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中国のIT事業は、米国の半導体禁輸で総崩れという脆弱性を見せている。国内で高級半導体生産が叶わぬファーウェイは、スマホ生産の穴を養豚事業という畜産業で生きるほかなく、これから「中国残酷物語」を開演する。

 

『大紀元』(2月19日付)は、「ファーウェイがAI技術で養豚業に進出、会社の生き残りかける」と題する記事を掲載した。

 

中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)はこのほど、米政府の禁輸措置により、事業の柱となるスマホ製造事業が大打撃を受けたことで、会社の存続を目指す新事業計画を発表した。同社が今後、人工知能(AI)技術などを使って、伝統産業である養豚業に進出することを計画の一部としていることがわかった。中国で大きく注目されている。

 


(1)「中国の複数メディアは15日、ファーウェイのマシンビジョン部門、華為機器視覚の総責任者である段愛国氏が、SNS「微頭条」に投稿し、同部門はAI技術を使う養豚事業計画「智慧(スマート)養豚」を発表したと、相次いで報道した。段氏によると、この養豚システムには、ビックデータ解析、デジタル化管理、AI識別、AI予測、ロボット巡視・検査、遠隔操作などの技術を利用する」

 

中国の養豚事業は、伝統産業である。中華料理に豚肉が不可欠であるためだ。世界のスマホ競争で、一時は世界一位を狙って躍進していたファーウェイが、米国の高級半導体禁輸措置で、あえなく養豚業へ転換とは「これ如何に?」である。中国IT業界の底の浅さを、これほど露呈した話もあるまい。

 

(2)「段氏は、華為機器視覚は今後、「智慧養豚」に取り組むとし、AI技術によって養豚飼養管理技術がさらに向上するとの見解を示した。ファーウェイはすでに昨年10月、『5G(次世代移動通信網)が現代養豚場のAIによる智慧養豚をリードする』との報告書を発表した。同報告は、AIとビックデータ解析による養豚場管理を主張した。ファーウェイ創業者の任正非氏は2019年8月20日、米AP通信の取材に対して「大学に進学しなかったら、養豚業に就職し、この業界の第一人者になれたかもしれない」と話した」

 

養豚業を低く見るのではない。中国IT産業の覇者が、こともあろうに養豚業へ転換するという技術連鎖の断絶に驚愕するのである。生きるために手段を選ばないとはいえ、余りにも方向が違うことに驚くのである。それほど、ファーウェイの技術蓄積はなかったのである。

 


(3)「IT業界の養豚業進出が相次いだ。アリババ集団の創業者である馬雲氏、京東集団の創業者の劉強東氏、網易の創業者の丁磊氏も参入した。中国のネットユーザーは、ファーウェイの養豚事業について、「ある意味で、IT技術者より、養豚業の方が儲かるということを教えてもらった」と否定的な声を上げた。ファーウェイは米国の禁輸措置により、スマホ製造に必要な半導体を調達できず、出荷台数が激減した。このため、同社は生き残りをかけるための事業計画を構想した」

 

あの光り輝くファーウェイの研究所は、高級半導体を生み出す力がなかったのだ。一体、何を研究していたのか。「5G」で、世界を抑えると豪語していたが、基礎技術とノウハウは全て米国依存であった。この点は、昨年7月に指摘されていたが、これほど早く技術面で「倒れる」とは予想外であった。

 

(4)「任正非氏は今月9日、山西省太原市のイベントに出席した際、同社は「南泥湾プロジェクト」を展開すると発言した。同プロジェクトの下でファーウェイは、石炭、鉄鋼、スマートスクリーン、ノートパソコン、タブレット端末などの分野だけでなく、さらに音楽分野にも力を入れていくという。任氏は、ファーウェイは同プロジェクトで、スマホ事業がなくても生き残れるとの見方を示した」

 

ファーウェイは、「脱スマホ」で多角経営に進むという。これまで恣(ほしいまま)にしてきたIT先端企業のイメージは、全て借り物であった。

 


(5)「1940年代、中国共産党は国民党による封鎖と軍事攻撃を受けて、経済的に苦境に立たされた。そこで、陝西省延安の南泥湾を開墾し、自救のための大生産運動を展開した。

専門家は、ファーウェイの南泥湾プロジェクトは成功しないとの見方を示した」

 

専門家は、ファーウェイの多角化経営は成功しないという。多分、政府からの補助金が出ないからだろう。IT部門では、補助金漬けであった。

 

(6)「中国経済評論家の王剣氏は、大紀元に対して「ファーウェイはノートパソコンやタブレット端末などを製造するのに、米インテル社などの半導体が必要だ。これも米政府の許可がなければ、インテル社などはファーウェイに供給できない」と述べ、ノートパソコンは同社の今後の主要事業になれないと指摘した。同氏は、柱となる事業がなく、石炭などの伝統産業だけでは、ファーウェイの返り咲きは難しいと示した

 

中国産業は、補助金で成り立っている部門が多数である。ITは、その典型例である。米国の半導体禁輸であえなく「討ち死に」とは、中国経済の先行きを暗示している。トランプ前米大統領の輝かしい「レガシー」となった。

 

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