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中国の出生数は昨年3割減

華北高原が異常気象で打撃

バイデン普遍的価値観守る

TPP復帰が米国勝利の礎

 

米中対立は、中国の覇権挑戦が終わるまで続くとの見方が一般的である。中国の経済力が尽きるまで、米国覇権へ挑むというのだ。これは暗黙裏に、中国の敗北を前提にした見通しである。

 

中国は、米国覇権へ挑戦してもそのエネルギーが続くまい。そう見られるのは、次の3つの要因に基づく。

 

1)2020年の出生数が、前年比3割もの急激な減少に見舞われたこと。これが、人口動態に大きな傷跡を残し労働力不足を加速化させる。

2)世界的な異常気象によって水資源の不足が深刻化し、穀物生産に壊滅的な打撃を与える恐れが強い。

3)米国は、民主主義と人権を守る基本戦略によって同盟国強化を行う。これが、中国へと大きな圧力をもたらす。米国は、中国と妥協の余地がなく「30年戦争」にならざるを得ない。

 

「30年戦争」とは、1618~48年までドイツを舞台に繰り広げられた宗教(キリスト教の旧教と新教の争い)上の紛争である。デンマーク、スウェーデン、フランスをも巻き込み、これを機にスイスとオランダが独立するという歴史の激動に見舞われた。これが、後に長くドイツを欧州の「後進国」の地位に追いやることになった。

 

米中対立が、中国へ「30年戦争」のような混乱をもたらすのでないか、と危惧されるのである。習近平氏とその取り巻きの民族主義者グループは、そのような不吉な予想と逆に、米国から覇権を奪い取るという夢に酔っている。中国の置かれた客観情勢は、決してそのような甘いものでない。それが、前記の3要因に現れているのだ。

 


中国の出生数は昨年3割減

2月9日、中国国家統計局から発表された2020年の出生数が、前年比で31.5%減の1003万5000人であった。にわかに信じ難いほどの低い数字である。ここで過去の出生数の推移を見ておきたい。

 

5カ年の出生数は次の通り。

2016年 1786万人

2017年 1723万人

2018年 1523万人

2019年 1465万人

2020年 1004万人

 

過去の出生数の最低は、1961年大飢饉後の1180万人である。2020年の1004万人はこの過去最低時を下回ったことになる。1961年の大飢饉は、毛沢東による「大躍進政策」(1958~61年)の失敗で起こった人災である。約4500万人が餓死したともされる空前の危機であった。この当時すら下回る昨年の出生数は、中国の抱える社会的、経済的な苦悩を端的に示しているはずである。

 

2020年が、これだけの出生数減に見舞われて、すぐ頭に浮かぶものは新型コロナであろう。2月以降に公になったことで、これを主因と見るわけにはいかないであろう。それよりも大きい理由は、経済的な側面である。すなわち、不動産バブルで住宅価格はうなぎ登りである。新婚家庭では、マイホーム購入が差し迫った問題であり、出産まで考えられないのだ。こうして住宅ローンによる家計債務の増加が、可処分所得を減らすので出産抑制要因となった。

 


習近平氏は、これまで目先のGDP押し上げのテコとして、不動産バブルを利用してきた。だが、中国の将来に大きな影響を及ぼす出生減を招く事態になって、ようやく目が覚めたのである。今年1月から、不動産業と住宅ローンの貸付を大幅に制限し、不動産バブルの火消しに走るようになった。中国の経済政策は、こういう泥縄式で一貫性がない。

 

2020年の出生数激減は、決して一過性でない。中国で、女性の出産ピークは25~29歳である。この年齢層の人口は、30~34歳の人口より約1400万人も少ないと指摘されている。つまり、出産能力のある女性や、出産適齢期の女性の数が大幅に減少しているという事実が存在する。中国の出生減は、構造的な問題になっている。

 

出生数の減少は、やがて生産年齢人口の減少となり、中国経済の成長率抑制因子としてはね返る。その生産年齢人口の増減率を米国と比較し、中国経済の将来を考えたい。(つづく)

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