あじさいのたまご
   

中国は、武漢におけるWHO(世界保健機関)のコロナ発生源調査を認めようとしないことが分かった。他国へ責任を擦り付けている以上、武漢調査で真相が究明されたなら、中国のメンツは丸潰れになる。そこで、言を左右にして発生源調査を認めないのだろう。

 

『日本経済新聞 電子版』(1月6日付)は、「WHOのテドロス事務局長、中国に『失望』」と題する記事を掲載した。

 

世界保健機関(WHO)は5日、1月に中国で予定していた新型コロナウイルスの発生源調査が遅れていると明らかにした。テドロス事務局長は中国当局が調査に許可を出していないのが理由だとして「大いに失望した」と批判した。

 


(1)「テドロス氏は5日の記者会見で「中国が調査団の現地入りに必要な許可を出していないことを、きょう知った。中国には調査が非常に重要であることを再度伝えた」と説明した。緊急事態対応の責任者マイク・ライアン氏は「遅れはただの事務的な理由だと信じたい。すぐに解決されると期待している」と述べた」

 

中国は、世界の目を騙せると思っているのだろう。今後、予想されるコロナ賠償問題を避けるために、WHOの現地調査を徹底的に避ける方針であろう。これは、人類への犯罪行為である。詳細な原因究明をすれば、次の感染症発生の際に多くの教訓が得られる。感染源となった中国が、世界に対する「お詫び」の気持ちがあれば、こういう振る舞いをするはずがない。

 

(2)「WHO1月第1週に10人強を派遣することを計画していた。最初に大規模な感染が広がった武漢市を調べ、ウイルスの発生源特定につなげることなどを検討していた。拡大経路を調べることで、次の世界的なパンデミック(大流行)への対応力を高める狙いもある。WHOは20年7月にも小規模な調査団を中国に送り、予備的な調査を終えていた」

 

次回にも中国でコロナが発生する機会は、大いにあると見なければならない。野生動物を食べる習慣があるからだ。中国政府は、野生動物を食することを禁じたが、伝統食であるだけに一片の布告で止められるはずがない。隠れてこっそり食べ、それがコロナを発生させる背景となろう。

 


テドロス事務局長は昨年1月末、北京で中国の習近平国家主席と会談し、習氏の言う「悪魔のウイルス」について協議した。両氏の会談後、中国の国営メディアは同国の対応を称賛したテドロス氏の発言を報じた。同氏は「中国の素早さ、中国の規模、中国の効率性は中国の体制の強みだ」と語ったという。

 

今にして見れば、何とも間の悪い発言となった。中国は、素早くWHOの現地調査を受入れるべきであったが、それを、ずっと引き延ばしてきた。いずれ中国は、現地調査を受入れざるを得ないが、できるだけ証拠を隠してから調査に応じる積もりなのだろう。

 

テドロス氏の前記発言は、WHOが中国の独裁体制におもねっている証拠だという批判を呼んだ。批判派は、テドロス氏が中国の隠蔽体質によって感染拡大につながっている国を称賛する、大きな罪を犯したとしている。だが、多くの保健専門家は同氏を擁護した。元国連事務総長特別顧問のデビッド・ナバロ氏は「驚くほどよくやっている」と話す。「彼は中国と協力しなければならない。中国をこき下ろすわけにはいかない」とした。

 


だが、テドロス氏のそういう配慮は、すべて裏目に出ている。中国は、WHOを甘く見て手玉に取っているのだ。WHOを利用して中国のイメージを上げることに利用したのである。

 

中国は、早期に「病原体の遺伝子配列情報」を発表した。これによって、コロナワクチンの開発が始り、すでに接種まで行われている。だが、中国はこれによって免罪符を手に入れた訳でない。いかなる状況でヒトに感染したかという重大な過程の究明ができなければ、次の感染症を未然に防ぐ策が見つからないのだ。中国は、ひた隠しにしているが、世界からみた評価はどん底である。