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米国のシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)が超党派の委員会を立ち上げ、米韓同盟についての勧告案を作成した。報告書には、日本があらゆる多国間構想の中心であり、この日本といがみ合うことの無益を指摘している。反日は、韓国国内で政治的な意味があっても、外交的には有害であると示唆しているのだ。

 

この報告書は、CSISのジョン・ハムリ所長とハーバード大学のジョセフ・ナイ教授が2カ月にわたり委員会を率いて討論したものである。討論に参加した人たちは、錚々たる顔ぶれで米国を代表する戦略家ばかりだ。

 

リチャード・アーミテージ元国務副長官、ランドル・シュライバー元国防総省次官補、ウェンディ・カトラー元米貿易代表部副代表、国家安全保障会議(NSC)のメンバーだったカトリーヌ・キャッツ氏、スミ・テリー氏、マイケル・グリーン氏などである。米国政府の元高官であることに注目したい。これは、米バイデン政権の政策を予告していると見られるからだ。

 


今回の報告書の目的は、文在寅(ムン・ジェイン)政権末期であると同時にバイデン政権発足直後の今、米韓同盟関係のロードマップを作成することにあった。

 

『朝鮮日報』(4月4日付)は、「ワシントンの戦略家たちが韓米同盟をのぞきこんだ」と題する寄稿を掲載した。筆者は、ビクター・チャ米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国部長である。

 

(1)「第三に米国は信頼を強化するためより多くの対応を取らねばならない。トランプ前大統領は米国に対する北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の脅威と韓国に対する短距離ミサイルの脅威を分けて対応し、同盟国としての信頼を地に落とした。委員らは韓半島に米軍が駐留することで両国が「運命共同体」になることを最高位クラスに改めて確認し、ミサイル防衛と攻撃能力を含む韓米合同の国防力全体をアップグレードし、新たな拡張抑止力に向けた対話を始めなければならないと信じる」

 

韓国は、在韓米軍の存在について「雇い兵」程度の認識である。これが、米国との摩擦を生む原因だ。一国に他国軍隊が駐留することは、「運命共同体」の証である。その重みを考えれば、「二股外交」という発想が浮かぶはずもないであろう。

 

(2)「第四にCSISの委員会は韓米同盟について「弾力的アジアの回復」という目標に向け事前に協力を進めるべきことを勧告した。これは民主主義と人権、貿易の自由、経済的強要からの安全、クリーンな無線ネットワーク、透明かつ公正な開発支援、信頼できるサプライチェーンなどが尊重され、ルールに則った環境で繁栄するアジアを意味する。これらの原則を支持することは韓国の国益にも全面的に合致する」

 

同盟国の根底は、価値観の共通が不可欠である。米韓同盟がギクシャクするのは、米韓の価値観が一致していない証拠だ。韓国は民主主義と言っても、それは民族主義という皮を被っている「エセ民主主義」である。文政権を見ていれば、その「エセ」ぶりがよく分かるのだ。

 

軍事面での協力だけでなく、経済・技術開発・環境など米韓が話し合える分野は多方面に及ぶ。このパラグラフには、「クアッド」の「ク」の字も出てこないが、クアッドが、4つの主要技術で協力することを合意して、準備が始まっている。半導体・電池・レアアース・医薬品である。韓国が、最も魅力を感じているのはこの分野である。

 


(3)「第五に委員会は両国の経済関係を韓米同盟だけにとどまらず、より幅広い経済ガバナンスの分野にまで拡大すべきであると信じる。デジタル貿易、気候変動、人工知能、グローバル医療分野、第4次産業革命などの分野で韓米両国は重要な基準とルールを制定する主体になることができる」

 

クアッドの技術分野の協力を指している。米国は、経済と技術で中国を圧倒すると宣言している。その意味で、技術開発は大きなテコになる。

 

(4)「第六に委員会は日本と韓国の双方に対して両国関係の改善を求める。韓国にとって日本との関係悪化は国内の政治的必要性にプラスになるかもしれないが、長期的にみれば韓国の戦略的な利益を害するだろう。日本は5G、サプライチェーン、ブルー・ドット・ネットワークを含むほぼあらゆる多国間構想で中心的な役割を果たす国だ。韓国は複数の多国間構想で少しずつ疎外されつつある。これは将来、韓国が徐々に、中国の気まぐれな影響力の下に一層置かれるようになることを意味する」

 

このパラグラフでは、日本が多国間構想の中心国と位置づけている。韓国は、この日本と対立することで、多国間構想から少しずつ疎外されているとズバリ指摘する。日本に対して歴史問題を振りかざし、「謝罪だ、賠償だ」と騒いでいる。その間に、世界情勢は先へ進んでいるのだ。これは、韓国がさらに中国の影響下に置かれることを暗示するのだ。

 


(5)「最後に北朝鮮に対して委員らはトランプ政権の4年間、過去のいかなる時よりも激しく拡大した北朝鮮の核と弾道ミサイルの問題に対してやるべきことがはっきりしたと信じている。いかなる政策を選択した場合でも、北朝鮮の非核化という目標に引き続き集中しなければならない。同盟国とも緊密に協力しなければならず、軍事訓練などの同盟資産を北朝鮮との交渉カードとして使ってはならない。その第1段階として核の「凍結」を引き出すことをためらってはならない。北朝鮮に対する制裁を緩和できるとすれば、それは実質的な非核化への見返りとなる時だけだ。首脳会談は北朝鮮が武装解除という本当の決断をした時のために取っておくべきだ

 

北朝鮮の核放棄が、朝鮮半島の平和を達成する最終条件である。この目的達成のために、南北首脳会談は取っておくべき、としている。文大統領は、トランプ前米国大統領と同じトップダウン方式を主張する。だが、余りにも落し穴が多過ぎるのだ。ボトムアップ方式で、問題点を一つ一つ解決する緻密さが求められている。

 

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