テイカカズラ
   

文在寅(ムン・ジェイン)氏は、政治には不向きな人物であった。あえて「あった」と過去形にするのは、韓国大統領の残り任期1年余で日韓関係打開の時間的ゆとりがなくなっているからだ。金大中(キム・デジュン)氏と比べれば、文氏の狭量さと日本に対する知識がゼロであったことが目立っている。金氏は、日韓併合時代の経験がある。文氏にはそれがないので、一方的な日本批判で凝り固まるという歴史感覚の相違がもたらしたものだろう。

 

在日コリアン2世として生まれ、日本で政治学者となった姜尚中(カン・サンジュン)氏の著作である『朝鮮半島と日本の未来』が韓国で出版された。以下はその書評であるが、文大統領の日本への知識のなさを指摘している。

 


『ハンギョレ新聞』(2月27日付)は、「『朝鮮半島の平和のためには日本を引き入れなければならない』」と題する記事を掲載した。

 

(1)「著者は、(南北)分断体制の解体と韓日関係の悪化という二つの流れの間に、必然的な関連まではないとしても、無視できない構造的な関連があると診断する。この本は、二つの流れの間にそのような関連が生じることになった地政学的な背景を考察し、韓日両国がこの悪循環から脱し、互恵の関係を回復する道を探る」

 

著者の母国は韓国である。だが、在日コリアン2世として日本で暮らしてきた。その経験から日韓和解の道を探っている。

 

(2)「北朝鮮が願ったのは、「核兵器保有」自体ではなく「体制の安全の保証」であったことがわかる。体制の安全を保証される最も確かな道は、米国と平和協定を結び国交を樹立することだ。北朝鮮がドナルド・トランプ政権に期待をかけ首脳会談に出たのも、そのような理由だった。朝鮮半島の南に目を向けてみれば、文在寅(ムン・ジェイン)政府の前に朝米交渉を最も積極的に後押しして南北関係の改善に向け邁進したのは、金大中(キム・デジュン)政権と盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権だった」

 

北朝鮮は、「核兵器保有」自体でなく「体制の安全の保証」を願っていると指摘する。そうであるなら、なぜ米国と交渉している最中に核開発を秘かに始める背信行為を行ったのか。北朝鮮を擁護し過ぎている。「体制の安全の保証」とは、金王朝の安全の保証である。国民を弾圧する政権を擁護するのは理解を超えた見方である。

 


(3)「南北関係と朝米関係が再び前進のアクセルを踏みはじめたのは、文在寅政権になった後、特に2018年以後だ。あいにくこの時期に韓日関係は最悪に突き進んだ。もちろん、両国関係がこじれ始めたのは李明博政権の時であり、朴槿恵政権でも冷ややかな関係は続いたが、韓日関係が前例のない対決の泥沼に陥ったのは2018年以降であることは事実だ」

 

文大統領は、南北関係ではアクセルを踏み、日韓関係ではブレーキを踏むという二律背反的な外交戦術に出た。これは、反日=国内の保守派叩き=南北交流促進という構図を描いていたに違いない。文氏の頭の中には、親日派=保守派=南北交流反対という方程式ができあがっているはずだ。南北交流は、国民的な課題である。野党とも十分に意思疎通して取り組むべきテーマである。それを、進歩派の専売特許と誤解している。

 

(4)「著者は、(日韓)両国関係がこのようになるまで文在寅政権が事態の悪化を防ごうと積極的な努力をしないのは、明らかに外交的な失敗だと指摘する。南北関係を進展させ朝米交渉を促進しようとするならば、朝鮮半島を取り囲む隣国を協力者として引き入れなければならないが、その点で未熟さを示したということだ。金大中政権が南北首脳会談の前に日本を訪問し、当時の小淵恵三首相と「韓日パートナーシップ共同宣言」を行い、日本を朝鮮半島問題の味方にしたことを忘れるべきではないという指摘だ」

 

文氏は、独立後の人間であるから「日本は極悪」という学校教育の中で育っている。こういう偏った教育によって、日本を知るという「知的営為」を放棄させられた犠牲者であろう。その意味では同情するが、文氏自身に国際情勢を知ろうとする欲求もなかったのだ。「学校秀才」の決定的な弱点である。「学校秀才」とは、与えられた物だけを習得し、自ら疑問を持たない「飼育型人間」を指す。

 

(5)「安倍首相は南北が近づき協力する雰囲気が強くなることに危機感を抱き、そのような流れを妨害するような態度を示した。そのような日本をいさめて朝鮮半島の平和が日本の得になるという点を説得しなければならなかったが、韓国政府はそのような努力を十分には行わなかった。著者は「文在寅大統領には『知日』が必要だ」ときっぱりと述べる」

 

安倍首相(当時)の国際感覚は抜群である。米中対立の長期化を想定していたように、「インド太平洋戦略」を構想し、トランプ大統領(当時)に賛同させた外交手腕は歴史的評価を与えるべきだ。この安倍氏の対北朝鮮認識は、北朝鮮が核を安易に放棄しないという見通しである。その点で、文氏の甘い認識をはるかに超えている。

 

南北が交流することは、紛争予防で歓迎すべきである。だが、日本として韓国が北朝鮮化する危険性を座視することはできないだろう。その意味で、文氏は日本との交流を絶っていたことが、日本の疑心暗鬼を拡大した。

 


(6)「著者は、今の日本政府に必要なのは、北朝鮮核問題を解決し北朝鮮と米国が関係正常化を果たすことが、東北アジアの平和の土台になり、日本の平和に繋がるという事実を深く認識することだと強調する」

 

このパラグラフを実現するには、韓国が反日を止めることである。歴史問題を持ちだし、仇討ち精神で対抗するならば、日本は従来どおりの姿勢で臨むほかない。外交とは、そういうものなのだ。

 

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