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日韓が政治的・経済的に逆転したという新刊本が出たという。韓国が、日本を上回ったというのである。韓国の複数メディア(聯合ニュースとハンギョレ新聞)は早速、取り上げて大喜びだ。1945年8月15日、あの解放記念日のような気持ちなのだろう。

 

韓国が日本に勝ったという証拠は、次のようなものである。


日本の相対的貧困率、年金の所得代替率、教育への公的支出額のGDP比といった指標を取り上げ、「先進国として恥ずかしい水準」と指摘している。また、経済協力開発機構(OECD)の資料を基に、2017年に韓国の1人当たり購買力平価GDPは4万1001ドル(約425万円)で、日本(4万827ドル)を抜いたとして優越感に浸っている。

 

購買力平価は、両国の物価水準を基準に算出される。日韓の消費者物価比較では、韓国がはるかに安い。それを反映して計算される購買力平価で、韓国が日本を上回ったと言って自慢することではない。韓国の「後進性」を反映して、労働価値が低い結果に過ぎないのだ。

 


韓国メディアが取り上げたのは、イ・ミョンチャン著『日本人が証言する韓日逆転』である。著者は韓国人
だが、「わが民族が長い間願ってきた『韓日逆転』の瞬間が近づいていることを証明するのがこの本の目的だ」と説明。「越えられない4次元の壁(努力では越えられない壁)、日本」と「弱小国、韓国」の図式はもはや存在しないと強調しているという。著者は慶応大で博士課程を修了するなど、日本に10年ほど留学した経験を持つ。帰国後は東北アジア歴史財団で韓日関係を研究している。以上は、『聯合ニュース』(1月16日付)による。


『ハンギョレ新聞』(1月16日付)は、「韓日関係に地殻変動が起きている」と題する記事を掲載した。

 

(1)「日本が韓国を眺める視線はよく「嫌韓」が突出し、これに対抗する韓国の日本に対する感情は「反日」だ。歴史的被害者の加害者に対する「反日」は納得できる一面があるものの、加害者が被害者に対する「嫌韓」の視線を止めないことは不思議でならない。その妙に歪んだ感情の淵源は『日本人が証言する韓日逆転』で確認できるが、これは優越意識の別名としてよく指摘される劣等感の発露だ」

 

私は、『日本人が証言する韓日逆転』なる書籍を読んでいない。第一、韓国が日本を上回ることなど想像もできないからだ。人口規模の異なる日韓を比較して、逆転するという発想がそもそも成り立たないのである。

 


韓国は、合計特殊出生率が世界最低記録を更新し続ける最悪事態に見舞われている。国家存亡の基盤である人口の出生率が、下がり続けるという「非常事態」下にあるのだ。日韓優劣論を議論している間に、韓国は世界最速で人口減少に向かう危機感と立ち向かうべきだ。韓国人は、文大統領を筆頭に空理空論に酔うのが好きなようである。

 

(2)「本書はタイトルが語るように、韓国と日本の力の逆転の過程に注目する。新型コロナウイルス感染症の防疫において、日本と比較せずとも韓国が成功していることは、特に語る必要もない」。

 

文大統領の「K防疫モデル」の自慢話を聞かされている感じだ。『ブルンバーグ』がまとめたコロナ対策の総合評価ランキングで、日本は韓国よりも上位(世界2位)である。韓国の防疫対策と言えば、PCRの全数調査を自慢する。だが、日本の行ったクラスター把握こそ、防疫面で最善の策である。この点で、韓国は間違っていたのだ。

 

(3)「経済面での韓日関係の変化は、改めて新鮮に提示される。何よりも根源は政治だ。韓国と日本の民主主義の格差は、両国がなぜ力の逆転状況に至ったのかを如実に示している。敗戦を克服できず過去にとらわれて停滞している日本と、植民地と開発独裁を乗り越えて産業化と民主化に邁進し、成果を収めてきた韓国の違いが両国のはっきりと異なる今日を作った」

 

韓国の民主主義が成功していると言っている。韓国進歩派は、民族主義集団である。「敵・味方」の二分論に立ち、敵を徹底的に叩き、味方の不正を見逃し庇う。これは民主主義と呼ばないのだ。多数の横暴を続け、野党の意見を100%封殺するのは、独善・独裁と呼ぶ。最近の文政権支持率低下は、反民主主義政治が飽きられてきたものだ。

 


(4)「このため著者は、日本の気鋭の若手学者である白井聡京都精華大学教授の『永続敗戦論』を紹介する。戦争で負けたのではなく、戦争が終わっただけなのだという日本軍国主義者のごまかしを日本人が受け入れてきたこと、こうした「涙ぐましい努力」が安倍政権を経てコロナ禍で如実に崩れ落ちたことを、この書は緻密にあらわにする」

 

「終戦」という言葉をヤリ玉に上げている。確かに、実態は「敗戦」である。だからと言って、日本人が戦争の反省をしていないと位置づけることは暴論である。「憲法九条」は、保守派を含めて憲法に残そうと努力している意味を理解していないのだ。安倍政権を頻りと批判しているが、韓国進歩派特有の現象である。まさに、牽強付会(けんきょうふかい)の典型例である。

 

(5)「今日の日本経済は「失われた30年」を経験した結果だということが提起される。戦後、米国に依存して爆発的な経済成長を成し遂げた日本が、1989~2019年の「平成」期には落ち込み続けたことを、主要大企業の企業価値と国内総生産(GDP)、国家債務比率、為替レートなどを挙げて説明する。日本の国際的な地位の変化は、もはや日本が先進国ではないことを示しているという主張だ」

 

一つだけ例を挙げて反省を求めたい。日韓の失業率比較では、日本が皮肉にも好成績である。韓国は若者が就職できず、2~3年の失業が定常化している。日本に「就職浪人」がいないのは、雇用が確保されている結果だ。人間の生存条件は最低限、衣食住の確保である。それは、雇用先があるから可能である。韓国では、職がない上に「住」も高騰して若者に手が届かなくなっている。この韓国の実態が、日本より優れているとは経済を見る目を失っている証拠である。これ以上の説明は不必要であろう。