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今回のパンデミックで、主要国は軒並み個人への現金給付政策を行った。中国は逆に、財政支出をインフラ投資に拡大して、個人への現金給付を見送った。これが、所得格差を拡大しており、個人消費不振をもたらしている。習近平氏は、内需拡大の柱として個人消費拡大を目標に据えているが、この調子では目標達成は不可能であろう。

 

『ブルンバーグ』(1月19日付)は、「中国の所得格差、是正進まずー消費弱くアンバランスな回復裏付け」と題する記事を掲載した。

 

新型コロナウイルスの感染拡大を首尾よく抑え込んだ中国は2020年に主要国で唯一プラスの経済成長を達成したとみられるが、大きな所得格差と依然として弱い個人消費がアンバランスな景気回復を裏付けている。

 


(1)「18日に発表された昨年10~12月(第4四半期)の国内総生産(GDP)は前年同期比6.5%増とコロナ感染拡大前の水準を上回った。だが中国で昨年、所得上位20%の平均可処分所得が8万元(約128万円)を超え、下位20%の10.2倍となったことも示された。経済協力開発機構(OECD)によれば、この格差は米国では約8.4倍、ドイツやフランスといった西欧諸国では5倍に近い」

 

共産主義の原点は貧富の格差を無くすことだが、中国は逆である。富める者はますます富み、貧しいものはさらに貧しくという状態である。所得上位20%と同下位20%の格差は、

実に10.2倍にもなっている。米国は約8.4倍、ドイツやフランスの西欧諸国は5倍に近い。この構図から言えば、中国は紛れもなく「資本主義国」である。

 

未だに、不動産所有に税金が掛らないのが中国である。固定資産税がない以上、不動産バブルが起こって当然である。こういう不公正な税制を是正もせず、共産党員の利益擁護に邁進しているのだ。

 

(2)「習近平国家主席は所得分配の不均衡が将来の経済成長を脅かすとして、格差是正対策を進めようとしているが、所得格差は15年からそれほど変わっていない」

 

2015年以来、所得格差が縮まらないのは、不動産バブルが大きな影響を与えているだろう。めぼしい金融資産がないので不動産が唯一の貯蓄手段になっている。社債や株式も存在するものの、格付け自体がデタラメである。格付け本来の役割をしないという恐るべき社会である。

 

(3)「コロナ抑制で20年後半までに正常な経済活動再開が可能になった。だが、家計支出の伸びはまだコロナ前の水準に戻っていない。1人当たりの消費(インフレ調整後)は20年に4%減少。ブルームバーグ調査では、米国の個人消費支出は昨年3.8%減ったとみられており、米中で同じような低迷ぶりを示している。中国の小売売上高は20年に前年比3.9%減と、米国を含む先進国より急激な落ち込みとなった。労働者の自宅待機や失業への対応で先進国の政府は給付金を提供し、これが消費支出を支えた。他国と同様、中国でもサービス業への打撃は大きく、飲食店での支出は昨年17%近く減った」

 

中国の小売売上高は、20年に前年比3.9%減。米国を含む先進国より急激な落ち込みとなった。これは、所得格差が大きいことを反映して、低所得者が貯蓄を殖やし、消費を減らした結果である。

 


(4)「長期的に一段と消費がけん引する経済へのシフトを目指す中国政府だが、昨年の個人支出低迷で経済に占める最終消費の割合は低下した。ただ、低下幅は予想より小さく、政府が景気拡大を促すため公的債務の抑制を緩め、消費財・サービス関連支出を増やしたことが寄与した可能性がある」

 

このパラグラフでは、民間最終消費支出と政府最終消費支出を混同している。個人消費は、政府消費を含まないのだ。中国政府は、わざと混同させて両者を合計して発表し、あたかも個人消費が高いという印象操作をしている。

 

民間最終消費支出の対GDP比(名目値)は、これまで40%を割っている。主要国では最低である。2020年では、さらに割り込んでいるであろう。この中国が、内需主導経済を目指すという。40%を割っている民間最終消費支出で、経済が持つはずないのだ。