テイカカズラ
   


欧州では、一斉に中国の存在に警戒の目を向け始めた。中国は、EU(欧州連合)分断を狙って中東欧17ヶ国へ接近し、中国との定期会合「17+1」を開催するまでになった。だが、今年の首脳会談では17ヶ国のうち6ヶ国が出席せず、閣僚が代理出席する事態を招いている。理由は、中国が約束した経済支援もなく、中東欧諸国からの輸出も増えないためだ。中国の大風呂敷が破綻した結果と言える。

 

こうした背景の中、エストニアの対外情報機関が年次報告を発表し、中国を厳しく批判する内容で注目されている。それによると、中国共産党は世界支配を目論んでいるというもの。中国はこれに抗議して、内容の変更を求めたが拒否された。欧州に広がる中国警戒論の一端を示している。

 


『大紀元』(2月20日付)は、「『北京主導の声なき世界』エストニア報告書が警告 中国の変更要求を拒否」と題する記事を掲載した。

 

エストニアの対外情報機関が、2月12日発表の年次報告書によると、中国共産党(中共)が経済的利益の誘惑やスパイ活動、エリートとの関係構築などで海外への影響力を高めていると指摘している。欧米との対立が激化する中、中共は欧米を分断する戦略を立てているという。

 

(1)「報告書は、中共の指導部が世界を中国の技術に依存させるという明確な目標を持っているとし、中共が投資や5Gネットワーク技術などを通じてエストニアに浸透していると警告している。特に中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中国版の衛星測位システム・北斗について言及した。エストニアは、トランプ前米政権主導の「5Gクリーンネットワーク」に参加し、華為技術などの中国サプライヤーを排除している」

 

ファーウェイの「5G」は、米国からの禁輸措置で大きな打撃を受けている。だが、中国版の衛星測位システム「北斗」を使って、世界支配を目論んでいることは疑いない。エストニアは、早くから中国の意図を見抜いてきた国である。

 


(2)「報告書は、中共の外交政策が提唱するいわゆる「人類運命共同体」の実現は

「北京主導の声なき世界」につながると警鐘を鳴らした。駐エストニア中国大使館は14日、「強い反対」の声明を発表し、「エストニア人民に対する中国人民の感情を傷つけた」とし、エストニア当局に報告書の内容変更を求めた。エストニアのウルマス・リンサル外相は、この要求を拒否した」

 

一端、発表された報告書が、中国の抗議で内容を変更するはずがない。こういう点が、傲慢な証拠である。

 

(3)「同外相はエストニア公共放送(ERR)に対し、報告書は「専門知識に基づいた安全性評価である。それは決して、中国との二国間協力を全く進めないということではない。両国の安全保障に役立つ場合はそうすることもある」と述べた。そして、「欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)は、世界における中国(共産党)の影響力の増大について議論している。(中略)エストニア政府は独自の対中政策を採用している」と付け加えた」

 

下線部は、事実である。NATOは、中国の軍事的脅威を除去するために2030年までに新たな戦略概念を発表することになった。「中国包囲」は、こうして世界規模で始まっている。

 


(4)「欧州の小国エストニアは、ソ連から独立した国の一つ。エストニアは長い間、隣国ロシアに神経を尖らせていたが、近年、中共の対外浸透への言及が増えているという。エストニア対外情報機関は年次報告書の中で、欧米との対立が強まる中で、「中国(共産党)の主な目的は、欧米を分断し、弱体化させることだ。中国(共産党)は、分断された欧州が弱い相手となり、米国のような強い抵抗力を持たなくなることを十分に認識している」と述べている」

 

下線のような発想法は、2010年代後半から起こったもの。この背景には、「一帯一路」計画がある。だが、中国経済の先細りが明確になるとともに、経済支援が滞っている。中東欧諸国は、次第に中国を見限った動きを始めている。

 

(5)「外国情報機関の責任者ミク・マラン氏は報告書の序文で、「中国(共産党)の活動は年々新たな安全保障上の懸念を高めている」とし、「中露協力は緊密化しており、関係の主導権は北京が握っている」と指摘した。北京は2012年から、中国と中東欧17カ国の経済協力の枠組み「17+1」を推進するなど、欧州の後背地で積極的に活動している。エストニアなど6カ国は2月9日、北京が召集したオンラインの「17+1」首脳会議に閣僚だけを派遣し、中共を意図的に冷遇したと見られている」

 

金の切れ目は縁の切れ目である。中東欧と中国では、地理的にも離れている。これまで、特別の結びつきもない中東欧が、中国と関係を持つのは金銭だけである。その金銭が切れれば、元の木阿弥となって当然であろう。

 

(6)「ルーマニア・アジア太平洋研究所(RISAP)のアンドレア・ブリンザ副主席は、米『VOA』に対して、中東欧諸国の中国への冷遇は欧州連合と米国、そして自国民へのアピールだと述べた。「『17+1』枠組みがゾンビ化しており、約束された投資が履行されず、輸入も増えていない。これに失望した一部の加盟国は脱退を考えている」と同副主席は指摘した」

 

中東欧と中国の「17+1」枠組は、ゾンビ化している。脱退を考える国もあるというから、中国も手を広げすぎて収拾がつかなくなってきた。自業自得の面が大きい。

 

(7)「米エンタープライズ研究所(AEI)研究員のゲーリー・シュミット氏も、『VOA』に対して「欧州各国を分断させようとする中国(共産党)の戦略はある程度の効果はあるが、中国の振る舞いに対する国際社会の反感を増幅させている」と述べた」

 

中国の狙った中東欧と欧州の分断戦術は、見事に失敗の様相が濃くなっている。こういう流れが強まると、中国には大きな逆風になる。中国は、明らかに窮地に立たされている。

 

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