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文在寅(ムン・ジェイン)大統領の任期は、あと15ヶ月である。文氏は、この短い期間に南北対話を実現させて、大統領のレガシーとしたいはずである。この「文構想」は、実現するだろうか。

 

大きな前提は、米バイデン政権の北朝鮮政策が具体化することだが、米国側は北朝鮮懐疑派で占められている。トランプ政権のようなトップダウン外交ではないことを認識すべきである。

 

次は、北朝鮮が文政権を信頼しなくなっている点だ。ベトナム・ハノイの米朝会談では、文氏の甘い見通しが外れ、金正恩(キム・ジョンウン)氏が屈辱を味わった。2回も南北対話をしたが、目立った成果はゼロである。3回目の南北対話では、金氏がソウルへ行かざるを得ない。それは、独裁者にとって大きなリスクを伴う。北朝鮮国民が過大な期待を持ち、大きな成果を求めるからだ。

 

こういう状況を考えると、早期の南北対話再開は難しいであろう。北朝鮮は、文氏の二つの弱点を知っているからだという。一つは、残り任期期間の少なさである。約束しても実行の保障がないのだ。もう一つは、北朝鮮が韓国を脅せばなんらかの見返りがあることを知ってしまったことである。南北対話をするよりも、この方がメリットのあるという判断をしても不思議はない、というのだ。

 

『朝鮮日報』(2月12日付)は、「金正恩は文大統領の二つの弱点を知っている」と題する寄稿を掲載した。筆者は、マイケル・ブリン元ソウル外信記者クラブ会長。

 

韓国政府は、北朝鮮を交渉のテーブルに復帰させるという根本的目標に戦略的観点が欠けている。北朝鮮を対話に引き入れたいというのは良いアイデアのように見える。だが、本当にそうだろうか。事実を言えば、北朝鮮は和解に関心がないというのは極めて明白だ。数十年努力したが、何も変わらなかった。

 

(1)「南北対話(の前提)は、北朝鮮の価値観が変わらないといかなる目標にも到達し得ない。それは、必然的に金日成(キム・イルソン)の遺業に逆らうことになる。彼の孫にそれはできないというのを、今では全ての韓国国民が理解するようになったと思う。南北対話の目的とは、簡単に言えば戦争を防ぐことだ。防御のためのものという意味だ。そしてこの総体的防御には、軍事的にだけでなく、韓国の民主主義を損なわないことも含まれる。北朝鮮との真の和解は、必ず民主的価値に基づいて行わなければならず、韓国自ら民主的価値を守ることができなければ、真の和解の価値もまた損なわれるのだ」

 

北朝鮮が、価値観を変えない限りいかなる南北対話も成功しない。この価値観を返させるには、韓国の民主主義の価値観を北へ教えることだ。それが、北朝鮮の価値観を変えるきっかけになろう。

 


(2)「もし文大統領が金正恩に「韓国の体制では国民の権利を保護しており、私が望んでいるからといって全てはできない。私は法に従わなければならない。それが民主主義だ」と語ったら、対話の再開はできないだろうが、韓国の価値を強化し、独裁者を教育したことだろう。先まで見通すと、このようにやることの方が重要だ。韓国政府の顕著な特徴の一つは、長期的戦略がほとんどないという点だ。北朝鮮に対する長期的アプローチ法がないというのも明らかだ。5年単任制の大統領は未来の成果に対する功績を認めてもらえない。韓国では、政治だけでなく他の分野のリーダーも、前任者の成功を引き継ぎたがらない」

 

韓国には、北朝鮮への長期的戦略がないことである。超党派で話合われたことがないから、政権が代わるたびに右往左往する。安全保障政策の一環として、超党派で対北朝鮮の長期戦略を立てれば、北朝鮮も変わらざるを得まい。

 


(3)「だから、政策を作る人々は、深い戦略的要因よりも短期的・戦術的利点を優先視したいという誘惑に陥る。逆に金正恩は、戦略的に考えることができ、目の前の和解を追う韓国の切迫感を操縦できる。加えて金正恩は、この「操縦」がかなりうまい。よく知られている通り対北ビラ禁止法は、金正恩の妹、金与正(キム・ヨジョン)が脱北者を「人間のくず」と呼んで開城工業団地の連絡事務所ビルを爆破した直後に出てきた。韓国の対応は「泣く子に乳を飲ませる」ということわざによるもののようだ。それは失策だった。良き養育の第一の原則を忘れている。「あしき行動に補償を与えたら、あしき行動を奨励するだけ」という原則だ。

 

韓国の「5年単位」の対北政策に対し、北朝鮮は独裁政権ゆえに腰を据えて韓国を操縦できる時間的なゆとりを持っている。この差によって、韓国はキリキリ舞をさせられているのである。

 

(4)「金正恩は今、文大統領の二つの弱点を知っている。時間があまりないということ、そしてあしき行動にも喜んで補償しようとすることだ。大統領が望む突破口を用意するには、1年しか残っていない。これまで見てきたように、そうした突破口は開かれないだろう。韓国政府は、この事実を悟る前に、北へまた何を与えようとするのだろうか」

 

このパラグラフは、重要な点を指摘している。文政権の対北二大弱点である。

1)文大統領の時間があまりないこと

2)北朝鮮の悪しき行動にも韓国は喜んで補償しようとすること

 

この二点を見ると、文氏の対北政策は失敗することが分かるであろう。

 

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2021-02-04

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