テイカカズラ
   

韓国の文大統領は突然、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官(外相)の更迭を発表した。後任は、鄭義溶(チョン・ウィヨン)前国家安保室長を内定した。

 

康氏については、これまで内閣改造のたびに名前が上がってきたほどで、外交手腕に疑問符がつけられてきた。もともと外交官出身でなく、国連職員として英語が堪能という以外に評価されることはなかった。韓国政府部内で浮き上がっており、重要な安保外交会議では外されるなど、負のイメージがつきまとっていた。

 

ただ、これまで外交部長官に留まってこられたのは、ひとえに文大統領の厚い信頼の結果とされている。その文大統領の贔屓も、文氏自らの政治生命が問われる段階にきて、「サバイバル」という五字で断ち切られることになった。

 


文大統領の外相更迭理由は、対日外交の改善を含めて韓国外交の立直しである。米国バイデン政権発足に合せて、米韓関係と日韓関係は密接に絡むと判断したのであろう。バイデン次期米大統領は、同盟国の結束を呼び掛けている。それは、米韓と日韓の関係が根本的に見直されることだ。韓国の「二股外交」と対日関係悪化は、同盟国結束にとっていずれも障害物である。文大統領が、これまで取ってきた外交戦略は、根本からひっくりかえされる局面を迎えたというべきである。

 

対日外交の改善では、姜昌一(カン・チャンイル)駐日新大使が、日本の「アグレマン」(承認)も得ている。姜氏は、22日の赴任前に韓国の記者会見で次のように発言した。『聯合ニュース』(1月17日付)が伝えた。

 

「強制徴用問題の解決策について、『互いに大義名分と原則を守りながら解決できる方法が多くあると思う。私が把握しただけで12(の解決策)がある』と述べた。具体的な解決策は公開しなかったが、『知恵を集め、真摯(しんし)に議論すれば方法を見つけられると確信する』とし、政治的に解決していかなければならないと強調した」

 

「姜氏は、文在寅大統領からは両国関係の正常化と協力体制の強化に取り組むよう指示を受けたとし、『(文大統領は)東京五輪の成功のため、必要ならいかなる役割もいとわないと話した』と伝えた。また、『菅首相とも会って率直に話し合いたいという話もあった。非常に強い意志を持っている』と述べた」

 


徴用工賠償問題で、姜氏は12の解決案を持っていると発言している。これは、文大統領の承認を得たものかどうか不明だが、何らかの具体案を持参して日本へ赴任するのだろう。日本側は、韓国に対して具体案を示せと要求している。これまでの韓国は、「最も重要な国」などとリップサービスを言うだけで、日本側に一層の不信感を募らせるばかりであった。

 

日本人は、行動を重視する。韓国人は、誠意とか心とか抽象的なことで終始している。日韓関係は、本質的に「行き違い」の起こる構造になっている。