a0960_008567_m
   

韓国裁判所による日本政府への旧慰安婦賠償金支払い命令は、国際司法裁判所の判例に反していることで、韓国メディア『朝鮮日報』も疑問視するほど奇想天外なものである。韓国地方裁判所で用意した外国人記者席7つに対して、出席したのは日本人記者2人だけだった。外国メディアも関心を持たない裁判である。

 

韓国大法院(最高裁)が日本企業に対し、強制徴用被害者への賠償を命じた判決により冷え込んだ両国関係にとって、さらに逆風にならざるをえない。韓国メディア『聯合ニュース』はこう危惧している。日本政府は、この裁判が「主権免除」に反するという理由で無視している。仮に、日本政府が国際司法裁判所へ訴えれば、韓国敗訴の確率が高い。文政権は、さらに大きな荷物を背負い込んだ形である。



『朝鮮日報』(1月9日付)は、「一国の裁判所が他国に賠償判決、国際司法裁判所の判例とは合わず」と題する記事を掲載した。

 

ソウル中央地裁が8日、慰安婦被害者に対する日本の国家賠償責任を認めたのは「主権免除(国家免除)論」を排除した結果だった。「主権免除」とは、一国の裁判所が他国の主権行為を裁くことはできないというもの。

 

(1)「裁判部は、「主権免除」は不変の価値ではないとみなした。裁判部は「韓国憲法27条1項、国連人権宣言などでも(被害者が)裁判を受ける権利を宣言している」とし、「反人権的行為に対し国家免除(主権免除)を適用したら請求権がはく奪され、被害者は救済を受けられない」と判示した」

 

「主権免除」によって、一国裁判所は他国政府を裁くことはできないという国際司法裁判所の判例がある。韓国地裁は、この判例から逸脱した判決を出した。韓国特有の「国民情緒法」なるムード裁判の判決である。旧徴用工判決もこの類いである。

 

(2)「こうした論理は、一部の国際法研究者らも受け入れている。イタリア最高裁は2004年、第2次世界大戦当時ドイツで強制労働させられたルイキ・フェリーニさんがドイツ政府を相手取って起こしたいわゆる「フェリーニ訴訟」で自国の裁判管轄権を認め、原告勝訴の判決を下したからだ。しかし相当数の国際法の専門家らは、今回の判決は国際司法裁判所(ICJ)の判例とは合わないとした。ドイツが「フェリーニ裁判」を巡ってイタリアを提訴すると、2012年にICJは「主権免除は武力衝突の状況で一国の武装兵力が相手国の国民の生命・健康・財産などを侵害するケースにも適用される」としてドイツの肩を持った」

 

韓国でも専門家の意見では、大多数が今回の判決が「主権免除」と異なっていると指摘している。その例が次のケースである。イタリアで起こされたドイツ政府に対する「フェリーニ訴訟判決」は、ドイツ政府が不服としてICJに提訴し、ドイツ勝訴になっている。韓国地裁が、このICJ判例から見ても逸脱した判決であることは疑いない。

 


(3)「反人権的犯罪」で主権免除を排除した他の事例もあまり見つからない。ソウル市立大学のイ・チャンウィ教授は「植民支配を巡っては2013年に英国がケニアに、15年にオランダがインドネシア住民虐殺について謝罪して賠償を行うなど、大部分は外交的な方法で解決し、訴訟に進んだケースはほとんどない」とした。韓国政府が応じないので実現の可能性は低いが、慰安婦事件がICJに付された場合、フェリーニ事件と同じ結果が出るだろうという見方は多い。ある専門家は「フェリーニ事件でドイツが勝ったように、日本が勝訴する可能性が高い」と語った」

 

慰安婦問題は、外交交渉で解決すべき範疇である。となれば、2015年の日韓慰安婦合意が最適ケースであったことが分かる。文政権は、この合意を一方的に破棄してしまった。乗るべき船を破壊するという、とんでもないことをしでかしたのだ。愚かな振る舞いである。

 

(4)「裁判部はこの日、「慰安婦被害者らの損害賠償請求権は1965年の韓日請求権協定や2015年の韓日慰安婦合意の適用対象に含まれない」とも判示した。この日の裁判に日本政府の関係者は出席しなかった。メディアに割り当てられた7つの座席のうち外信向けの2座席には日本の記者が出席したと伝えられている」

 

海外メディアは日本を除けば、どこも無視している。判決が分かりきった「国民情緒法」に流されるものと予想していたからだろう。あるいは、「主権免除」という国際法の流れを知っていたからかも知れない。韓国の反日主義裁判の異常さを示している。