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一審判決のこじつけに8年

国家免除論を崩すのに時間

外交部の微妙な反応に注目

日本政府資産は差押え不能

 

日韓関係にまた、大きな障害が表われた。旧徴用工賠償問題に加えて、今度は旧慰安婦賠償を日本政府に命じる判決である。この裁判は、「国家(主権)免除」という国際司法裁判所の判例から見て、そもそも成立しないというのが日本政府の立場だ。日本はこの主張に沿って、一度も法廷に立たなかった。日本には、無縁な「判決」という立場である。

 

一審判決のこじつけに8年

この裁判が始まったのは、2013年のことである。その一審判決がようやく1月8日に出された。約8年もの歳月がかかったのは、日本政府の主張する「国家免除論」が壁になっていたからだ。「国家免除論」とは、一国の裁判所が、他国の主権行為を裁くことはできないというもの。

 

韓国地方裁判所が、この「国家免除論」という壁を乗り越えられずにいたところ、韓国大法院(最高裁判所)が2018年、旧徴用工賠償判決で「言葉尻」を捉えた判決を下した。それは、日韓基本条約で日本が韓国に支払った無償3億ドルの名目が、「賠償」でなく「経済協力金」であったことから、日本は賠償=謝罪をしていないというこじつけである。日本は、名目の如何に関わらず、日韓併合時代の責任に伴って発生したことに対すると支払いという立場である。

 

今回の慰安婦賠償判決は、韓国大法院(最高裁)による旧徴用工賠償判決に見倣い、2015年の日韓慰安婦合意で日本が提供した10億円に、「賠償」という文字がないので日本政府の賠償は済んでいないという立場を取ったのである。この判決根拠は、「三百代言」にも劣る悪質なものである。

 

普通、天災の見舞いでもない限り、国家間で意味もなく金銭の授受は行われない。韓国地裁の判決によれば、韓国政府は意味も分からず日本政府の提供した10億円を受け取ったことになる。それは、国家の体面として屈辱的な行為になるはず。そうとすれば逆に、韓国政府が責められる立場になる。際どい判決なのだ。

 

韓国地裁は、10億円に賠償という名義がなかったから、旧慰安婦の賠償は済んでいないという判断である。これは、実質内容を無視した奇想天外、あり得ない判決である。日韓慰安婦合意は、文政権によって骨抜きにされて空中分解した。だが、破棄はされていないのだ。前記の合意書では、「以後、一切の慰安婦問題については言及しない」という趣旨の一文が挿入されている。日韓慰安婦合意が骨抜きにされても生きている以上、日本は今回の韓国地裁判決になんら縛られないことを明確にする必要があろう。法的に言って、日韓にもはや旧慰安婦問題は存在しない、解決済みなのだ。

 


国家免除論を崩すのに時間

韓国地裁の判決を要約すると、次のようになる。

 

1)慰安婦問題は、人類の尊厳を踏みにじる問題であり、あらゆる法規の中で超越的な存在である。それゆえ、日本政府の主張する「国家免除論」は適用されない。

 

2)1965年の韓日請求権協定と2015年の韓日慰安婦合意において、原告の被害が救済されなかったため請求権も生きている。

これらの項目について、私のコメントを付すことにする。

 

1)ここでは、慰安婦が強制連行されたという立場になっている。慰安婦問題の本質は、「強制」であったかどうかである。戦前の日本には、「売春」が制度として公認されていた。それは、女性の自由意志であったのだ。貧困ゆえに起こった悲劇である。戦前の韓国は、日韓併合で日本の法律が適用されていた。「強制」でなく自由意志で、そのような場所に身を沈めたとしか言えないのである。

 


戦時中、中国上海での日本軍慰安所での記録が残されている。それによれば、女性はいずれも自由意志であった。軍は、女性達が置屋に搾取されないように、間接的に管理している実態を明らかにした。朝鮮半島の女性も継母との折り合いが悪く、「苦界」に身を沈めている事情を詳述している。日本軍が関与したとされるのは、間接的責任である。

 

強制連行説を世界に報じたのは朝日新聞である。この報道は、後に第三者検証で否定された。ねつ造記事であったのである。だが、朝日新聞はこの事実を英文記事にせず頬被りしている。ゆえに、世界中とりわけ韓国は都合のいい強制連行説を採用し、自由意思説を抹殺している。

 

判決では、日本が反人権的犯行を犯した事件であるにも関わらず、国家免除論を理由に訴訟の提起を認めないのは韓国憲法に反する、としている。だが、韓国地裁は強制連行か自由意志かという肝心の点を素通りして、「反人権的犯行」と決め付けている。当時の世界では、売春制度が公認されていたのだ。そういう環境下で、現代の倫理観を当てはめ当時を断罪するのは、罪刑法定主義に反する。恣意的な判決の誹りを免れない。(つづく)