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文大統領は、18日の新年記者会見において徴用工賠償問題で注目すべき発言をした。韓国が、差し押さえている日本側資産の現金化は「望ましくない」と発言したからだ。これまで、文氏は「司法の決定に介入できない」と第三者の立場を装ってきた。日韓関係が、これによって暗礁に乗り上げ、さらに日本政府への旧慰安婦賠償判決が出るに及んで、進退に窮した結果であろう。

 

米国新政権が発足寸前の現在、米国から日韓関係の悪化是正の注文が出るのは必至の情勢だ。そのとき、米国に対して「申し開き」できるように準備しているのであろう。また、7月開催の東京五輪を舞台に万一、日本・米国・韓国・北朝鮮の首脳会談が開催できれば、という大きな思惑を秘めている。そのためにも、日韓関係打開は文氏にとって外交上、「死活的重要性」を持っている。大統領就任中、なんらの業績も上げられないで来た文大統領にとって、起死回生のチャンスと見ているに違いない。

 


そのためには、これまでの行きがかりを捨てて、徴用工問題の資産現金化が望ましくないと発言したのであろう。完全に、発言のタイミングが遅れていることは否定できない。一昨年12月、前国会議長提案による「第三者弁済方式」法案を成立させておけば良かった。それを、自らの思い過ごしで廃案に追込んだのである。愚かというべきであろう。決断のタイミングを見計れないのは、政治家として失脚なのだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(1月18日付)は、「元徴用工訴訟『現金化望ましくない』韓国大統領会見」と題する記事を掲載した。

 

(1)「韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は18日午前、大統領府で記者会見した。韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた元徴用工訴訟について、「強制執行で資産が現金化される方法は、韓日関係に望ましくない」と述べた。原告が同意できる解決策を日韓で協議したい意向を示した」

 

原告が同意できる条件を挙げている、先述の前国会議長の提案では、原告側が署名を集め、早期解決を前議長に提出していた。これを妨害したのは本件と無関係な市民団体の外野席である。日本に謝罪させると主張し、文大統領がこれに引きずられたのだ。文氏自身の情勢判断の甘さが災いしたのである。

 

(2)「ソウル中央地裁が日本政府に賠償を命じた元慰安婦訴訟に関しては「正直、困惑している」と語った。慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決をうたう2015年の日韓合意を「政府間の公式合意だ」と認めたうえで、解決策について「被害者が同意可能な策を見つけ出せるよう、韓日間で協議したい」と述べた」

 

文氏は、元慰安婦訴訟に関し困惑しているという。日韓慰安婦合意について、今になって「政府間の公式合意」と認めざるを得なかった。ならば、なぜ骨抜きにしたのか。韓国国民への「人気取り」ではじめたことが、文氏に政治生命に関わる問題となって降りかかっている。政治家として、これほど先の見えない人物も珍しいのだ。日韓慰安婦合意に手をつけずにいたならば、これを盾にして今回の判決を韓国政府の責任で対応できたのだ。

 

(3)「一連の歴史問題を巡り「事案別に分離し解決策を探る必要がある」と強調。外交的な解決を見いだせれば「韓国政府が原告を説得し、一つ一つ問題を解決していけると信じている」と指摘した。日本政府の姿勢に「全ての問題を連携させ、他の分野の協力も止めるような態度は賢明ではない」と注文も付けた

 

下線部は、歴史問題に対する日本の抗議姿勢を示すために行ったものだ。日本の「政経不分離」策が、韓国の際限ない歴史問題に対する歯止めとなろう。韓国は、日本へ甘えてならないのだ。