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韓国は、中ロから外交戦を仕掛けられている。米国主導の「インド太平洋戦略の」クアッドに、韓国が参加しないようにけん制するためだ。今から約120年前、日本、中国、ロシアが朝鮮をそれぞれ自国へ引っ張りこもうと権謀術策を展開した。いままた、その再現である。韓国の歴史は、周辺国に振り回されていることを証明する形である。はっきりと意思表示しない結果だ。

 

ロシア外相ラブロフ氏は韓国訪問を前に、モスクワで19日(現地時間)に行った韓国特派員とのオンラインインタビューで、今回の訪問での韓国側との会談の主要議題に関する質問に対し「アジア太平洋地域で、韓国はロシアの非常に重要で展望あるパートナーだ。アジア太平洋地域の問題も協議する」と答えた。『聯合ニュース』(3月23日付)が報じた。

 

ラブロフ氏は、「インド太平洋戦略の枠内で取られる措置を注意深くみると、それらはブロック化の思考に基づいており、ある肯定的な過程ではなく特定の国々に反対するためのブロックを構築しようとしている。特定国家の抑制が目標として宣言されている」と批判し、同戦略が中国、ひいては中国と戦略的協力関係にあるロシアを狙っていることを指摘した。

 


『日本経済新聞 電子版』(3月25日付)は、「対米けん制「韓国に触手」ロシア外相、8年ぶり訪韓」と題する記事を掲載した。

 

ロシアのラブロフ外相は25日、約8年ぶりに訪韓し、韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相と会談した。ラブロフ氏は会談後の共同記者会見でミサイル挑発を再開した北朝鮮の核問題に関連し「解決のため関係国の交渉を早期再開すべきだとの立場を堅持する」と述べ、米朝に日中韓ロを加えた6カ国協議の枠組みの必要性を強調した。

 

(1)「2時間弱の鄭外相との会談では、朝鮮半島情勢について「踏み込んだ協議をした」(鄭外相)という。ラブロフ氏は「朝鮮半島を含む北東アジアの安定維持にむけた努力の重要性を強調した。軍拡競争の継続やあらゆる軍事活動の拡大を拒否することを意味する」と語った。ロシアは朝鮮半島の非核化にむけた議論がロシア抜きで進むことを警戒する。トランプ前米政権は金正恩(キム・ジョンウン)総書記とのトップ交渉を進め、中ロは深く関与できなかった。6カ国協議の再開提案で米国の独断専行をけん制する」

 

ラブロフ氏は、6ヶ国協議を持ち出した。この協議は、時間だけ掛けて北朝鮮に時間稼ぎされるだけという最悪事態をもたらした。ロシアにも解決案はないのだ。ただ、発言権だけを確保しようという狙いである。

 

(2)「今回は、韓ロ国交30年の記念行事に合わせての訪韓だが、ロシアには韓国との連携を強調することで、日米韓の同盟強化に動くバイデン米政権をけん制する狙いがある。安全保障は米国、経済は中国に依存する韓国は米中対立のはざまで立ち位置に悩む。そんな韓国を取り込み、日米韓連携にくさびを入れたい考えだ」

 

中朝ロは、日米韓三ヶ国の結束にひび割れを起こそうと狙っている。強固な同盟をつくられたら不利になる、という損得論である。

 

(3)「ラブロフ氏は訪韓前の22~23日には中国で王毅(ワン・イー)国務委員兼外相と会談し「人権問題の政治化に反対」するとの共同声明を発表。対米共闘を前面に押し出していた。ラブロフ氏は訪韓前の韓国メディアとのインタビューで、米国のインド太平洋戦略について「特定の国々に対抗するブロック」づくりが狙いだと批判した。両外相の共同記者会見では言及はなかったが、中国の顔色をうかがう韓国は同戦略と距離を置いており、ロシアは韓国との連携を探った可能性もある」

 

同盟国結成が、最も安全を確保する道である。ドイツの哲学者カントは、『永遠平和のために』(1795年)を出版し、同盟論の利益を説いている。同盟は、仮想敵が存在するから成り立つ。ラブロフ氏の指摘する「特定の国々に対抗するブロック」づくりは、同盟にとって不可欠の要件である。

 

(4)「前回の外相会談は2019年6月にモスクワで開かれた。18年には韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領がロシアを訪問してプーチン大統領と会談し、同氏を韓国に招待していた。今回の会談で韓国側はプーチン氏を改めて韓国に招待。両国は新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いた段階で訪韓日程を協議することで合意した」

 

同盟に入って安全保障の基盤を固め、周辺国と交流することはなんら問題にならない。ただ、韓国が米韓同盟という基軸をないがしろにすることは、相手国から侮られる危険性を生むのである。韓国は、先ず米韓同盟の基礎を固めるべきである。それが、安全保障の基本である。