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韓国最大野党である「国民の力」の金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員長が1日、釜山を訪れて「日韓海底トンネル建設」案を打ち出すと、与党「共に民主党」は日本への利敵行為という理由で猛反発している。文大統領は、日本への接近姿勢を強めているのに、与党は日本を「敵」扱いだ。韓国進歩派の本音が、ポロリ出た感じである。

 

日韓海底トンネル論は突然、降って湧いた話である。4月の釜山市長選を前に、野党が選挙戦を有利に運ぶためのアドバルーンだが、与党は「日本への利敵行為」という言葉を使って反対する騒ぎに、韓国社会の反日の深さを改めて示している。

 

文政権支持メディアの『ハンギョレ新聞』は、政府の意向を受けたのであろう早速、「日本利敵論」の火消しに追われている。文大統領は7月の東京五輪で、日本に北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)氏を招待して貰い、南北会談を狙っている手前、困った事態が起こったのだ。

 


『ハンギョレ新聞』(2月3日付)は、「『韓日海底トンネル』にとんでもない『イデオロギー論』」と題する記事を掲載した。

 

野党「国民の力」が、47日の再選・補欠選挙にともない行われる釜山(プサン)市長選挙を控え打ち出した「加徳島(カドクド)・九州海底トンネル」の公約に対し、突然、親日議論が広がった。韓国と日本の間に海底トンネルを作れば日本に一方的に有利であるため、「親日公約」だというのが共に民主党の主張だが、共に民主党内でも強引に親日フレームをかぶせようとするものだという批判が出ている。

 

(1)「共に民主党のチェ・インホ首席報道担当は2日午前、書面で論評を出し、「韓日海底トンネルは、日本利益がより多くなりうるという点で推進力を得られなかった、親日的な議題」だとしながら、「日本が先に提案もしない未成熟な論点を、広域自治体の首長選挙を控え突然取り出したのは、本当に無責任な処置」だと批判した。そして、「北風工作から海底トンネルまで、国益を考慮せず選挙にだけ没頭する『国民の力』は、誤った主張を撤回せよ」と主張した」

 

韓国政界は現在、与野党が激突している。文政権が、北朝鮮へ原発を「寄付」する提案をしたのでないかという問題が持ち上がっているからだ。国内では、原発廃止を実行しているにも関わらず、北朝鮮へは原発寄付構想が利敵行為になるという筋書きである。こうして、野党は「北朝鮮利敵論」を叫び、与党は「日本利敵論」という対立構図である。

 


(2)「ホン・イクピョ政策委議長もこの日、 韓国放送(KBS)で、「海底トンネルを通じて私たちが得る収益は、日本に車で行くということしかないが、日本は、我が国と北朝鮮を経て、中国、ロシア、欧州にまで行くことができる道が開かれる」としながら、「極めて不適切な政策選挙公約だ。韓国より日本のための政策であるのに、なぜ、突然不意に言い出すのか理解できない」と批判した。 そして、「私たちが得る収益がおよそ5であるならば、日本が得る収益はおよそ500以上になるだろう」としながら、「これこそ、キム・ジョンイン委員長がおっしゃった利敵行為に近いことだ」と批判した」

 

日韓海底トンネル論は、日本がつくった戦前からの構想である。それが、金大中大統領時代の日韓雪解けとともに浮上したもの。戦後の日韓海底トンネル論は、韓国が持ち出したのである。韓国が得る利益がおよそ5であるならば、日本が得る利益はおよそ500以上になるだろう、というのは全くのデタラメ話である。こうやって、民衆の反日を煽っているのだ。

 

(3)「野党「国民の力」はでたらめだという立場だ。チュ・ホヨン院内代表はこの日、「親日利敵行為であるならば、本人(共に民主党)の大統領時代に主張したあの方(注:2人の民主党出身の大統領)も親日なのか、その部分から先に返事を待つ」と反発した。 1999年、金大中(キム・デジュン)大統領が日本を訪問し、海底トンネルに肯定的に言及したことがあり、2003年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が、当時の日本の小泉首相との首脳会談で海底トンネル推進を論議した事実を示したのだ」

 

このパラグラフに、これまでの日韓海底トンネル論の経緯を指摘している。韓国は、進歩派大統領が音頭を取って盛上げてきたのが真相。日本利敵論は、全く当らないのだ。

 


(4)「野党「国民の力」は特に、キム・ジョンイン非常対策委員長の発言を「利敵行為」だと言及したホン・イクピョ政策委員会議長を狙いに出た。キム・イェリョン報道担当は論評で「『突然だ』『日本だけ得をする』さらに『利敵行為』とまで言い、野党第一党の代表を攻撃する旧時代的な遺物のような政治を行う底意は疑わしい。韓日海底トンネルの推進が『利敵行為』であるならば、共に民主党は日本を敵に規定しているのかも問いたい」と反発した

 

野党から、下線部のように与党の「日本利敵論」を指摘されると、与党はグーの音も出ない。文政権が日本接近中であり、この外交戦略を台無しするからだ。

 

(5)「共に民主党内からも、過度に単純な1次元的な批判だという指摘が出ている。海底トンネルは航空業界やホテル業界などの利害関係が複雑に絡んでおり、地域の利益と国家全体の利益を総合的に突き詰めなければならない複雑な事案であるにも関わらず、極めて断片的な“善悪の議題”にしてしまったということだ。与党関係者は「選挙を控え、深い考えもなしに突然海底トンネルを提案した『国民の力』は批判されて当然だ」としながらも、「露骨な非難は両国関係の役に立たない。あのようになるのであれば、もはや共に民主党政権には、海底トンネルは検討さえできない議題になるだろう」と述べた」

 

日韓海底トンネル論が日本利敵論になれば、韓国進歩派は二度とこの問題について検討できなくなるだろう、と指摘している。その通りである。第一、日本側が全く無反応の問題を韓国側だけで賛成・反対と叫んでみても無駄である。日本が絡む問題になると、こうやって「場外乱闘」を始めることに不思議な感じがするのだ。

 

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