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米国の前トランプ政権によるファーウェイ排除が、EU(欧州連合)全体で定着してきたことが判明した。欧州は、4G基地局までファーウェイが建設してきた。それだけに、5Gからはファーウェイを排除するという米国の言い分が、なかなか理解されなかった。だが、中国が香港へ強引に「国家安全法」を導入し、「一国二制度」を破棄したことから、中国政府に不審の念を強め、結果として5G基地局建設でファーウェイ排除の流れが固まった。

 

『日本経済新聞』(1月24日付)は、「バイデン政権と『技術同盟』期待、欧州連合がファーウェイ対策強化」と題する記事を掲載した。

 

2020年は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する欧州の政策が大きく変化した年だ。米国のトランプ前大統領が、重要情報が中国当局の手に渡るといった安全保障上のリスクがあるとして、同社を高速通信規格「5G」のネットワークから排除するよう圧力をかけた。その結果、欧州連合(EU)加盟国のほとんどで、5Gインフラの対策が強化される見通しになった。


(1)「英国は欧州でファーウェイに対して最初に断固とした行動を取った国の一つだ。英政府は当初、中核部分からのみの排除という対応だったが、20年7月に全面的に禁止すると決め、通信会社に対し27年までに通信ネットワークからファーウェイ製品を排除するよう求めた」

 

ファーウェイは、4Gまで欧州最大のシェアを誇ってきた。当然、5Gでも過去の投資が生きるので有利な立場にあった。そこへ、ファーウェイ5Gに「バックドア」疑惑が持ち上がり、北京で情報操作可能という技術的脆弱性を突きつけられ、脱ファーウェイへ舵を切り替えた。その先頭を切ったのが英国である。

 

(2)「一方、欧州最大の通信市場を持つドイツは、全面禁止に慎重な態度を示してきた。メルケル首相は当初、ファーウェイ排除の可能性を否定していたが、米国から圧力を受け、連立政権内でこの問題を巡る論争を収拾しなければならなくなった。そして、国内ネットワークの中核部分で安全性の審査を厳格化する法案の審議を始めた。新型コロナウイルス感染症の拡大でデジタルインフラへ注目が集まったことも、政策決定に影響を及ぼしている」

 

ドイツは、「嫌米ムード」が強いこともあり、米国の反ファーウェイ要請を撥ね付けてきた。だが、メルケル首相の権力が落ちるとともに、脱ファーウェイへとムードが切り替わった。中国政府の人権弾圧という事態を見せつけられ、ドイツとしては最も敏感な問題(ナチス関連)ゆえに、脱ファーウェイを鮮明にし「人権擁護国」という立場にならざるを得なかったのであろう。

 


(3)「デンマークに本拠を置くITコンサルタント、ストランド・コンサルタントのジョン・ストランド氏は、「新型コロナの流行が始まってから、欧米の政治家の多くは通信が、電気や水道と同様に現代社会の基本的なインフラだと認識した」とし、「香港で起きたように、中国の攻撃的な行動が激化していることを考慮し、欧州は中国企業との取引の安全保障上のリスクを理解するようになった」と述べている」

 

香港に見せつけられた中国の強権体質に、欧州は改めて中国企業と取引する安全保障上のリスクを認識するようになった。これは、事実であろう。価値観の異なる中国の企業が、普遍的価値観に裏付けられた自由世界の企業と異質であることを知ったことはプラスである。その意味では、トランプ政権の指摘がなければ将来、いかなる損失を受けたかもしれないという恐怖感に襲われているに違いない。

 


(4)「欧州委員会は20年12月、米国との協力を望む分野を発表した。新型コロナと気候変動に加え、5Gも含まれていた。その中で「EUは米国に対し、安全な5Gインフラを世界中に構築する際、欧州の技術的指導力に基づいて進めるよう提案する」としている。CSIS(米戦略国際問題研究所)のルイス氏は、「米国は日本、欧州とともに、安全な5Gサプライチェーンに向けた政策を決めた。その取り組みがEUとの『技術同盟』の可能性を生み出す。バイデン政権にとって大西洋の両岸関係の再建が優先課題だ」と述べた」

 

話も変れば変るものだ。欧州委員会(EUの執行委員会)は、米国に対して世界中へ5Gを普及する際、欧州の技術的指導力に基づいて進めるようと要請するまでになっている。北欧の有力通信機メーカーの技術を使えと言うのである。CSISのルイス氏は、日本・米国・欧州の「技術同盟」を提案している。5Gが生んだ連帯意識を発展させようというものだ。いよいよ、中国は仲間外れという色彩が濃くなってきた。

 

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