯で交わされた日韓慰安婦合意が、文大統領によって無残に破棄された。以後、この問題について日韓は、没交渉である。日本が応じる必要のないのは当然としても、韓国は破棄したままである。

 

『中央日報』(12月28日付)は、「5年前の慰安婦合意を霧散させて無為に歳月を送った韓国政府」と題するコラムを掲載した。筆者は、ホン・スンギ/仁荷(インハ)大法学専門大学院教授である。

 

朴槿恵政府2015年12月の韓日慰安婦合意から28日でちょうど5年だ。満点合意ではなかったが、それでも同年韓日国交正常化50周年を迎えて成し遂げた相当な成果だった。



(1)「当時の合意文には旧日本軍の関与を認め、日本政府の責任を明示し、日本の首相の深いお詫びが入った。日本政府の予算で慰安婦被害者の名誉と尊厳の回復および心の傷の治癒に向けた事業を進めることを確認し、これを受けて2016年7月「和解・癒やし財団」が発足した。その後、日本政府が10億円を送金し、財団は当時まで生存していたおばあさん47人中35人に1億ウォンずつ(現レートで約941万円)を、死亡慰安婦199人の遺族64人に2000万ウォンずつ支給した」

 

元慰安婦とされる人たち47人中35人が、日本政府の送金を受領した。これは、受取り拒否を働きかける市民団体の騒ぎを無視したものだ。慰安婦問題は、当事者の意思を離れて、外野席の市民団体が騒いでいたのが真相である。

 

(2)「韓国社会での慰安婦議論は、1990年11月に設立された挺対協(その後「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」)が、恣(ほしいまま)にしてきた。1995年村山首相時期、「女性のためのアジア平和国民基金」が発足した。挺対協は日本「国会立法」による「国家賠償」を主張して受領拒否を求めたが、挺対協の非妥協的路線に対して故・沈美子(シム・ミジャ)さんのように強く反発する被害者もいた」

 

韓国の市民団体は、日本に謝罪させることが目的で慰安婦問題を利用してきた。その後に露見したが、市民団体は募金を横領し自らの懐を温めた不法行為を行っていたのだ。あくどい行為である。

 

(3)「このように政府に対する挺対協の圧力が、慰安婦問題解決を困難に陥らせた事例は多い。2011年12月、韓日首脳会談で日本の意味ある非公式提案があったが、李明博(イ・ミョンバク)政府は挺対協の注文に従って「日本国家の責任」を守って交渉が成果なく白紙に戻った」

 

韓国では、得体の知れない市民団体という圧力集団が存在する。一見、正義を旗印にするが、国会議員に当選するための選挙運動に利用しているケースが多い。市民団体は本来、非営利・非政治が原則である。韓国では、このNPO原則が無視されているのだ。

 


(4)「文在寅(ムン・ジェイン)政府は、韓日慰安婦合意2周年だった2017年12月27日、「朴槿恵政府の合意検討結果報告書」を出した。報告書は「被害者中心的アプローチが欠如し、秘密交渉で民主的統制を逃し、外交政策決定権限が青瓦台(チョンワデ、大統領府)に集中して主務部署である外交部が助演にとどまった」と批判した」

 

文政権は、前政権を非難するために日韓慰安婦合意を破棄したのだ。外交交渉には秘密主義を伴うもの。外交交渉の原則を知らない素人の戯言である。外交交渉の過程を記録した文書は、何十年か後に公開される理由はこれだ。

 

(5)「康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は、「日本政府が拠出した10億円に相当する103億ウォンを韓国政府予算で充当する。10億円の今後処理方案に対しては日本政府と協議していく」と発表した。2019年1月21日、女性家族部が和解・癒やし財団の設立許可を取り消し、これで韓日合意は事実上廃棄された。その過程で相手国の立場は眼中になかった」

 

下線部のように、文政権はド素人政権である。感情のままに動くので、冷静になって見ると、取り返しのつかないことをやっているのだ。外交は、ママゴト遊びではない。国家の命運を賭ける真剣勝負である。文政権は、その真剣勝負の結果を反古にしたのである。日本政府が、韓国を相手にしないのは当然である。

 


(6)「文在寅政府は前政府の慰安婦合意を積弊扱いして散々けなしたが、いざ自分たちは過去3年間慰安婦問題を全く解決することができなかった。むしろ後退した。47人いた被害者は今や16人だけしか残っていない。文大統領は「二度と日本に負けない」と豪語した。チョ・グク氏は突拍子もなく『竹槍歌』を叫び、「挺対協を非難すれば親日派」という脅迫の言葉が飛び交った。だが、挺対協の活動を足掛かりにして国会議員になった尹美香は、結局横領・背任・詐欺など8件の容疑で起訴された。文政府は、慰安婦問題を解決しないで過去3年余りを無為に過ごした。果たして、文政府に慰安婦問題解決意志が本当にあるのか、尋ねざるをえない」

韓国は、日韓慰安婦合意を破棄したが、日本側は破棄を認めていない。ということは、日本にとって慰安婦問題は解決済みであり、「少女像」を拒否できる権利があるのだ。こういう外交的な弱みを抱える文政権は、外交音痴と言うほかない。愚かなのだ。