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韓国は、在韓米軍の兵員2万8500人が削減されることに神経を使っている。その一方では、在韓米軍の握る統帥権を韓国軍に返還するように求める矛楯した行動を取っている。韓国軍が、統帥権を欲しいというのならば、在韓米軍の兵員数が減っても関係がないはずだ。

 

韓国は、在韓米軍兵員減少が韓国の重要性の低下と見ている。ならば、米韓同盟をより緊密化する意味で、「インド太平洋戦略」のクアッド(日米豪印)に加われば、在韓米軍兵員減少を気にしなくても済むはずである。だが、こういう複眼的な発想法を受入れないのである。

 


『朝鮮日報』(3月6日付)は、「在韓米軍2万8500人「魔法の数ではない」米国防次官指名者が削減の可能性を示唆」と題する記事を掲載した。

 

米国防総省政策担当次官に指名された人物が米議会の公聴会で在韓米軍の兵力について「魔法の数ではない」と証言した。中国への圧力戦略など米国の戦略的選択によっては現在2万8500人レベルの在韓米軍はいつでも削減可能という意味だ。

 

(1)「米国防総省政策担当次官に指名されたコリン・カール氏は3月4日(現地時間)、米議会上院軍事委員会の承認公聴会で、「韓半島の米軍態勢に調整が必要か」との質問に「韓国に対する米国の安全保障の意思は揺るがず、相互防衛条約と一致する」としながらも「(韓国防衛に対する)約束は兵力の『魔法の数』や特定の力量維持に縛られない」との考えを示した」

 

在韓米軍は、その配置が流動的という意味である。世界全体の米軍配置計画に基づいて行なわれるのは当然であろう。米韓同盟が現に存在している以上、米韓関係に隙間がなければ、取り立てて懸念する必要はあるまい。

 

だが、米韓同盟は一枚岩でない。米国の要請する「インド太平洋戦略」参加を留保しているからだ。韓国は、自分勝手な振舞で米国の動きに一喜一憂するのは本末転倒である。

 

(2)「その一方で、「バイデン大統領は先日、全世界の米軍配置態勢を検討すると発表したが、私は(在韓米軍配置に関する)結果を勝手に予測しない」とも伝えた。バイデン政権発足後、ドイツ駐留米軍の撤収計画中断が決まったため、在韓米軍にも大きな変化はないとの見方も出ているが、実際は全面的な米軍再配置の検討作業は今も行われており、在韓米軍もその対象になっていることをカール氏が認めた形だ」

 

韓国は、在韓米軍が米軍の世界配置の一環であることを忘れてはならない。

 

(3)「トランプ前大統領の時に、米国は米軍削減を交渉カードとし、同盟国に防衛費分担金の引き上げを要求した。しかし在韓米軍再配置カードは実際のところトランプ前大統領の意向とは関係なく、米国防総省内部で引き続き検討されてきたという。米中の覇権争いが激しくなる中、米軍を韓国や日本など東北アジアに集中配置するのは戦力運用にプラスにならないことがその理由だ」

 

今後の米中対立の長期化を前提にすれば、在韓米軍の兵員数が減らされることは、十分にあり得る。そういう事態になっても韓国が安心できる条件は、米韓が一体化することだろう。その努力を欠いてはダメなのだ。

 

(4)「実際にカール氏はこの日、中国の脅威に関する質問に「有事の際、中国が米国と同盟国に勝てないようにしなければならない」「インド・太平洋地域における米軍配置態勢はより幅広い地域に分散すべきだ」などの考えを示した。現在米軍は東南アジアなどで新たな米軍基地となる場所を物色しているという」

 

米軍は、小部隊ごとに島嶼で陣地を構える分散主義に変更している。中国軍の奇襲攻撃に備える戦術である。米軍が、対中国戦でここまで神経を配っているのだ。韓国が、われ関せずでいられないのは当然であろう。韓国は、自ら進んで「インド太平洋戦略」へ参加するくらいの気配りをしなければ、米韓同盟に軋みを生じよう。

 

(5)「カール氏はこの日、「在韓米軍は韓国防衛に集中すべきか、あるいは他の地域の問題にも活用されるべきか」との質問に「我が軍が最適化され、全世界で浮上する新たな脅威に対して効果的に対処するためには、作戦の柔軟性を必ず維持しなければならない」と回答した。在韓米軍を東北アジアやそれ以外の国際紛争地域に投入するための準備が必要という意味だ」

 

米軍の最大の関心事は、インド太平洋戦略である。朝鮮半島防衛ではない。ただ、米韓同盟という誼を考えれば、米国へ協力する姿勢が、朝鮮半島の安全保障に寄与することくらい、外交の常識だ。それに気付かずに「我が儘」な行動を取れば、いずれ米国が冷たい対応になることも覚悟すべきであろう。

 

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