ムシトリナデシコ
   

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は2月25日、2020年を期限とした「脱貧困」で実績をあげた共産党関係者らを表彰した。その席上で「党創立100周年の重要なときに、わが国の貧困脱却攻略戦は全面的な勝利を収めた」と成果を改めて誇示した。

 

習指導部は2020年12月に開いた党最高指導部会議、政治局常務委員会で脱貧困の「達成」を宣言した。今回再び内外に宣伝するのは習氏の政治的遺産(レガシー)作りの意味合いが強い。22年秋には5年に1度の共産党大会が開かれる。12年に党トップの総書記に就いた習氏は異例の3期目を視野に入れての「政治劇」である。

 


『大紀元』(2月28日付)は、「中国当局、脱貧困を全面的達成と主張 各地の市民『嘘ばかり』」と題する記事を掲載した。

 

中国の習近平指導部は25日、北京の人民大会堂で、2020年を期限とする当局の「脱貧困」計画の達成を祝う表彰式を開催した。その一方で、中国各地の住民は、貧困地域の人々の生活が依然と厳しく、当局の「脱貧困を達成した」との主張を信じていないと語った。

 

(1)「習近平国家主席は表彰式で、「わが国の脱貧困攻略戦は、全面的な勝利を収めた。現行の基準の下で、農村部の9899万人の貧困層はすべて貧困から脱出した。832の貧困県と12万8000の貧困村は、(その『貧困』という)レッテルを剥がすことができた」と述べ、「人間界の奇跡だ」と自賛した」

 

農村部の約1億人(9899万人)の人たちが、貧困を脱したと習近平氏は自画自賛している。全て、習氏の業績のお陰だという論法である。だが、現実は以下のパラグラフで示すように厳しい現実に変わりない。背伸びした軍事費が、農村部の人たちを置き去りにしている。

 

(2)「河南省淅川県に実家のある王さん(女性)は、大紀元の取材に対して「共産党が言ったことを信じてはいけない」と語った。王さんの実家は河南省の山奥にあり、現在も生活苦が続いているという。「私たちの村では、村民が山から出る交通費すらない。普段、野菜を作って自給自足の生活を送っていて、肉料理はほとんど口にすることがない。父は電気を使うのもためらうので、お風呂などの設備はなおさらない。もちろんインターネットも繋がっていない」。王さんの村では水道水がなく、貯水池の水を使っている。「水が溜まったら、皆バケツを使って家に運んでいく」という。「医療費を出せないから、村の人は軽い病気なら我慢する。大病にかかったら、死を待つだけだ」

 

このパラグラフには、交通費もない医療費も出せないという人間以下の生活を強いられている一群の人々の暮しを伝えている。

 

(3)中国当局の脱貧困の基準は3つある。

1つ目は、(従来の)年間収入は4000元(約6万4000円)であった。当局は「貧困から脱した人々の平均年収は、9000元(約14万4000円)以上に達した。残りの貧困層の平均年収は、6000元(約9万6000円)以上だ」としている。

2つ目は、「衣食に困っていない」。

3つ目は、義務教育を受ける保障、基本的な医療保障、住宅の保障の「3つの保障」である」

 

中国当局の唱える脱貧困基準は3つある。これを全てクリアしたと言うのだが、パラグラフ(2)の生活実態はこれとかけ離れている。交通費や医者にかかる金もないのが農村部の実態だ。

 


(4)「湖北省武漢市に住む呉さん(男性)は、「物価が高いため、収入基準に達しても、政府が言う『衣食に困らず』『3つの保障』が実現できない」と語った。李克強首相は昨年5月、月収1000元(約1万6000円)の中国人は6億人いると発言した。呉さんは、中国当局の脱貧困計画は、実際は指導者や高官らが政治的な業績を上げるためであり、「統計数値上で、貧困問題を解決しただけだ」と批判した。社会保障制度の不完全、高い税金と低い福利厚生、政治腐敗が、中国の貧富の格差を作り出した主因だと呉さんは指摘した」

 

中国政府は、名目値の収入を基準にしているが、物価が上がっている。とても、「衣食に困らず」「3つの保障」は実現していないと指摘する。李克強首相は昨年5月、月収1000元(約1万6000円)の中国人は6億人いると発言した。これが真実であろう。

 

(5)「時事評論家の李林一氏は、「中国当局の脱貧困はねつ造だ。多くの地域はいまだに貧困から脱出していない」と述べた。李氏によると、中国当局は脱貧困計画を強制的に達成するために、国有企業や中央企業に対して、貧困地域の特産品などを大量に購入させた。習近平指導部が脱貧困計画で「全面的に勝利を収めた」と強調する一方で、共産党と国務院(内閣に相当)は、今年の優先課題に関する指示文書(中央一号文件)において、「貧困から脱出した県について、脱貧困の日から数えて5年間の過渡期を設ける」とした」

 

下線部は、脱貧困が一時的現象であったことを臭わせている。今後5年間の過渡期を設けて、経過観察するというのだ。李克強首相が、月収1000元(約1万6000円)の中国人は6億人いると発言したことを裏付けしている。この中国は、これからどこへ行くのか。

 

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