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人間の心を無視する習近平

米中デカップリングの重圧

2番目の輸出市場失う痛手

英独仏海軍を西太平洋派遣

 

習近平中国国家主席は、自国の国力を過大評価している。GDPを水増ししているので、実際の経済力が分からなくなっているのかも知れない。外交戦略は、「戦狼外交」と呼ばれるように、傍若無人を貫いている。ちょうど2200年前の紀元前221年、秦の始皇帝は中国を統一した。今の習近平氏のような振る舞いをしていたと思える。

 

秦は、始皇帝没後4年で滅びた。周辺国と国内から恨みを買っていたからだ。現在の中国も、状況はよく似ている。アジアでは南シナ海の領有を主張して、他国領の島嶼を占領して軍事基地化している。欧州では、チェコなど小国を虐めて悦に入っている。だが、欧州は小国といえども、侮れない力を発揮する。

 

EU(欧州連合)において、チェコは各国へ向け「反中国」の働きかけをしている。中国から経済制裁されている豪州もまた、EU各国に向かって中国の危険性を訴え続けている。同じキリスト教文明国であるから、話は、「ツーカー」だ。共通の価値観に立って、中国警戒観は一挙に高まっている。

 


その引き金は、中国が香港との「一国二制度」を破棄したことである。人権弾圧を恣(ほしいまま)に行っている中国へ、EUは新たな怒りと恐怖感を抱いている。もはや経済優先でなく、民主主義と人権擁護という普遍的価値観に反逆する中国へ、強い警戒観を持つに至った。

 

人間の心を無視する習近平

中国は、国内の反体制派を取り締まるため、キリスト教弾圧を強化している。これが、欧米の反発を招くことに思い至らないようである。

 

文化大革命の終わりに推定300万人いたとされる中国のプロテスタント教徒の数は現在、1億人を超えたと考えられる(政府の発表では3800万人)。このほか、カトリック教徒が推定1000万~1200万人はいるとされる。

 

米外交問題評議会は、中国のプロテスタント人口について9300万~1億1500万人とする米パデュー大学中国宗教・社会研究センターの推計値(2018年)を引用している。中国のキリスト教徒は、2010年以降に大幅に増加した。中国がこうして2030年には、米国を上回って世界最大のキリスト教徒を抱えると予測する向きもあるほど。以上は、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2020年12月24日付)が報じた。

 

中華民族は、宗教に無関心であるといわれてきた。だが、都市部では現在、生活水準の向上と高学歴化を背景に、キリスト教徒が急増している。人口世界一の中国が、2030年には米国のキリスト教徒(約2億人)を上回るかも知れないというのだ。

 

キリスト教徒が、共産主義を信じるはずがない。中国は、カトリック教会で掲げる聖母マリア像に代えて、習近平氏の肖像を掲げるように強制するところも現れている。嗤ってはいけない、「習近平の神格化」である。

 

中国の指導者は、ポーランドの共産主義体制崩壊において、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世がいかに寄与したかを目の当たりにした。韓国のキリスト教徒が、軍事政権から民主政権への移行で果たした役割も知り抜いている。香港民主化運動で、キリスト教徒が大きな役割を担ったことも周知のこと。こうして中国は、各国の民主化過程で果たして来たキリスト教徒の役割を考えると、これから増え続けるキリスト教徒の増加は、極めて頭の痛い問題であろう。

 


老子には、「大国を治むるは、小鮮(しょうせん=小さな魚)を烹(に)るが若(ごと)し」という言葉がある。大きな国を治めるには、小さなことにくよくよしてはいけない、という意味だ。現在の習近平体制下では、国民の一挙手一投足を監視カメラで縛り、信仰ではキリスト教弾圧という「小鮮を烹るが若し」の振る舞いである。秦の始皇帝も、こうやって謀反封じで商工業を弾圧していたので反感を買い、始皇帝没後間もなく秦は滅びた。

 

その後の中国史を見ると、国民は税金を払えば後、自由な身であった。地方へ行けば「天子」が誰か名前も知らない農民がたくさんいたと言われている。それだけ、野放図であった訳で、地方の盗賊が謀反を起こさない限り王朝は長続きしたのである。(つづく)