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二大リスクに直面の中国

安保では南シナ海と尖閣

米の深慮遠謀で守り完璧

中国の生産人口減少一途

 

中国は、米国トランプ政権による「米国第一主義」の間隙を縫って、世界外交の主導権を握れるチャンスを掴めないどころか、大きな失敗に陥った。新型コロナのパンデミックをもたらし、世界経済を大混乱させたからである。それだけでない。香港への国家安全法導入で民主化弾圧、新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒の100万人拘束、南シナ海での島嶼占領による人工島建設、軍事力で台湾をねじ伏せようとする強硬策など、数え上げたらきりがない「いざこざ」を生んでいる。

 

香港への国家安全法導入は、中英で結ばれた「一国二制度」を破棄するもので、条約や協定という国際間で遵守されるべき国際法に違反した。これが、中国への信頼感を根底から奪うことになった。また、中印国境における中国軍のインド軍急襲で、約20名を殺害する軍事紛争を引き起した。これに反発したインド政府は、経済面での対中国関係を見直し制裁に踏み切っている。これを契機に、インドは日米主導の「インド太平洋戦略」(日米豪印=クワッド4ヶ国)の関係強化に乗出した。

 


二大リスクに直面の中国

中国は、自ら種を蒔いている紛争によって、外交的な危機感と孤独感を深めている。その証拠に、習近平国家主席が中国はさまざまなリスクや課題を予見すべきとした上で、「ブラックスワン」や「灰色のサイ」のような事象に備える必要があるとの考えを示したのだ。新華社が1月29日に伝えた。

 

「ブラックスワン」とは、予見が困難で起こる確率は低いものの、発生した場合には甚大な影響をもたらす事象を指す。「灰色のサイ」は、高い確率で深刻な問題を引き起こすと考えられるにもかかわらず、軽視されがちなリスクを意味する。習氏は、こうした「ブラックスワン」と「灰色のサイ」に備える必要性を訴えたのだ。

 

「ブラックスワン」と「灰色のサイ」は、具体的な中身が不明である。これは、安全保障と経済の二面を意味するはずだ。安全保障では、米国バイデン政権が、同盟国を団結させて対抗する兆候を明らかにしてきた。

 

米国の国務長官認証聴聞会で「イラン」には73回、「中国」には66回も言及。国防長官認証聴聞会でも「中国」には74回、「イラン」には10回言及したという。これは、総合的な外交と防衛の戦略で、圧倒的に中国に焦点を合せていることを明らかにしている。米同盟国は先進国を網羅しており、とうてい中国の及ぶところでない。それだけに、一旦緩急あらば、中国は包囲される潜在的リスクを抱えている。習近平氏は、このリスクに気付かず「火遊び」を重ねてきた。今やこの積み重ねによって、大きな危険性を身に纏ったのである。

 

安全保障リスクだけが、中国の運命を脅かしているのではない。経済面でも大きな課題を抱えている。昨年の中国経済が、主要国で唯一のプラス成長(2.3%)を実現したことで、2020年代後半に米中GDPが逆転するという予測が出始めている。これは、成長の中身を問わない外形(成長率の高さ)を単純に未来へ延長した「無責任」予測という色彩が濃いのだ。人口動態の急速悪化というアキレス腱を無視して、経済のマラソンレースの順位を予想するような無謀なものである。この点は、これまでの日本経済分析で得た私の知見をフルに発揮して、米中GDP逆転はあり得ないと言うほかない。この問題は、後半で取り挙げたい。

 

安保では南シナ海と尖閣

中国は現在、自分の犯してきた「無謀」の影に怯えているという側面が強い。南シナ海と尖閣諸島を巡る問題である。

 

中国の指導部は、日本の海上保安庁に相当する組織である海警局の役割を強化する。2月1日から実施される。海警局警備船が武装化して、公海上で他国船舶を「臨検」したり、航海を妨害する権限を持つことは、極めて危険な動きである。中国軍と連携し、平時から軍と共同訓練をできるようにするという。戦時では軍の指揮下に入り一体的に運用するというのだ。周辺国にとって大きな脅威となる。

 

米国務省はアジア各国と緊密な連絡を取っている。ブリンケン国務長官は1月27日、フィリピンのロクシン外相と電話会談し、国際法で認められていない南シナ海での中国の権益主張を拒否する米政府の考えを伝達し、中国に対抗する姿勢を示した。国務省によると、ブリンケン氏は、南シナ海での中国の海洋進出を念頭に、フィリピンの軍や船舶、航空機が攻撃された場合、米比相互防衛条約の適用対象になることも確認した。中国の圧力に直面する東南アジア諸国との協力も約束した。(つづく)

   

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