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韓国地裁による旧慰安婦賠償判決は23日、日本政府が控訴しなかったので一審判決が確定した。不思議なのは、原告が賠償金一人1億ウォン(約970万円)の請求権を放棄するというのである。原告の多くは、すでに日本政府の提供した10億円から資金を受領しているので、賠償金「二重取り」という汚名を避けたのであろう。

 

韓国の原告が、判決が出て賠償金を受領しないのは、裁判目的が日本政府に勝訴することにあったと説明している。韓国地裁から、原告勝訴の判決を得たので目的を達成した、というのだ。ここで疑問なのは、この裁判は足かけ8年にも及んでいることである。その過程(2015年12月)で日韓慰安婦合意が成立し、日韓両政府は「慰安婦問題は最終的にして非可逆的解決」したはずだ。

 


原告の多くは、この合意によって資金を受領しながら裁判を続けるという、「違法行為」をしたことになる。本来ならば、日本政府の提供資金を受領した時点で、原告団から脱退すべきであったのだ。それが、原告団に止まったのは、日韓慰安婦合意に背く行為である。今になって、賠償金を受領しないと言い出すのは、日本政府を愚弄する行為である。

 

『ハンギョレ新聞』(1月20日付)は、「『慰安婦』判決で韓日関係が破局、大げさに騒ぐのはやめよう」と題する記事を掲載した。

 

慰安婦判決は、強制動員被害者への賠償を命じた2018年10月の判決のように、韓日関係を破綻へと追い込むことになるのでしょうか。結論から言えば、そんなことにはならないだろうと予測することができます。

 

(1)「韓国内の多くの専門家が、韓日の摩擦を避けるために国際司法裁判所の紛争解決手続きに従おうと言ったり、「くみしやすい日本を相手に行くところまで行きついた韓国司法の冒険主義は、完全に別の次元に踏み込んでいる」(「朝鮮日報」のソン・ウジョン副局長)との懸念の声をあげたりしています。しかし、本判決を支持する「正義の視点」ではなく、「現実外交的視点」に立つとしても、本判決について我々が大きな過ちを犯したかのように、過度に大げさに騒ぎ立てたり姿勢を低くしたりする必要はないと私は判断します」

 

慰安婦裁判の原告は、この裁判が終われば後で賠償金を請求する行動を起こさないと示唆している。

 

(2)「強制動員訴訟とは異なり、今回の慰安婦訴訟は、被害者たちが日本政府から金を受け取るために始めたのではありません。被害女性たちは長きにわたる水曜集会の歴史の中で、自らが長い闘争に立ち上がったのは「金のためではない」と強調してきました。日本政府が1月8日の判決の趣旨を受け入れ、慰安婦制度が「日本が組織的かつ計画的に運営した国家犯罪」であるという事実を認めれば、その時点で全ての対立は解消され得ます。つまり、被害者やその遺族には、日本政府の財産を実際に探し出して、差押え・売却などの強制執行手続きを開始する意志はないのです。被害女性たちが願うのは金ではなく、歴史的な正義だからです」

 

慰安婦制度が、「日本が組織的かつ計画的に運営した国家犯罪」という事実を認めれば、全ての対立は解消されるとしている。だが、日本の国家犯罪という言い分は、朝日新聞のねつ造記事をそのまま、オーム返しにしたもの。当時の売春公認の下では、自由意志で慰安婦になったと言って差し支えない。ただ、軍部が女性達を保護する目的で間接的な関わりをもったことを、「組織的かつ計画的に運営した国家犯罪」と決め付けるのは、牽強付会(けんきょうふかい)の典型例である。

 

(3)「1月8日に判決が出た第1次訴訟の原告(遺族含む)は12人、3月24日に弁論期日が延期された第2次訴訟の原告は20人です。この32人のうち、かなりの人が、12・28合意(注:日韓慰安婦合意)によって作られた和解・癒し財団から1億ウォンを受領しています。普段から歴史的な正義を強調してきた被害女性たちが、財団からも支援金を受け取りつつ、この判決で金を受け取るために「他国の国家財産に対する強制執行」という無謀な行いをするとは考えにくいのです。第2次訴訟の原告代理人であるイ・サンヒ弁護士も「日本政府が判決の趣旨を受け入れればよい。被害女性たちがほしがっているのは金ではなく歴史の正義」と述べています

 

1次訴訟と第2次訴訟の原告32人のうち、かなりの人が、日本政府提供資金を受領していた。これは、重大な「合意違反」である。日韓慰安婦合意では、「最終的かつ不可逆的に解決」としている。その協定に基づく資金を受領したことで即、訴訟から降りるべき義務を負っていたのだ。これは、重大な義務違反に当る。賠償金の「二重取り」を意図していたからだ。

 


(4)「今月8日の判決による韓日の対立は、「静かな対峙」として長期化する可能性が高いのです。韓国の原告はこの判決により、1991年8月のキム・ハクスンさんの初の証言から30年にわたる長い闘争の末、日本政府に「法的責任」があったことが韓国の裁判所から認められました。そのような意味において、この判決は、長い慰安婦闘争の最後を飾る「象徴的な判決」と言えます。日本政府も、本人たちが「最終的かつ不可逆的に解決された」と主張してきた慰安婦問題の解決に向けて、国際司法裁判所に持ち込むという無茶はしないでしょう

 

原告団は下線に示したように、日韓慰安婦合意に達しながら裁判を継続したことに、忸怩たる思いがあるようだ。すでに原告の資格を失いながら「二重取り」裁判を継続したこと。韓国裁判所がそれに気付かなかったことは、大きな誤りというほかない。日本政府が、国際司法裁判所に訴えることを恐れている。韓国に不都合な事実があるからだ。

 

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