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文大統領は1月14日午前、大統領府で離任する冨田浩司駐韓日本大使と面会した。その席で、「韓日両国は最も近い隣国であり、北東アジアと世界平和・繁栄のために共に歩んでいかなければならない最も重要なパートナー」と述べたと姜ミン碩(カン・ミンソク)報道官が書面ブリーフィングで伝えた。

 

文氏が、日韓は最も近い国で最も重要なパートナーと述べたのは、昨年9月に菅首相就任の際に次ぐ二度目である。この発言を、次期駐米日本大使に就任する冨田氏にしたところがミソである。米国に向けた発言でもあるからだ。韓国は、日本と協力しますというゼスチャーをして見せたのであろう。

 

バイデン次期米国政権は、同盟国の力を結集して中国と対抗する旨を強調している。この線から見れば、日韓が旧徴用工や慰安婦の問題で対立していることは、同盟の結束を乱すことになる。いずれも、韓国が火を付けた問題である。とりわけ、日韓慰安婦合意はバイデン副大統領(当時)の強い要請があって妥結した事情がある。文政権は、その慰安婦合意を足蹴にしたのだ。その上、今回の旧慰安婦賠償判決である。韓国が、対米外交上も危機に立っていることは間違いない。

 

バイデン米国次期大統領は、カート・キャンベル元国務次官補(東アジア・太平洋担当)をホワイトハウス国家安保会議(NSC)のインド太平洋担当調整官に指名した。バイデン政権の対中国政策を総括する地位だ。このキャンベル氏が、同盟国結集の旗振り役である。

 

キャンベル氏は、就任内定のニュースが伝えられた12日(現地時間)、米国の外交安保専門雑誌『フォーリン・アフェアーズ』に、「米国はいかにアジアの秩序を強化するのか」と題する文章を寄稿した。同氏は、次の3大課題を挙げた。

1)力の均衡の回復

2)適切な地域秩序の樹立

3)中国の挑戦に対抗するための同盟の復元

 

これから見ると、韓国の米中二股外交は不可能になる。文大統領が、冨田大使を通じて「日韓和解」のようなポーズを見せたのも理由があったのだ。

 


『朝鮮日報』(1月15日付)は、「『韓米日協力』バイデン外交の前に立つ韓国の『親中・親北・反日』外交」と題する社説を掲載した。

 

米国のバイデン政権が新たに設置する、ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)の「インド・太平洋調整官」にカート・キャンベル元国務省東アジア次官補が指名された。

 

(1)「キャンベル氏は、中国とアジアに関する政策を総括指揮するいわゆる「アジアのツァーリ」になるという。キャンベル氏は、基本的に日本を米国のアジア外交における礎石と見なしている人物だ。中国のパワーを現実として認めつつも、米国に対する挑戦は抑制すべきという考え方を持っている。キャンベル氏は韓国については、「役割の拡大が必要」という認識を持っているという。これは韓国に対する「米国の同盟国として確実な立場を定めよ」という要求に等しい。キャンベル氏は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時、韓米関係を「離婚直前の夫婦」に例えたことがある」

 

キャンベル氏が、日本重視派と指摘している。日韓の国力の差からいえば、日本にウエイトがかかるのは当然の選択であろう。韓国が、それをひがんで「親中・親北・反日」外交に走るとすれば、感情外交としか言いようがない。

 

韓国が、これまで米中二股外交が可能であったのは、米中対立が深刻化しなかっただけの話である。ところが、中国は公然と米国覇権に挑戦すると発言するに至った現在、米中は「敵同士」という関係になっている。よって、韓国の二股外交はもはや不可能である。韓国が、そういう認識を持っていないだけなのだ。

 


(2)「キャンベル氏は先日、中国に対抗する同盟国の協力体に韓国を含める「民主主義10カ国の連合体(D10)が必要」との考えを示した。従来のG7に韓国、インド、オーストラリアを追加したものだ。また中国をけん制する戦略安保協議体「クアッド」を拡大し、軍事的な抑制にも焦点を合わせるという。米国、日本、オーストラリア、インドの4カ国に韓国などを追加するいわゆる「クアッド・プラス」の構想だ」

 

キャンベル氏は、「民主主義10カ国の連合体(D10)」を提唱している。G7に韓国、インド、オーストラリアを追加するもの。欧州が、独仏の対立に幕を下ろしたから、初めてEU(欧州連合)が実現した。「D10」になるとすれば、韓国が日韓関係のすべてを国際法通りに受入れるとし、係争問題を国内問題として扱わない限り、日本はD10に賛成する訳にいかないのだ。そこは、バイデン氏の力量に待つほかない。

 

(3)「米国中心の経済ブロックである経済繁栄ネットワーク(EPN)も引き続き推進する。今後は韓国に対してEPNへの参加を引き続き求めてくるはずだ。しかし韓国政府と与党は米国によるこのような戦略には否定的だ。バイデン政権のアジア・ツァーリが登場した際、韓国統一部(省に相当)は200億ウォン(約19億円)以上の南北協力基金を議決した。関心はただひたすら「南北」だけだ」

 

韓国にとって、バイデン次期政権の存在によって、身を割かれるような思いをさせられるだろう。文政権は、「すべての道は平壌(ピョンヤン)に通じる」という認識である。この民族主義集団が、目を米国や日本に正しく向ける時が来るだろうか。疑わしいことだ。

 


(4)「バイデン氏は2016年に副大統領として韓米日外交次官会議に出席し、3カ国による戦略的結束を強調したことがある。この会議に、バイデン氏が出席するのは異例だった。しかし韓国政府は露骨な「親中・親北・反日」だ。この互いに異なった路線が何か問題を引き起こさないか心配だ」

 

バイデン氏は、ことのほか日米韓の三カ国の戦略的結束を重視している。バイデン政権になれば、「米韓二股外交」など、口にも出せない雰囲気になろう。米中対立の激化が、背景にあるからだ。