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文政権の外交は米国へ顔を向け始めているが、韓国大企業のハイテク投資も米国重視を鮮明にし始めた。米中対立の長期化を見据えた方向転換である。米国の技術基盤と市場の厚みは、中国のとうてい及ぶところでないことを立証した。中国にとって、韓国大企業が背を向け始めていることは、痛手であろう。

 

米IBMはこのほど、中国基礎研究所を閉鎖したことがわかった。IBMは声明で「中国での研究開発戦略を調整している」としている。IBM中国基礎研究所は1995年、北京市の国家級ハイテク技術産業開発区である中関村で設立された。中国本土で初めて、多国籍企業が設立した研究機関となったが、米中対立という外交問題から撤退を決めたものだ。

 

こうして、米中対立の長期化は中国へ大きな影響を与える事態を迎えている。中国が、西側から技術面で閉出されることは、経済的に痛手である。

 

『中央日報』(1月27日付)は、「『中国信じられない、東進せよ』…韓国大企業で熱い『バイ・アメリカ』」と題する記事を掲載した。

 

最近、韓国企業の海外投資が太平洋東側の米国に集まっている。特に年末から20大企業を中心に米国内直接投資が目に見えて増えている。投資規模も熱い。兆単位の投資にも迷いがない。SKグループの場合、インテルの半導体事業部(NAND型フラッシュ)と水素エネルギー企業プラグパワーの株式取得などを合わせて12兆ウォン以上を投じた。ブルームバーグは21日、「サムスン電子が100億ドル以上を投資し米テキサス州に半導体工場の設立を検討している」と報道した。

 

(1)「韓国企業の米国に向けた投資は、統計が証明する。企画財政部が集計する海外直接投資のうち対米直接投資の割合は2018年から上昇している。海外直接投資で米国が占める割合は2018年に21.9%を記録した後、2019年に23.8%、2020年には7-9月期に25.5%と毎年上昇している。だが海外直接投資で中国が占める割合は2018年と2019年に9.3%を記録したが昨年7-9月期には7.7%に下落した。最近の6年を見ると2015年9.8%にピークに達した後、中国のシェアは下落傾向だ」

 

韓国企業の対米投資の比率は、2020年7~9月期に25.5%に達した。毎年上昇している。中国の比率は2015年9.8%をピークにし、その後のシェアは下落傾向を強めている。韓国企業は、中国を主要舞台にしているイメージだが、現実は全く異なって米国がメインになっている。韓国外交が、中国へ顔を向ける経済的な要因は減っているのだ。

 


(2)「米中投資が交錯した契機は米中貿易対立と中国の高高度防衛ミサイル(THAAD)報復のためというのが専門家らの指摘だ。全経連のイ・ソウォン国際協力チーム長は「米中貿易対立状況の中で韓国企業が米国市場を選択したもの。中国の低い人件費を見て進出した韓国企業にとって中国市場の魅力が落ちた側面もある」と話した。チェ・ウォンピョ氏は「2016年の中国のTHAAD報復の傷が韓国企業に大きく残ったもの。こうした流れはしばらく続くものとみられる」との見方を示した」

韓国企業が米国重視へ戦略転換した契機は、2016年のTHAAD問題で中国による韓国への経済制裁である。「中国は信じられない」というムードを高めたのだ。

 

(3)「米国投資に参入した韓国企業が注意すべき点も少なくない。バイデン大統領がスローガンに掲げた「make it in America」は、韓国企業が考慮すべき代表的な変数に選ばれる。全経連によると、米国内製造、米国産原材料購入と調達、外国進出企業の米国回帰がこのスローガンの3大政策だ

 

バイデン政権は、米国内製造業の振興策を掲げている。目的は、雇用促進である。

1)米国内製造

2)米国産原材料購入と調達

3)外国進出企業の米国回帰

この3点から見れば、外資系企業も米国内で投資することは歓迎するはず。トランプ前政権と同じ政策と見るべきだろう。



(4)「バイデン政権が、トランプ政権に続き対中強硬政策を継続する可能性が高く、韓国企業が二者択一の岐路に立たされるという見通しも出ている。バイデン大統領が、台湾系2世出身のキャサリン・タイ氏を米通商代表部(USTR)代表に指名したのも対中強硬政策が続く可能性を高める要素だ。対外経済政策研究院のユン・ヨジュン米州チーム長は、「半導体などICTと先端産業を中心に米国の対中強硬基調は続く見通し。韓国企業は中国から抜け出して市場を多角化したり、サプライチェーンを多様化するなど両国の対立に備えなければならない」と話した」

バイデン政権は、労働者保護が鮮明であるから、国内雇用増加に寄与する海外投資を大歓迎のはずだ。ただ、米国内の原材料購入と調達というハードルを越えなければならない。加工組立型の製造業は歓迎されないのだ。一貫生産体制が前提である。

 

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