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中国は、米国の新政権発足を前にASEAN(東南アジア諸国連合)外交を活発化させている。有効性50%のコロナワクチン供給を手土産にしているが、ベトナムを外して「これ見よがし」である。だが、中国外交の第一目標に挙がっているTPP11(環太平洋経済パートナーシップ協定)加盟問題で、ベトナムは日本と親密で連携する相手だ。ベトナムを刺激すれば、TPP11加盟問題はさらに遠のくのだ。これを見ても、中国のTPP11は仕組まれた「噓話」に見えてくる。

 

『ハンギョレ新聞』(1月18日付)は、「中国、ASEAN相手に『ワクチン外交』 ベトナムだけ除外」と題する記事を掲載した。

 

米国のジョー・バイデン次期米大統領の就任を控え、東南アジア4カ国の歴訪の途についた中国の王毅外相が、最後の訪問国であるフィリピンを経て16日に帰国した。王毅外相は米大統領選挙を控えた昨年10月にも東南アジア5カ国を歴訪したが、2回の歴訪でASEAN加盟国のうちベトナムだけは除外した。

 


(1)「17日のロイター通信などの報道を総合すると、王毅外相は歴訪で、新型コロナ防疫▽地域経済回復▽一帯一路(陸・海上シルクロード)事業などの地域協力案などを集中論議した。特に新型コロナの感染者が多いミャンマー(約13万人)とフィリピン(約49万人)に、中国国営製薬会社シノファームのワクチンをそれぞれ30万回分と50万回分、無償で支援することにした」

 

中国の積極的ワクチン外交である。だが、肝心のワクチンは70種類以上の副作用があると、ブラジルの研究所が発表している。それだけに、接種後に事故が起これば、中国の信頼は地に墜ちよう。

 

(2)「感染者が85万人を超えたインドネシアは、王毅外相の訪問を控え、中国のシノファームのワクチンの緊急使用を承認した。インドネシアはすでにシノファームのワクチン300万回分を輸入した状況だ。王毅外相の歴訪期間中の15日、カンボジアのフンセン首相は、中国がシノファームのワクチン100万回分を援助することにしたと明らかにした。ASEAN各国を相手に中国の“ワクチン外交”が盛んだという意味だ」

 

ここでも、ワクチン外交を展開しているが、量的に僅かだ。各国の指導者だけに振る舞っている感じである。中国自身、全数でのPCR検査を行っている段階であり、本来なら他国へ支援できる余裕はないはずである。

 

(3)「これに先立ち王毅外相は昨年10月11~15日、カンボジア・マレーシア・ラオス・タイ・シンガポールなど東南アジア5カ国を歴訪した。当時の中国外交部の華春瑩報道官は「中国・アセアン間の貿易量は今年に入り10月までに前年同期比で3.8%成長し、史上初めて欧州連合(EU)を追い抜き、ASEANが中国の最大の貿易相手に成長した」と明らかにした」

 

一昨年は、EUが中国の輸出先1位。ASEANは3位であったから、ウエイトが高まっている。中国企業がASEANへ移転している結果でもあろう。

 

(4)「興味深いのは、王毅外相の2回の東南アジア歴訪から、10のASEAN加盟国のうち唯一ベトナムだけが訪問国から外れているという点だ。昨年の新型コロナウイルスの感染拡大のなかでも、ベトナムはドイツを抜いて中国の6大貿易相手国に浮上している。これについて『サウスチャイナ・モーニングポスト』は、『ベトナムはASEAN加盟国のなかで最初に中国の通信企業の華為技術(ファーウェイ)を拒否し、新型コロナの初期に中国国境を封鎖した」とし、「南シナ海の領有権問題とメコン河流域の開発問題をめぐり神経を尖らせるなど、両国間の政治的緊張が高まった点が作用したのだろう」と指摘した」

 


ベトナムは、できるだけ中国と距離を置くことが「国是」になっている。ベトナムは、歴史的に中国を嫌ってきたので、まさに「歴史問題」が原因である。このベトナムは、日本との関係を重視している。日本を通じて米国との関係を強化するなど、中国を離れて「己が道」を行く。

 

中国は、TPP11加盟を対外経済の第一目標にしているが、日本・豪州・ベトナムなどは、連携して中国加入の障壁になろう。こういう状況を理解しながら、中国はわざとベトナム外しに出ている。中国のTPP11加盟は噓話に見えるのだ。