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米中対立の長期化に伴い、米国バイデン政権は外交・経済における対中対抗策を練っているが、軍事面での対抗策も樹立した。その内容は、次のようなものである。

 

米政府と議会が、インド太平洋地域で中国への抑止力を強化するため、2022会計年度(21年10月~22年9月)から6年間で273億ドル(約2.9兆円)の予算を投じる案を検討するというもの。沖縄からフィリピンを結ぶ第1列島線に沿って米軍の対中ミサイル網を築く。台湾や南シナ海の有事を想定している。『日本経済新聞』(3月5日付)が報じた。

 

前記の対中ミサイル網の設置場所には、日本や韓国が想定される。中国は、すでに日韓へ照準を定めたミサイル網を設置済みである。米国が、これに対抗するのは当然であるとしても、韓国は厄介な問題を抱えている。

 


韓国文政権は2017年、中国へ「3不」を約束する文書を手渡したとされている。3不とは、次のような内容である。

1)米国のミサイル網への参加しない

2)THAAD(超高高度ミサイル)追加配備しない

3)日米韓軍事同盟を行わない

いずれも国家安全保障に関わる重大内容である。自衛権は、国家固有の権利だ。文政権は、それを不用意にも放棄も同然の約束をしたのである。前後の見境のない、幼稚な政権と揶揄されている。

 

中国が、韓国へ制裁すれば半導体輸出を止めると応酬すれば良いだろう。中国の最大に泣き所は、半導体で自給体制が取れない点にある。今度は、韓国が強気で対抗する番である。中国の脅しを恐れることはない。韓国は、自国の「武器」に気付くべきなのだ。

 


『朝鮮日報』(3月6日付)は、「対中軍事圧迫に乗り出した米、中国に『3不』約束した韓国にブーメラン刺さるか」と題する記事を掲載した。

 

(1)「米国が推進している対中ミサイル網は、アジア・太平洋地域で米国の海洋主導権をけん制するための中国の戦略である「接近阻止・領域拒否(A2AD)」に対応する性格が強い。中国は1980年代から、太平洋上の島と島を結ぶ「列島線」を引いて段階的に米海軍などの活動領域を狭めようとする戦略を進めてきた。その第1段階である第1列島線は沖縄-フィリピン-マラッカ海峡を、第2列島線はグアム-サイパン-パプアニューギニア近海を連結するラインだ。中国は2020年代初頭までに第2列島線までを事実上「自分たちの庭」にしようと、努力を続けてきた」。

 

中国は、勝手に防衛戦を引いている。1列島線は、沖縄-フィリピン-マラッカ海峡。第2列島線は、グアム-サイパン-パプアニューギニア近海を連結するラインをマジノ線にしている。中国のミサイル網は、これに添って設置されている。

 

となれば、米国がこれに対抗するミサイル網を設置するのは当然のことだ。米中のミサイル網が対等になれば、中国は事実上、ミサイルを発射できないという「軍事均衡」が生まれる。核を保持しながら使えないのは、核報復を受けるリスクがあるからだ。ミサイル網もこれと同じ理屈である。

 

(2)「米国は、第2列島線までの中国進出は受け入れられないため、沖縄・フィリピンなど第1列島線に沿って中国に対する精密攻撃ネットワークを構築しようというのだ。海軍と空軍を中心として中国に対応する従来の戦略を修正し、地上発射ミサイルなどに重点を置いているといわれる」

 

米国は、地上発射ミサイルなどに重点を置いて対中防衛線を固める。海軍や空軍を中心として防衛するよりも効率的であるからだ。次第に、「ボタン戦争」の様相を呈してきた。

 

(3)「対中封鎖のための米国の代表的な新型地上発射ミサイルとしては、中距離巡航・弾道ミサイルなどがある。中距離新型巡航・弾道ミサイルは、2019年に米国が中距離核戦力(INF)全廃条約から脱退した直後に試射を行うなど、開発に拍車をかけている。射程は1000キロ以上で、沖縄やフィリピンなどから中国本土沿岸部を攻撃できる

 

下線のように射程1000キロ以上で、沖縄やフィリピンがその適地とされている。一見、ミサイル基地になると危険という意識は高まるが、報復攻撃という現代戦の立場から言えばそうではない。「無力」が一番危険という理屈になる。中国は、すでに日本や韓国へミサイル発射準備を終えているのだ。

 


(4)「米国の対中圧迫は、次第により具体的かつ強硬になりつつある。トニー・ブリンケン国務長官は「中国は21世紀最大の地政学上の宿題」と語り、「用いうる全ての手段の動員」も公言した。こうした流れの中で、中国を直接狙うミサイル網というカードまで本格的に切り出しているのだ。バイデン政権が「同盟と友邦の協力」を強調しているだけあって、北東アジアの中心的パートナーである韓日に対する賛同要求は予定されているも同然だ」

 

日韓が、米国の同盟国である以上、ミサイル基地として防衛することは当然であろう。戦争は、相手が弱いと誤解したときに引き起される。完璧な防衛ラインを引いていれば、誤解してミサイルを撃ち込まれることはないのだ。

 

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