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韓国大統領府は、WTO(世界貿易機関)の次期事務局長選で大きなミスを冒した。産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長は、最終投票で大差を以て敗れたので、すぐに候補辞退の声明を出したかったという。だが、韓国大統領府は米国の支持を材料にして、兪氏の辞退発表を止めさせてしまった。

 

韓国は過去に、国連事務総長を出した経緯から、「二匹目のドジョウ」でWTO事務局長の座を狙ったという。この思惑が、WTO事務局長就任を3ヶ月も遅らせる大きな理由になったのである。いかにも韓国らしい「独り善がり」を示している。

 

『中央日報』(2月8日付)は、「米国と調整したという兪明希氏の辞退、本人は望んだのに韓国大統領府が極力引き止めた」と題する記事を掲載した。

 

WTO事務局長に挑んで辞退した産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長が、すでに昨年から候補辞退の意向を明らかにしていた。だが、青瓦台(チョンワデ、大統領府)が引き止めていたことが分かった。



(1)「兪氏は2月5日午後、予定になかった記者会見を行ってWTO事務局長候補の辞退を発表した。兪氏は会見場で「WTO次期事務局長に対する加盟国のコンセンサス(全員合意)導き出しのため、米国など主要国と協議を進めてきたが、WTOの機能の活性化の必要性などを総合的に考慮して辞退した」と説明した。また「辞退の意思決定を米国政府も尊重し、これを基に(韓米間)緊密に調整してきた」と説明した」

 

今回のWTO事務局長選で、最後まで苦しい立場に置かされたのは兪氏である。トランプ米政権が、突然の「兪氏支持」を打ち出し、次いで米国の政権交代が重なり、兪氏は身動きできない状態に追込まれた。韓国大統領府も「捕らぬタヌキ」で興奮し、候補を辞退して引き下がるタイミングを逃したのだ。


(2)「昨年6月、事務局長選挙に挑んだ兪氏は第1・2ラウンド(加盟国協議)を通過して最終候補2人にのぼった。しかし、昨年10月進めた選好度調査でナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ候補に先を越された。加盟国163カ国のうち102カ国がオコンジョイウェアラ氏を支持したほど片方に偏った。選好度調査の結果で遅れをとれば、これに承服して候補から辞退するのが慣行だ。(兪氏が)辞退しないため、国際社会では「無理に持ちこたえている」という批判を浴びた」

WTO事務局長選は、加盟国163カ国のうち102カ国がオコンジョイウェアラ氏を支持したほど、大差で兪氏は敗北を喫した。この結果を見れば、いくら米国の肩入れがあろうとも兪氏が、事務局長の椅子に座るのは困難であるくらい常識でも分かるはずだ。それが、兪氏への批判となって向けられたのだ。最も責められるのは、韓国大統領府である。

 


(3)「中国が支持したオコンジョイウェアラ候補に対応し、兪氏を支持したトランプ米政府が昨年11月大統領選で敗れると候補職を維持する「名分」もなくなった。兪氏が青瓦台(チョンワデ、大統領府)に候補辞退の意向を明らかにしたのはあのころだった。だが、青瓦台は兪氏の候補辞退を引き止めた。産業部核心関係者は、「兪氏が昨年、バイデン大統領当選直後、事実上当選の可能性がないと考えて辞退の意向を明らかにした。だが、青瓦台が『バイデン政府が立場を決める前まで待ってみよう』として極力引き止めた」と話した。結局、兪氏がいち早く明らかにした辞退の意向を青瓦台が保留し、バイデン米政府まで兪氏の辞退意見を伝えるとやむを得ず受け入れた模様だ」

 

韓国大統領府の常識外れが、今回のWTO事務局長の正式決定を大きく遅らせた理由である。

 

(4)「状況が変わったにもかかわらず、青瓦台が兪氏カードを貫いた決定をめぐり様々な見方が出ている。外交部内部事情に詳しいある野党要人は、「青瓦台は兪氏の今回の挑戦を『第2の潘基文(パン・ギムン)作り』作戦と考えて総力を挙げていた」と伝えた。野党要人は「もちろん、米トランプ政府の体面を考慮せざるを得なかった面もあった」としながら、「韓国は、『WTO事務局長を輩出した政府』という治績を逃がしたくなかったために最後まで希望を捨てず、結果的に勝算のない戦いを長い間引きずって、兪氏だけが困難な状況に置かれた」と話した」

 

文氏は、何一つ外交実績のない大統領で終わる可能性が濃くなっている。その中で、「WTO事務局長を輩出した国」という魅力が大きく、これに拘ってしまい引け際を誤ったのである。

 


(5)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、ロシアのウラジミール・プーチン大統領、ドイツのアンゲラ・メルケル首相、カナダのジャスティン・トルドー首相、オーストラリアのスコット・モリソン首相などと電話会談し、兪氏に対する支持を訴えるなど直接『外交使節』のように動いたが、『水の泡』になった。米通商代表部(USTR)は、兪氏が辞退の意向を明らかにした直後、声明を出して「オコンジョイウェアラ候補を次期WTO事務局長として強力に支持するということを表明することになりうれしい」と明らかにした」

 

文氏は、反日をやり過ぎた結果、ついに日本へ「WTO事務局長選」の電話をかけられなかった。GDP3位の日本とこういう関係で、韓国が国際機関のトップの座を狙うのは高望みであったと言えよう。韓国は今後、この教訓をどう生かすのか。

 

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2021-02-06

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