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役所へ夜陰に忍び込む公務員

北朝鮮へ原発プレゼント3案

北は欺瞞術教本に則り行動へ

米が失敗と判定する韓国外交

 

文在寅(ムン・ジェイン)大統領の残り任期は、15ヶ月程度と少なくなってきた。文氏は、レガシーとして南北交流に全力を挙げる構えだ。これまで、強硬であった対日政策も緩和に動き出すなど腐心している。文氏の北朝鮮への「愛情」が、国内で廃止に踏みきった原発を、北朝鮮へは電力不足の切り札として建設する案を検討させたのである。

 

韓国国内では、「危険」であるとの理由で操業中の原発を廃止させる一方、建設中の原発2基は工事中止という荒療治を行った。その危険である原発にもかかわらず、北朝鮮へは建設しようという計画が明るみに出たのだ。文政権は、原発の取り扱いが国内と北朝鮮で正反対という二重基準であった。同時に、そこまでやって北朝鮮へ奉仕し、南北対話再開に持込みたいという執念に驚かされるのである。

 


原発建設は、韓国と北朝鮮だけの合意で建設できるものでない。
原子力関連事業は、核拡散防止条約(NPT)・国際原子力機関(IAEA)などが関連している。要するに、米国など国際社会と必ず協議して、安全性を確保しなければならない。北朝鮮は、かつて軽水炉原発建設に着手しながら、核開発が露見するという契約違反を問われ、途中で建設を放棄させられた一件がある。こういう過去を持つ北朝鮮へ、韓国が原発建設計画を持込むのは、非常識という一語に尽きるのである。韓国野党とメディアが、一斉に批判している。

 

役所へ夜陰に忍び込む公務員

韓国が、北朝鮮へ原発を建設するという「驚くべき計画」が露見したきっかけは、次のようなものであった。

 

韓国月城(ウォルソン)原発1号機が、操業中にも関わらず突然、操業停止になった。これについて、韓国監査院(日本の会計検査院)が会計監査に入る直前(2019年12月1日)、政府の産業通商資源部(省)の公務員らが夜陰に紛れて役所へ忍び込み、関連データを削除するという違法行為を行った。その中に、無関係のはずの「北地域原発建設推進方案」文書も一緒に削除されていたことが判明した。北朝鮮原発推進案である。

 

産業通商資源部の公務員が、違法に削除したファイル530件の中に前記北地域原発建設推進方案」文書入っていたのである。このファイルは全て、「60pohjois」というフォルダに収められていたという。「pohjois」とは、フィンランド語で「北」という意味である。これらの文書は、2018年4月27日の南北首脳会談が終わり、5月26日に第2次首脳会談が開かれる直前、52日から15日にかけて集中的に作成されたことが判明した。

 


この時間軸を見ると、
北地域原発建設推進方案」文書は第1次南北首脳会談の後に大急ぎで作成され、第2次南北首脳会談に間に合わしたことが読み取れる。その際、文氏は北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)氏と、二人きりで会った「橋上会談」でUSBメモリーを渡していることが確認されている。その会話の中で「発電所」という言葉が確認されている。韓国大統領府では、「火力発電所」と言い逃れし、問題のUSBメモリーは絶対に開示しないと力んでいるのだ。

 

大統領府と与党「共に民主党」は、2月2日も産業通商資源部による北朝鮮での原発建設検討計画について、「青瓦台(大統領府)が検討したことはなく、報告を受けたこともない。推進した事実はない」と強く否定している。しかし、文大統領が南北首脳会談で北朝鮮の金国務委員長に手渡したUSBメモリーは、「国家機密なので公開できない」と突っぱねている。公開はできないが、原発関連の内容ではないというのが与党の主張だ。この発言を聞いただけでも、心証は限りなく「黒」である。

 


日韓慰安婦合意を骨抜きにする際、文政権は慰安婦合意の交渉過程(国家機密)を公開したのである。文政権にとって不都合なことは、「国家機密」扱いにする。朴政権が取り決めた日韓慰安婦合意は、「国家機密」でなく公開する恣意的な扱いだ。「同じ外交機密でも、一つは非公開にし、別の一つは公開したというのは二重基準と見るしかない。相手が一つは北朝鮮、一つは日本ということ以外に差をつけた理由がない」と指摘されている。文政権の外交姿勢が、日本を足蹴にしながら、北朝鮮に対してはこれだけ「丁重」なのだ。

 

北朝鮮へ原発プレゼント3案

産業通商資源部の職員らが2018年5月に作成し、後ほど違法に削除した「北地域原発建設推進方案」文書には、次の3案が盛り込まれていた。『中央日報』(2月1日付)から引用した。

 

1)過去の韓半島(朝鮮半島)エネルギー開発機構(KEDO)が軽水炉の敷地として内定した場所に原発を建設する案

2)非武装地帯(DMZ)に原発を建設する案

3)工事を中断している国内の新ハンウル3・4号機を完工し北朝鮮に電力を送る案

 

これら3案について、それぞれ説明したい。この中で、文政権がいかに北朝鮮への原発建設を安易に考えていたかが分かり、唖然とさせられるのである。(つづく)

 

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