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文大統領はきょう、三一節(独立運動記念日)の記念演説を行う。これが事実上、日本に向けた最後の三一節演説になる。日本が、外交上の反応を見せ、行動する機会であるからだ。

 

文氏は大統領就任以来、この三一節演説で日本へ強硬姿勢を見せてきた。それが、どれだけ日本側の反発を呼んできたか分からない。三一節は、韓国国内行事であるが、対象国は日本である。日本がその内容に注目するのは当然であろう。

 

『中央日報』(3月1日付)は、「文大統領、徐々に軟化する対日メッセージ 注目集まる三一節の演説」と題する記事を掲載した。

 

(1)「強硬→衝突→宥和→混沌。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政府の過去4年の対日関係の流れだ。文大統領はきょう、任期中4回目の三一節(独立運動記念日)の記念演説を行う。政府が自ら釘をさした司法府判決尊重と被害者中心主義原則の中で、「結者解之」(自分の過ちは自分で解決する)次元の任期内韓日関係回復は可能だろうか。専門家は最近、青瓦台(チョンワデ、大統領府)がさまざまな解決方法を日本に提示したが、結局、日本政府および企業の資産現金化をしないという政治的決断がないなら、韓日関係の改善は次の政府の仕事になる可能性が高いと展望している」

 

強硬→衝突→宥和→混沌。これが、文氏の対日姿勢の変遷を示している。「混沌」のまま、結論が出ず、下線のとおり解決は次期政権と見られる。私もこの見方をすでに表明した。

 


(2)「2018年、任期最初の三一節記念演説で、文大統領は慰安婦問題を「反倫理的人権犯罪行為」と規定して「加害者である日本政府が『終わった』と言うべきではない」と話した。日本は直ちに反発した。菅義偉当時官房長官は「(2015年の)日韓合意に反するものだ。全く受け入れられず極めて遺憾だ」と明らかにしたが、韓国政府の「強硬ドライブ」は続いた。文大統領は慰安婦をたたえる日には「(慰安婦被害は)両国間の外交的解法で解決される問題ではない。日本が深く反省して初めて解決できる問題」と断言した」

下線部では、文氏が意気揚々としている姿が浮かぶ。国際法で解決済みの問題を穿り返して、日本へ要求を突きつけたことが、文氏の外交センスのなさを示している。

 

(3)「2020年に入ってからも反転はなかった。文大統領は慰安婦をたたえる日のメッセージで「政府はおばあさん方が『もういい』と言うまで解決方法を探す」としながら、被害者中心主義が最も重要な原則であることを再確認した。光復節の祝辞では「(徴用関連の)大法院判決は大韓民国領土内で最高の法的権威と執行力を持つ」と明らかにした。最高裁判決の「執行力」を強調したのは、日本企業の国内資産を現金化することも可能だという意味だと日本が受け入れるには充分だった」

 

文大統領側近には、国際法に明るい人材がいなかったことが、日韓を泥沼に陥れた原因であろう。文氏の安直な「人権論」が、国際法に敗れたことを証明している。

 

(4)「こうした流れに変化が見え始めたのは昨年末。11月に朴智元(パク・ジウォン)国家情報院長と金振杓(キム・ジンピョ)韓日議員連盟会長がわずか3日間隔で相次いで菅義偉首相に会って協力メッセージを伝えた。東京オリンピック(五輪)を、膠着状態に陥った北朝鮮問題進展の契機にしようとする文大統領の意中を反映した宥和の歩みだった」

 

文氏は、東京五輪を利用して日米韓朝4ヶ国首脳会談を思いついたが、余にもハードルのたかい夢物語である。トランプ氏が、米大統領であれば実現性はあったかも知れない。バイデン大統領の外交手法では、不可能な夢である。


(5)「今年1月、ソウル中央地方法院(地裁)が、日本政府が慰安婦被害者に賠償するよう命じる判決を下して再び分岐点を迎えた。文大統領は1月の新年記者会見で宥和的メッセージを述べて状況管理に努めた。判決に対して「困惑している」と述べ、一貫して内容・手続き上の欠陥を指摘してきた慰安婦合意に対して「政府の公式的合意だったことを認める」と話した。また「現金化などは望ましくなく、外交的な解決方法を探すことがさらに優先」としながら180度変化した立場を出した」

文氏が、方向転換したのは今年に入ってからである。「時すでに遅し」だ。韓国議会が、次期大統領選に向けて動き始めている。日本と融和する法案を提案しても、選挙に不利と見れば受け付けないであろう。文氏が、政治家としての勘が鈍いことを証明するだけである。文氏の外交感覚が、完全に狂っていたとしか言いようはない。

 


(6)「ソウル大学国際大学院の朴チョル熙(パク・チョルヒ)教授は「慰安婦合意に対する文在寅政府の立場は破棄と尊重を行き来して、事実上、自己否定に近い姿を見せた」とし「関係改善のためには韓国が韓日関係の復元を望むという真意が入ったメッセージを正確に伝えなければならない」と話した。聖公会(ソンゴンフェ)大学の梁起豪(ヤン・ギホ)教授は「韓国は司法府判断尊重、被害者同意という原則を守りながらも日本の信頼を回復しなければならないという三重苦を抱えている」とし「まず国内議論を通じて自主的な解決方法を導き出し、これを元に日本に提案するというような責任感ある態度を示差なくてはならない」と提案した」

 

文氏には、自ら泥を被っても日韓関係を解決するという決意がない。日本が、妥協してくるのでないかという甘い感覚である。金大中氏のような見識がない以上、日韓関係は冷却化したままであろう。

 

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