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文政権は、これまで北朝鮮の属国のように振る舞って話題となってきた。文大統領が、訪欧の際に北朝鮮を説明して歩いたこと。北朝鮮へ原子力発電所を建設しようとしたこと。北朝鮮が非難する韓国政府閣僚を更迭する、などだ。

 

これに加えて新たに分かったのは、脱北の元政府高官や大学教授などに職業を斡旋せず、アルバイト稼業で生活させ冷遇していることだ。文政権は、鉄のカーテで覆われている北朝鮮情報を聞き出さず、北朝鮮のご機嫌取りをしているのである。北朝鮮の情報収集は、韓国政府の基本業務のはずだが、これすら放棄している。真意は、南北統一のためには「雑音」に耳を塞ぎたいのだろう。

 

『朝鮮日報』(2月23日付)は、「金正恩に代わり文大統領が行う 高官クラス脱北者の完全封鎖」と題する社説を掲載した。

 

(1)「かつて北朝鮮政府関係者だった脱北民たちが文在寅(ムン・ジェイン)政権の仕打ちによって生活苦にあえいでいるという。2年前に帰順(脱北)したリュ・ヒョンウ元クウェート駐在北朝鮮代理大使やチョ・ソンギル元イタリア駐在北朝鮮代理大使らは今もまだ明確な職場がない。前政権までは元政府関係者や専門職だった脱北民らは国家情報院、あるいはそれに関係する研究所などに勤務することができた。米中央情報局(CIA)でさえ把握できていない北朝鮮の極秘情報を数多く知り、北朝鮮に対する内側からの見方などを提供してきたからだ」

 

文政権は、北朝鮮に与えてきた「主敵」という位置を取り消した。代わって、日本が「主敵」とされている。こういう倒錯した情勢認識で、韓国は北朝鮮への防備が完全に緩んでいる。北朝鮮の脱北民が、やすやすと38度線を越えてきているのに気づかない例が跡を絶たないのだ。こういう状況だから、文政権は北朝鮮の末端情報に関心を持つはずがない。

 


(2)「リュ元大使は、「韓国政府から研究院などへの就職要請はなかったのか」との質問に「全くなかった」と伝えた。国家情報院関係の研究院などは、元北朝鮮政府関係者だった脱北民を新たに採用していない。研究院の顧問を退職した元脱北民も生活苦を訴えている。この脱北民は故ファン・ジャンヨプ元秘書と共に脱北した人物だ」

 

脱北の元北朝鮮高官について、韓国政府は情報収集もしないという。金正恩氏の発言の信憑性を調べるためにも元北朝鮮高官の握る情報は貴重なはずだ。そういう機会さえ放棄していることは、北朝鮮へ向けた最大の「好意」であろう。

 

(3)「北朝鮮で検事だったある脱北民は、包装のアルバイトをしている。韓国法務部や統一部(いずれも省に相当)などにとっては北朝鮮の元検事以上に北朝鮮の検察について詳しい人物はいない。ある脱北外交官の妻はコンビニでアルバイトをしており、北朝鮮で大学教授だった脱北民は日雇い労働をしている。彼らは特別な待遇は望んでおらず、ただ北朝鮮に関する情報や自らの経験を韓国社会に提供し、活用してもらえる機会を求めているだけだ

 

文政権得意の「人権論」から言えば、生命の危険を冒してまで脱北してきた人たちを、それなりに遇するのは義務のはずだ。文政権は、中国や北朝鮮の人権無視を非難する国連声明に賛同したことがない。文在寅の人権論は、味方の中朝にはルーズであり、敵の日本には徴用工や慰安婦の問題で畳みかけてくる「選択的人権論」である。要するに、まやかしなのだ。

 


(4)「
韓国政府は、「元高官だった脱北民への冷遇はない」と主張しているが、これはうそだ。元北朝鮮政府高官の脱北民が代表を務める団体への支援はすでに中断しており、事務所に対する監査も行われた。ある脱北民は、「かつて韓国軍や地方自治体から要請のあった安保関連の講演も今はほぼなくなった」と伝えた。収入源が遮断されたのだ。かつて北朝鮮外交官だった太永浩(テ・ヨンホ)議員に対し、元青瓦台(韓国大統領府)行政官の民主党所属議員は「変質者が暴れている」と侮辱した。これが彼らの本音だ。北朝鮮政権がかつて政府高官だった脱北民たちを攻撃する際に使う言葉がまさにこの「変質」と「背信」だ」

 

韓国与党は、脱北者を敵視している。金正恩氏を神格化しているので、その統治から逃れてきた者は許せないという立場であろう。

 

(5)「北朝鮮の元海外駐在官による入国は2013年には8人だったのが14年に18人、15年には20人にまで増えていた。これは国家情報院が当時報告していた内容であり、彼らの多くは北朝鮮のエリートたちだ。ところが最近はこの種の亡命が一気に減少したという。コロナの影響により海外で勤務する北朝鮮関係者の数そのものも減っているが、同時に「韓国に行けば生活苦にあえぐ」という話も伝え聞いているはずだ」

 

北朝鮮の元高官の脱北者数は、文政権になって一気に減少しているという。冷遇している結果であろう。

 


(6)「文在寅政権による元高官クラス脱北民に対する冷遇は、北朝鮮の高官たちに「韓国に来るな」というシグナルを送るものであり、脱北を最初から阻止する行為に他ならない。これは金正恩(キム・ジョンウン)兄妹が最も望んでいることだ。元高官クラス脱北民への冷遇は北朝鮮暴力集団の生存を助け、彼らの人倫に反する犯罪の幇助(ほうじょ)につながる。文在寅政権の親北行為はこのようなところにまで及んでいるのだ」

 

文政権は、南北統一が夢である。この夢を実現する上で、脱北者の存在は統一の正統性を疑わせることになる。韓国の国民が、脱北するほど嫌な北朝鮮と統一するのは「ご免」という世論形成を恐れているのだろう。

 

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2021-02-04

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