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韓国国内は、旧慰安婦賠償判決で大荒れである。韓国政府が、「日本にいかなる追加的請求もしない」と明らかにしたからだ。これに対して慰安婦原告側は25日、「被害者が判断して、日本政府へ強制執行しろというのか」と反発している。

 

韓国政府は23日、慰安婦被害者が日本政府を相手取り損害賠償を請求して勝訴した判決で、「政府レベルでは日本に追加請求しない方針」と明らかにした。その上で「慰安婦被害者と相談し円満な解決に最後まで努力したい」と説明した。この政府説明が、原告側に十分に伝わっていないようである。

 

原告団は、賠償金を日本に求めないという姿勢を示してきた。原告団の過半が、先に日本政府の提供した資金10億円の一部を受領しているからだ。ここで、判決に従いさらに一人1億ウォン(940万円)を受け取れば「二重取り」となって、逆に批判される側に立たされるのだ。

 


『中央日報』(1月25日付)は、
「『慰安婦判決困惑している』文大統領の急変…『私が知っている大統領なのか』」と題する記事を掲載した。

 

(1)「旧日本軍慰安婦被害者に対する日本政府の損害賠償責任を初めて認めた韓国裁判所の判決が23日に確定した。韓国政府が、「日本にいかなる追加的請求もしない」と明らかにした。この日慰安婦被害者側代理人のキム・ガンウォン弁護士は中央日報との電話で「人権を標榜する政府と大統領なのか」と反問し、「韓国政府が日本との関係を意識して態度が急変したようだが、被害者の心は深く傷付いている」と話した」

 

韓国政府はこれまで、司法判断には介入しないとの立場であった。だが、日韓関係悪化を放置できないので、「積極介入」に転換した。この結果、韓国政府が「日本にいかなる追加的請求もしない」と明らかにしたのだ。

(2)「大韓弁護士協会のチェ・ボンテ日帝被害者人権特別委員長は、「日本政府の資産を強制執行する状況まで行くのは最悪のシナリオで、これを韓国政府が乗り出して防いでも具合が悪い状況なのにやるべきこともやらないということ。被害者が判断して強制執行をしてほしいとそそのかすのと変わらない」と批判した」

韓国には、日本政府資産の差押えが外交的に最悪事態という指摘も出ている。

 


(3)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は最近になり韓日外交関係に対し立場変化を見せた。文大統領は18日の記者会見で、裁判所が慰安婦被害者に対する1億ウォンの補償を決めた判決に対し「困惑している」「強制執行の方式で(日本企業や政府の財産が)現金化されたり判決が、実現される方式は両国関係に望ましくない」として苦しさを表明した。これまで韓日間の懸案に強硬な立場を取ってきた態度とは変わった」

 

文大統領の対日姿勢は最近、急速に変わっている。融和的になってきたのだ。これは、7月の東京五輪を舞台に、文氏が日米韓朝4ヶ国の首脳会談を目指しているためだ。

 

(4)「文大統領は、「慰安婦判決は2015年の合意が両国政府間の公式的な合意だったとの事実を認める」とも話した。2017年12月に韓日慰安婦合意検討タスクフォースの調査結果発表後、「手続き的にも内容的にも重大な欠陥があったことが確認された」と明らかにしたのを事実上翻意した格好だ。2018年2月に日本の安倍晋三首相(当時)との首脳会談で「政府間の交渉で解決できるものではない」としていた話とも違う」

 

このパラグラフでは、文大統領がこれまで発言してきたことと、大きく食い違っている点を指摘している。反日から親日(?)へ切り替わったような印象である。韓国の旧慰安婦賠償裁判の関係者は、この変化に戸惑っているのである。

 


(5)「慰安婦被害者側は、外交的解決が見込めない場合、強制執行手続きに入るほかないという立場だ。キム・ガンウォン弁護士は「すでに差し押さえ可能な日本政府の資産内訳を確認する作業に着手した」と明らかにした。日本企業強制徴用賠償判決の時のように日本政府の韓国内資産を差し押さえた後に売却し賠償金に替える方法を探すという話だ」


下線のように外交的解決を前提にしている。これは、韓国政府がすでに明確にしている。政府が、「日本にいかなる追加的請求もしない」と明らかにしたからだ。日本が、提供した10億円の使い残しがあるはずである。ただ、「二重取り」はすべきでない。これだけは、念を押しておきたい。

 

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