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習近平氏の「長期覇権」確立において、台湾開放が不可欠である。習氏の目指す「偉大なる中華再興」では、台湾を中国領にすることが求められている。習氏は、85歳になる2035年まで国家主席の椅子を離さないと見込まれている。となると、早い段階で「台湾攻略」を実現しない限り、習氏の威光が長続きしないのだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(3月3日付)は、「『22年以降に台湾最大の危機』 元米大統領補佐官が警鐘」と題する記事を掲載した。

 

米上院軍事委員会は3月2日、アジア太平洋地域で最大の火種の一つとされる中国による台湾侵攻が起きた場合の米国側の備えを巡る懸念を表明した。出席したマクマスター元米大統領補佐官(国家安全保障担当)は「2022年以降が台湾にとって最大の危機を迎える時期になる」と警鐘を鳴らした。

 


(1)「マクマスター氏は、トランプ前政権で17年~18年に大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めた。現在は米スタンフォード大学フーバー研究所の上級研究員だ。同氏は委員会のヒアリングで中国にとって「台湾は次の大きな目的」であり、大規模な戦争につながりかねない「最も重要な引火点」であると述べた。潜在的な軍事衝突の可能性を巡る質問に対し、北京冬季五輪や5年に1度の共産党大会が終わった後の22年以降が台湾にとって最大の危機を迎えると指摘した」

 

来年の北京冬季五輪は、新疆ウイグルの人権弾圧を理由に、欧米から不参加論が聞えてきている。仮に不参加国が出れば、習氏はメンツを潰されたと怒り、台湾攻撃を仕掛けるかも知れない。独裁者には、そういう気まぐれなところがある。

 


マクマスター氏は
、中国が台湾を攻撃する場合、台湾を防衛しようとする米軍を阻止し、障壁を作るために南シナ海で軍事拠点化を急いでいると指摘している。同氏は、上院軍事委員会に対して、台湾と南シナ海地域で米国の軍事力を保ち、軍事的存在感を維持するよう進言した。

 

台湾をめぐって、米中間で軍事衝突が起きた場合、マクマスター氏は「双方とも莫大な代価を支払うことになるだろう」と述べた。一方で「強い軍事力を誇るわれわれ米軍を前に、人民解放軍は莫大な損失を被るだろう」とも付け加えている。

 

(2)「中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席について、香港や新疆ウイグル自治区での取り締まりを引用しながら「彼は中国を再び完全なものにしたいと考えているだろう」と話した。外交問題評議会が1月に発表した報告書「プリベンティブ・プライオリティ・サーベイ」で、台湾を巡る米中間の深刻な危機は初めて最高レベルの紛争に指定された。この報告書によると、米国の国益に対する危険度は北朝鮮の核開発問題に続く2番目の脅威となった」

 

台湾問題が、米国の国益に対する危険度において、北朝鮮の核開発問題に続く2番目に上げられている。これは、米国が不退転の覚悟で台湾を防衛するという意識の表れである。

 

(3)「中国が、台湾を侵略した場合に米国が長年続けてきた戦略的曖昧の政策の代わりに、いわゆる戦略的明晰(めいせき)を容認し、台湾防衛を明確に誓約すべきかどうかを問われると、マクマスター氏は現在の政策は「適切だ」と述べた。「特に台湾に対する(武器売却に終了期限を設けないことや武器売却に関する中国との事前協議をしないことなどを定めた)『6項目保証』を公表した後がそうだ」と指摘した」

 

米国は、台湾への武器売却で制限を設けていない。中台の危機が高まれば、それに応じて武器売却を行なう取り決めである。よって、中国が台湾を脅せば脅すほど、中国の首を占めるシステムである。

 

(4)「マクマスター氏は、トランプ前政権とバイデン政権がともに台湾を保証し、中国に明確なメッセージを送るために行動してきたと語った。台湾が22年以降の「最大の危機」の期間を迎える前に「(台湾)自身を(中国が)消化できないようにするために(台湾が)防衛を強化する」ことを米国が支援することだと述べ、その行動が米中武力紛争のシナリオを防ぐためのカギになると語った」

 

台湾が、完全な自衛を可能にする武器弾薬を持つことが、中国の攻撃を防ぐ手段になる。もはや、中国を刺激しないことが、台湾を守る道とされた消極的防衛から、軍備を十分に持って対抗可能な能力をつけることが防衛手段となってきた。米台が、積極的に中国へ対抗する姿勢を見せ始めた。

 


(5)「公聴会では、他にもさまざまな意見が出た。共和党のトム・コットン上院議員は、中国の台湾に対する動きが大国間の先端技術競争に影響を与える可能性を示唆した。 「中国が台湾を侵略して併合すれば、中国が半導体チップで世界をリードする生産国になるだろう」と述べた。米ボストン・コンサルティング・グループによると、台湾は世界最大の半導体生産国で、世界全体の生産量の22%を占める。公聴会で発言したブルッキングス研究所に務める外交政策専門家のトーマス・ライト氏は、戦略的曖昧さの概念について「再考しない」と述べ、米国が台湾への関与、中国への抑止を示すのは行動を通じてであると付け加えた」

 

中国は、台湾の半導体を支配したい欲望に駆られている。これは、間接的に米国への軍事対抗を意味する。こうなると、米国は台湾に対して消極的態度を捨てることを求められていることだ。

 

英独仏の海軍も、インド太平洋戦略に加わる可能性が出ている。中国が、迂闊に台湾攻撃を仕掛けると、一挙に戦線拡大という危機を招き兼ねない。中国は情勢判断を誤ると、習氏が2035年まで国家主席に止まる夢は吹き飛ぶ。危ない橋を渡ることになろう。

 

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