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笛や太鼓で騒いだ中国製コロナワクチンは、未だに最終治験の結果すら発表できない「代物」である。米国が、ファイザーやモデルナの両社が有効性90%台という脅威的データを明らかにしたことで、中国は余りにも見劣りすることで萎縮してしまった印象である。

中国は、新興国へワクチン外交を展開した。その見返りが、ファーウェイの「5G」導入であった。だが、中国製ワクチンの風向きが悪くなっており、ブラジルでは半分の人は「中国製ワクチン」拒否というほど、嫌われた存在になっている。中国で接種されている中国製ワクチンの箱には、接種後のマスク着用と手洗い励行を勧めている。こうなると、何の目的でワクチンを接種したか分からないほどだ。



『ブルンバーグ』(12月31日付)は、「中国のワクチン外交 見返り要求で逆効果にもー信頼得るデータ不可欠」と題する記事を掲載した。

(1)「パキスタン最大の都市カラチで配車アプリ「バイケア」の二輪車運転手として働くファルマン・アリ・シャーさんは、中国製ワクチンの接種を「受けるつもりはない。信用していない」と言う。パキスタンなど中国製ワクチンの臨床試験が進む国々で重ねたインタビューや調査などで示されたのは、中国製ワクチンが十分な信頼性を得ていないということだ。こうした不信感に加え、ワクチン供給を中国に依存せざるを得ない貧しい数十の国々で国民が質の劣ったワクチンを与えられたと感じれば、世界的に大きな政治問題になる可能性もある」



中国が何年にもわたり道路・鉄道・発電所に700億ドル(約7兆2600億円)近い融資をしたパキスタンでは、2つの中国製ワクチン臨床試験が進行中だ。このパキスタンでさえ中国製ワクチンの接種に二の足を踏んでいるという。下線部のように、未だに治験データを発表できない、有効性の劣る中国製ワクチンを無理矢理、接種させられたとなれば、大きな政治問題に発展する。中国は、そういう岐路に立たされている。

(2)「中国政府が、打ち出した各国へのワクチン供給計画の意図していたのは、明確な外交的勝利だ。これまでのところ緊急使用を認めているのは中国を除けばアラブ首長国連邦(UAE)だけだ。メキシコの元駐中国大使で現在はマクラーティー・アソシエーツのシニアディレクターを務めるホルヘ・グアハルド氏は、「中国にはワクチン外交を行い、人々の命を救う製品を配布する絶好の機会がある」と指摘。その上で、 「私の経験では中国は外交を持ち出すたびに大失敗する。支援を受けた国々を怒らせてしまうのだ」と話す。

中国は、粗悪な「マスク外交」によって各国で反感を買った。今度は「ワクチン外交」である。現状では「粗悪品」の印象の域を出ていない。ワクチン接種後、マスク着用と手洗い励行を勧めるようなワクチンでは、予防接種の役割を果たさないからだ。



(3)「同氏によれば、ワクチン供給と引き換えに中国が相手国に求めているのは、米政府が制裁を発動している華為技術(ファーウェイ)の第5世代(5G)移動通信技術を利用するという約束、あるいは重要セクターに中国が投資することを認めることだ。「こうした言動の歴史を踏まえれば、また繰り返されても驚くことではない」と語る」

中国のワクチンは、ファーウェイ製「5G」を導入させる「景品」のような役割である。これでは、発展途上国から横を向かれる危険性が高いだろう。

(4)「米外交問題評議会(CFR)のグローバルヘルス担当シニアフェロー、 ヤンジョン・ホアン氏は、「中国製ワクチンが唯一の選択肢である国では接種を受けるか拒否するかのどちらかだ。だが異なるワクチンの中から選べるとすれば人々は合理的になり、確実に欧米企業のワクチンが選ばれるだろう。すでにデータが公表され安全だ。中国は今のところ系統立ったデータを一切持っていない」と述べる」

米国や英国の最先端ワクチンが出そろった現在、中国ワクチンの影は薄くなるばかりだ。



(5)「同氏はまた、自国民14億人に一斉にワクチン接種し、人口の多い幾つかの新興国の需要をまかなうことができるとする中国は、能力を過大評価している可能性があるともみている。中国製ワクチンを入手できなければ、新興国は他の供給国に目を向け「中国はテコを失うことになる。経済的損失だけでなく、外交および戦略上の利益も損なわれるだろう」と予想する」

中国は先ず、自国民に自国ワクチンを接種して効果をアピールすべきである。幸い、2月に旧正月を迎える。PCRに頼って陽性患者を早期発見するより、自国製ワクチンで実証すべき絶好の機会を迎えるのだ。しかし、怖くてそれができないのだろう。



(6)「各国の指導者は、使用を認めた全てのワクチンが等しく安全だと自国民を説得できなかった場合、二流品を与えられたと感じる人々は反発するかもしれない。中国が今年統制を強めた香港でさえ、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は今月23日、米ファイザーとドイツのビオンテックが共同開発したワクチンと英アストラゼネカのワクチン、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)のワクチンの3種類から選択できると住民に伝えた」

香港は、市民に対してワクチン接種で米英のワクチン2種類と中国製ワクチンの1種類から選択させるという。後からの苦情を恐れている結果だ。香港当局は、すでに中国製ワクチンの劣悪なデータを知っているに違いない。