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韓国の対日貿易赤字は、昨年再び拡大している。一昨年は、7月からの反日不買と輸出規制手続き強化で3ヶ月ほど輸出が遅延し、その後はスムーズになっている。消費財の反日不買運動をやっても、金額的に大したものにはならないのだ。

 

韓国メディアは、昨年の対日赤字が増えたとして落胆している。韓国経済の日本依存は、構造的なものだ。日本の技術と資本で発展した韓国経済の宿命である。

 

『中央日報』(1月10日付)は、「韓国、日本製品不買運動続くのに対日貿易赤字拡大した本当の理由」と題する記事を掲載した。

 

対日貿易赤字が昨年再び拡大した。産業通商資源部が9日に明らかにしたところによると、昨年、韓国は日本との貿易で208億4000万ドルの赤字を記録した。日本の輸出規制の影響で2019年に16年来の低水準となる191億6100万ドルの赤字を記録したが1年ぶりに再び赤字が拡大した。

 

(1)「貿易赤字が200億ドルを再び突破し輸出規制と不買運動の前である2018年の240億7500万ドル水準に近付いている。昨年、日本への輸出が前年比11.8%の急減となったが、輸入3.5%減でそれほど減らなかったためだ。いまも日本製品不買運動のポスターが張られた店はすぐに見つけられる。日本のアパレルブランドのユニクロは相次ぎ閉店している。それなのになぜ韓国は1年前よりも大きな赤字を出したのだろうか」

 

韓国経済は、日本から素材や部品を輸入して製品に加工する「加工貿易」である。韓国の輸出が増えれば、必然的に日本からの輸入が増える構造だ。韓国は、素材や部品の国産化を図っているが、一朝一夕にできるはずがない。基礎技術の開発が遅れている韓国の生きる道は、日本と共存共栄をすることだ。「徴用工だ慰安婦だ」と75年前の話を持ち出し、日本に謝罪させ、一矢を報いたい気持ちだろうが、それは無駄である。

 


(2)「日本製品不買運動の代表的品目である日本産ビールは、すでに事実上韓国市場での立ち位置を失った。関税庁輸出入貿易統計を見ると2019年に韓国は日本産ビール3975万6000ドル相当を輸入した。2020年の輸入額は492万2000ドルに縮小した。10分の1水準だ。日本車も同様だ。韓国輸入自動車協会(KAIDA)の統計によると、昨年韓国で1万台以上販売された日本車ブランドはなかった。販売台数とシェアともに半減した。これに耐えられなかった日産とインフィニティは昨年韓国市場からの撤退を決めたりもした」

 

反日不買で、日本産のビールや自動車という消費財を減らしても、素材や部品に比べれば金額の規模が違うのだ。日本と角突き合いの関係よりも和気藹々のほうが建設的だ。過去の歴史で、未来を塞ぐのは愚の骨頂である。目を覚ますべきなのだ。

 

(3)「韓国の対日貿易赤字が増えた理由は、別の所から探さなければならない。昨年は日本から購入した製品より日本に売る製品の規模がはるかに小さかった。昨年の韓国の対日輸出は12月25日で前年同期比11.8%減少した。主力製品の輸出が振るわなかった影響が大きかった。石油化学製品の対日輸出額は前年比25.1%減を記録し、鉄鋼が23.3%減、自動車部品が34.9%減、石油製品が32.5%減となった。日本国内の自動車や建設などの需要が一部回復しているが、新型コロナウイルス以前の水準に回復できていないためだ」

 

韓国の対日輸出品を見ると、いずれも付加価値の低いものばかりである。これでは、対日貿易赤字は増えても減らない構造である。「グラム」で商売するような精密品を開発することだ。「トン」で商売する製品では将来性がなくなるだろう。

 

(4)「さらに大きな問題は韓国の素材・部品・装備産業で日本に対する依存度が依然として高い点だ。不買運動が触発した理由も日本が半導体・ディスプレー生産に必要な核心素材3種に適用した輸出規制だった。規制後に韓国政府は素材・部品・装備の競争力強化を宣言したが、依然として進む道は遠い。対日貿易赤字が最も大きい品目を見ても、大部分が素材・部品・装備に該当する。日本との貿易で赤字を最も多く出している品目である「原子炉・ボイラー・機械類とこれらの部品」は昨年57億6897万ドルの赤字で、1年間で赤字額が7億9166万ドル増えた」

 

経済は、感情でやるものではない。合理性が基準になる。反日で日本が憎いから、反日不買運動を行うのは不合理なのだ。人口5000万人の韓国が、1億2000万人の日本と喧嘩をすることは、韓国が不利になるはずである。徴用工や慰安婦の問題で、韓国は日本に喧嘩を売っている。過去に決着した問題を蒸し返しているが、それは賢明な措置でないのだ。