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ユン検察総長は、行政裁判所によって大統領の「停職2ヶ月」が覆され職場に復帰した。これに対して、与党「共に民主党」議員が大荒れである。自ら反省することなく、野党・メディア・裁判所がグルになってユン検察総長を復帰させたと騒ぎ立てているのだ。常識を疑わせるこの騒ぎに、改めて韓国民主主義の未成熟さを指摘せざるを得ない。

 

『ハンギョレ新聞』(12月28日付)は、「韓国検察総長の復帰、文大統領が謝罪しても与党は“激昂” その背景とは」と題する記事を掲載した。

 

韓国の裁判所は24日夜10時ごろ、ユン・ソクヨル検察総長が懲戒処分を不服として提起した執行停止申立てを認めた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は16時間後の25日午後2時20分、「裁判所の決定を尊重する」として判決を受け入れると共に、「混乱を招いたことに対し、国民にお詫び申し上げる」と述べ、国民に謝罪した。

 


(1)「与党の共に民主党の反応は違った。「制度改革で検察改革を完遂する」という党の立場とは裏腹に、「ユン総長の弾劾」や「検察捜査権の完全廃止」、「判事カルテル(の解消)」など、強硬発言や主張が相次いだ。こうした反応の背景には「メディアや保守野党、検察が共に民主党を攻撃している」という認識が色濃く残っている」

 

このパラグラフで取り上げられている言葉は、韓国人の特性を実によく表わしている。すべて、他人のせいにして自己責任を回避していることだ。自分は悪くない。悪いのは相手であるという屁理屈である。

「判事カルテル(の解消)」

「メディアや保守野党、検察が共に民主党を攻撃している」

大統領と与党に不利な裁判所の決定が出ると、普通は「裁判所の決定を真摯に受け止める」と発言するところだ。それが、裁判所を含めてメディア・野党・検察と一括りして攻撃している。

 

この民族特性は、遺伝子であるから直るはずがない。日韓問題の根底も、この「自分は悪くない。悪いのは日本」という屁理屈が隠されているのだ。

 


(2)「与党議員たち個人の間では強硬発言が相次いでいる。キム・ドゥグァン議員は前日に続き、27日にも「弾劾と同時にユン総長とその家族に対する特検を進めたり、公捜処でユン総長個人の犯罪行為に対する捜査に着手すれば、憲法裁を説得することができる」と主張し、再び弾劾論を展開した」

 

ユン総長を弾劾し、ユン総長の家族を特別捜査してあら探しをしようという提案である。なんとまあ、レベルの低いことを言っているのか。司法の政治的中立性という「金言」を理解するにはほど遠い低い知性レベルの発言である。

 

(3)「イ・ヘチャン(前)代表時代に秘書室長を務めたキム・ソンファン議員は、フェイスブックに「公捜処発足を控え、検察の強い抵抗に隠れていたが、一部判事も自分たちの既得権益カルテルが壊れることを快く思っていないようだ。司法と検察の過剰な政治化が民主主義を根本的に損ねる恐れがある。これからはオンライン上で巨大な既得権益カルテルに対抗するろうそくを掲げなければならない」と書き込んだ。

 

裁判所判事が、既得権益カルテルを結んでいるという、信じがたい発言である。判事が、カルテルを結ぶとはどういう意味か。理解不可能な発言である。

 

(4)「キム・ビョンギ議員は、「左遷され、閑職に追いやられていたユン検事を破格的に抜擢したのが文大統領だ。ユン総長は大統領に心から感謝すべきであり、人間としての道理も尽くすべきだ」と主張した」

 

このパラグラフに至っては、卒倒するような内容だ。文大統領に検察総長に指名された恩義を考えろという、朝鮮李朝時代の認識である。これが、進歩派を名乗っているから恐れ入る。

 

(5)「イ・ナギョン(与党)代表もこのような反発に加わった。イ代表は「裁判所の決定を尊重する」という文大統領のメッセージが発表された直後、フェイスブックに「大韓民国が司法から過剰な支配を受けているという国民の懸念が高まっている。政治の司法化、司法の政治化が限界を超えたという嘆きも聞こえる」という書き込みを残した。裁判所が“政治的判決”をしたのではないかと、遠回しに非難したのだ」

 

イ・ナギョン氏は、東亜日報記者出身で東京特派員経験もある。次期大統領の有力候補の一人である。下線部は、完全に狂った認識である。司法は政治的中立が保障されているのだ。その現実を忘れて、司法が政治を支配していると的違いの発言をしている。絶句するほど、浅薄な知識である。

 


(6)「党内では今回の事案を「保守メディアと法曹、野党の『国民の力』が一丸となって動いた結果」と見る認識が広まっている。「検察は、検察-メディア-保守野党につながる強固な既得権益同盟の先鋒だ。検察を改革しなくては大韓民国の未来も民主主義の発展も大統領の安全も保障できない」というキム・ドゥグァン議員の発言は、こうした認識をよく表している。ある再選議員は「『カルテルの結果、このような判決が出た』という主張には同意しないが、『そのようなカルテルが形成されており、作動している』ことについては、私をはじめ党内で共感が広がっている」と述べた」

 

『ハンギョレ新聞』は、文政権支持メディアである。だから、無意識のうちに文政権を庇っている。「検察は、検察-メディア-保守野党につながる強固な既得権益同盟の先鋒だ」という記事に批判的なニュアンスは感じられない。「その通り」というのであろう。なぜ、こういう「敵・味方論」でしか物を見られないのだろうか。そこには、「反省」の二字は存在しない。

 

『ハンギョレ新聞』は、社説などで実に立派なことを主張するが、こういうドロドロした問題になると、お里が知れる記事を書く。これが、韓国進歩派の限界であろう。