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来年5月までが、文大統領の任期である。今年4月以降は、次期大統領候補の選出とその後の選挙運動で、国政は大統領選一本に絞られる。もはや、文大統領の威令も届かなくなる。この段階で、旧慰安婦問題で日本政府に賠償を命じる判決が出た。

 

日本政府は、「国家(主権)免除」という国際司法裁判所の判例に背くものとして、絶対に受入れないと明言している。日本政府の韓国にある資産は、大使館だけである。これは国際法で差押えできぬので、空振り終わる。つまり、日本政府に賠償命令が出ても、韓国はいかなる手も打てないという「どん詰まり」状態に陥る。

 


一方、日本政府はこうした不法判決を受入れない立場であるから、最終的に困難な立場に立たされるのが文政権である。日本政府は、韓国が旧徴用工賠償問題を解決しない限り、日韓首脳会談に応じないと言明している。さらに、今回の旧慰安婦賠償問題が加わって、もはや菅・文の首脳会談は実現できない事態を迎えた。

 

文大統領は、反日を御旗に政権をスタートさせたが、反日で日韓首脳会談も開けないという皮肉な結果になった。

 


『朝鮮日報』(1月9日付)は、「韓日関係改善を試みていた文政権に、慰安婦判決が予期しない変数に」と題する記事を掲載した。

 

日本政府に対して慰安婦被害者に賠償するよう命じたソウル中央地裁の8日の判決について、政府関係者は同日、「率直に言って韓日関係は答えが見えない」と語った。徴用賠償問題も解決の糸口が見つかっていない中、それに劣らない大きな宿題が与えられたということだ。

 

(1)「外交部は内部的に「訴訟却下」の可能性に重点を置いていたが、予想外の判決に困惑しているという。慰安婦被害者に対する国民の声援とは別に、この判決は韓日関係にとって突出した変数になった。菅義偉首相は「国際法上、主権国家は他国の裁判権には服さない」「断じて判決を受け入れることはできない」と述べた。日本外務省も南官杓(ナム・グァンピョ)駐日大使を呼び出し、「日本政府として断じて受け入れられない」と抗議した」

 

今回の判決は、韓国外交部も予想外の判決であった。判決後の声明は、数時間も経った後で行われるほど衝撃が大きかった。外交部は、日韓慰安婦合意は破棄されていないとも言っている。これは、微妙な言い回しであり、韓国政府が「今回の賠償問題を処理する」という示唆にも見えるのだ。

 

(2)「今回の慰安婦判決で、両国関係改善のため最近水面下で進められていた努力が再び振り出しに戻るかもしれないとの懸念が出ている。韓日関係は2018年10月の大法院による強制徴用賠償判決以降、悪化の一途をたどってきた。日本による輸出規制、韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)一時停止など報復措置が続き、破たん寸前まで行った。日本は「徴用問題の解決なしには首脳会談もない」とまで通知してきたという」

 

米国は、バイデン政権になる。日韓慰安婦合意を影で促進したのは、当時の副大統領バイデン氏であったという事情もあり、文政権は「絶体絶命」のピンチに立たされている。韓国外交部が、「日韓慰安婦合意は破棄されていない」とも言っている内部事情が窺えるのだ。

 

(3)「しかし、最近は流れが微妙に変わってきていた。文在寅(ムン・ジェイン)政権は東京五輪を利用して2018年の平昌冬季五輪時と同じ平和イベントを構想しており、日本でも五輪を成功させるため韓国の協力を必要としている。目的は異なるが、両国関係をこのまま放置してはならないという共通認識があるということだ。慰安婦判決はこうした微妙な時期に下された。政府は、司法府の判決に介入しないという原則を守りつつも、慰安婦問題を解決する方法がこれといってないため、頭を痛めている

 

韓国は、日本との関係で日韓慰安婦合意に縛られるはずだ。日本は解決済み問題である以上、韓国が賠償金を払うことだ。

 


(4)「日本政府は今回の判決について「控訴も拒否する」としている。韓国の裁判所の判決自体を認めないということだ。控訴をしなければ、一審判決がそのまま確定する。この場合、訴訟で勝った慰安婦被害者たちは韓国国内の日本政府の資産に対する差し押さえ申請をすることになる。いわゆる「強制執行」が始まるということだ」

 

日本は、控訴も拒否する以上、この件で韓国と関わらないことを明確にしている。

 

(5)「日本側が裁判所の「強制執行」推進に抗告などの方法で異議を唱えれば、実際に賠償金を受け取るまで何年もかかることもある。また、今回の慰安婦訴訟の差し押さえ対象は日本企業ではなく、日本政府の資産なので、差し押さえがいっそう困難だとの見方も出ている」

 

韓国には、日本政府資産は大使館以外に存在しない。

 


(6)「ある国際法の専門家は、「外交関係に関するウイーン条約第22条第2項には『各国政府は外国公館の安寧の妨害を防止するための責務を有する』という内容が書かれている。日本の資産差し押さえのうち、相当数が『日本公館の安寧の妨害』と解釈される余地もある」と言った。共同通信は「(韓国が)日本政府の資産の差し押さえに出れば、日本の報復措置は避けられないだろう」と報道している」

 

国際法で、大使館の差押えは不可能である。韓国が、それでもなにか始めれば「断交もの」という急変事態へ突入する。日韓慰安婦合意が生きている以上、韓国は手出しできないのだ。