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韓国は、今でも風水説(一種の占い)が生きている国である。中国や李朝朝鮮では、墓地の選定などに重視され、現在も普及している。こういう「古代」の風習がなお支配している韓国で、科学知識など吹けば飛ぶような扱いである。

 

福島原発の処理水には、トリチウム(三重水素)が含まれている。これの海洋放出(むろん限界まで希釈する)に、韓国が猛反対するのも風水説に見る科学知識ゼロの結果である。韓国の月城原発で、このトリチウムが溜まっていたことが判明して、韓国与党と政権支持メディア『ハンギョレ新聞』が尻馬に乗って「放射線物質」と大騒ぎしている。「月城原発廃止」にまつわる政権疑惑事件を隠そうと策略しているのであろう。

 

この問題については、本欄で1月14日に取り上げた。トリチウムは自然界に存在しており、人間はその中で生きているから、希釈すれば「無害」であるのだ。この常識が通じない韓国進歩派は、小学生以下の科学知識と言うべきだろう。

 


『韓国経済新聞』(1月19日付)は、「月城三重水素『年間にバナナ6本摂取した時の被爆量』」と題する記事を掲載した。

 

原子力学界は慶州(キョンジュ)の月城(ウォルソン)原子力発電所の敷地で見つかった放射性物質の三重水素は年間にバナナ3~6本を食べた時に被爆する量にすぎないと明らかにした。検出された放射線は少量にすぎず人体に及ぼす影響は無視しても構わない水準という話だ。学界は「三重水素で恐怖を助長する非科学的怪談は止めなければならない」と注文した。

(1)「韓国原子力学会と大韓放射線防御学会が18日、「月城原発三重水素、本当に危険なのか」を主題にオンライン記者懇談会を開いた。三重水素は水素の放射性同位元素で、自然状態では陽子1個の一般水素に中性子2個が付いた形態だ。放射線を出すため多ければ人体に有害だが、バナナやカタクチイワシなど自然状態にも存在するというのが専門家らの説明だ」

 

韓国与党が、トリチウムの存在をことさら騒ぎ立てる背景には、「原発は危険物」という恐怖感を国民に植え付ける魂胆である。世界の大勢は、「脱二酸化炭素」の流れに乗って原発見直し論が高まっているのだ。文政権は、強引に原発廃止に持込んだが、原発恐怖症を過大に煽っている結果でもある。そこで、トリチウム騒ぎを起こして、原発廃止の正統性を植え付けようという狙いである。

 


(2)「この席でKAIST原子力および量子工学科のチョン・ヨンフン教授は、慶州月城廃棄場民間環境監視機構が2度にわたり実施した月城原発周辺住民に対する体内三重水素濃度分析結果を根拠に「1度目の調査では1リットル当たり平均5.5ベクレル、被爆量は約0.6マイクロシーベルト、2度目の調査では平均3.1ベクレル、被爆量は0.34マイクロシーベルトと出てきた。1度目の調査の結果は年間にバナナ6本、2度目の調査結果は年間バナナ3.4本を摂取した時の現被爆量」と説明した」

 

月城原発周辺住民に対する体内三重水素(トリチウム)濃度を分析したが、1度目の調査の結果は、年間にバナナ6本。2度目の調査結果は、年間バナナ3.4本を摂取した時の現被爆量というのだ。騒ぎ立てる問題でない。

 

(3)「チョン教授は、市中にあるバナナを年間6本食べただけでも0.6マイクロシーベルトの被爆が発生すると説明した。三重水素が月城原発周辺住民の人体に及ぼす影響は無視できる水準というのがチョン教授の分析だ。ソウル大学医学部核医学教室のカン・ゴンウク教授と、大韓放射線防御学会放射線安全文化研究所のイ・ジェギ所長ら専門家も、三重水素をめぐる恐怖感拡大は望ましくないとの意見を出した」

 

トリチウムは、自然界に存在する以上、食物は当然にそれを含んでいる。しかも、いったん体内に摂取されても、10日も経てば対外へ排出されるという。

 


(4)「カン教授は、「バナナだけでなくコメ、キノコ、肉類、魚など、私たちが摂取するすべての食べ物に三重水素が入っている。微量の三重水素が人体に入っても10日ほど過ぎればほとんどが尿として排出される」と説明した。イ所長は「三重水素は私たちが接する水にはどこにでもある。体内の水分にも1リットル当たり約0.5~1.0ベクレル程度が常在する」と強調した。専門家らは、火力発電所が原発より5倍多い放射線を排出するため、原発の三重水素が問題という話は怪談水準だと指摘した」

 

体内の水分には、1リットル当たり約0.5~1.0ベクレル程度のトリチウムが常在するという。韓国与党は、こういう現実が立証されてもなお反対する。これは、完全に別の意図(疑惑隠し)に利用しようということだろう。あるいは、本当に科学知識がゼロかも知れない。

 

科学知識の疎い社会では、もう一つ保守派と進歩派が鋭く対立するという指摘がある。科学の世界では、古い知識を基礎にして新しい研究が発展する。つまり、古い(保守派)知識から新しい研究(進歩派)が生まれるから両者は同根である。韓国進歩派のように、「敵・味方」の二分論で保守派と対立するのは、科学知識がゼロを示唆しているのだ。トリチウム騒ぎは、極めて象徴的な話である。