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韓国では、文政権の外交がふらついていることで失望感が高まっている。日米同盟は、ますます結束を強めているのに対して、米韓同盟は軋みを起こしているからだ。このままでは、アジアにおける日本外交の地位が高まり、韓国は日本の風下に立たされるという懸念の声が出てきた。

 

『朝鮮日報』(4月4日付)は、「三流国家、三流同盟」と題する記コラムを掲載した。筆者は、同紙のペ・ソンギュ論説委員である。

 

つい先日ある外交筋に会った。この人物は「米国のバイデン大統領は日本の菅首相とは来月対面で首脳会談を行うが、文在寅(ムン・ジェイン)大統領とは当分会わないだろう」と述べた。「完全に行き詰まり状態にある韓日関係を放置し、北朝鮮や中国に対する政策でも歩調を合わせないので、今会う理由はない」ということだ。米国のこのような雰囲気は韓国側にも伝わっているという。

 


(1)「先日の韓米による外相・国防相会議でも、韓米首脳会談は一切話題にならなかった。米国側の雰囲気は「もしかすると」から会議後には「やっぱり」に変わったという。文在寅政権の関心は「ただひたすら北朝鮮」で、同盟国よりも中国の顔色を必死でうかがっていた。同盟国として韓国には何も期待できないという失望が非常に大きかったというのだ。直前の日本訪問では現地の雰囲気は大きく違っていた。米国と日本は中国あるいは北朝鮮の核問題といったあらゆる懸案で歩調を合わせた。日本が米国にとって「1級同盟国」としての立場を固める一方で、韓国は「2級」どころか「3級」にまで落ちてしまったとの評価も出ている」

 

下線部分は、真実であろう。文政権の外交路線は、1980年代の「親中朝・反日米」という学生運動レベルから出ていないからだ。政権が変わらない限り、韓国外交は正常化しない。

 


(2)「米国は、中国をけん制するため韓米日による安保協力を常に要求してきた。米国、日本、インド、オーストラリアによる安保協議体「クアッド」にも、韓国が加わることを望んでいた。中味のない「首脳会談イベント方式」の北朝鮮との交渉にも反対した。それでも韓国政府は「クアッドを巡る話し合いは行われなかった」として参加を事実上断った。米国が強調する「非核化」「中国」「人権」も共同声明から抜け落ちた。韓国はトランプ前政権で行われ流れてしまった「シンガポール会談」の継承ばかりを訴えている。韓日関係については「改善したい」と言いつつも、実際は何の対策も語られなかった。米国は表向き「韓米同盟は強固」と口にするが、その裏では「中味がない形だけのもの」と感じているはずだ」

 

文大統領は、自分の業績だけしか頭にない。念願の南北交流を実現して、歴史に残る大統領を目指しているのだ。金正恩氏は、権力を独占する「金ファミリー」三代目である。今や、中国という後ろ盾がついている以上、文氏が単独で相手にできる北朝鮮ではない。日米韓三ヶ国がまとまって対応すべき「巨岩」になっている。

 


(3)「バイデン政権は、「自由・民主・人権」を前面に出す「価値観同盟」を新たに構想している。しかし韓国は北朝鮮と中国を意識しこれとは距離を置いている。その距離が広がれば広がるほど、韓国は米国にとって「あってもなくてもよい国」になるだろう。韓米同盟が三流になれば、韓国における安全保障も三流になる。米国の支持がないのに北朝鮮が韓国との対話に応じるだろうか。それどころか核やミサイルで脅迫し、日常的に挑発行為を続けるだろう。中国が、韓国を力で押さえ込もうとするのは分かり切っている。北朝鮮には経済支援の考えまで表明した。日本も堂々と韓国を無視するだろう」

 

米韓同盟の結束が緩めば、中朝は米韓の間にくさびを打ってくる。離間策を始めるのだが、すでにその第一歩は始まっている。文政権は、こういう外交の駆け引きが分からず、学生時代の気分で「親中朝・反日米」路線にしがみついている。

 


(4)「今、韓国国内では不動産政策の失敗により住宅価格が高騰している。その一方で、公務員たちは不動産投機に熱を上げている。政権による不正を隠すため検察を無力化し、法治を崩壊させたのだから、これでは独裁国家と全く変わりがない。政権によって憲法機関を掌握され、三権分立が崩壊し、民主主義まで危機的状況に追い込まれている1人当たり国民所得は3万ドル(約330万円)代前半から2年連続で低下傾向にある。K防疫を自慢したかと思えば、実際はワクチン接種で100位以下の国になった。文在寅政権の4年間で同盟関係は揺らぎ、国の実態は悲惨この上ない。経済規模が世界10位の大韓民国が「三流同盟」「三流国家」へと今も墜落を続けている」

 

下線の部分は深刻である。現在の韓国に起こっている現象である。文大統領は、口を開けば「三権分立」を唱えているが、あれはポーズである。政治権力が、司法を支配しているからだ。文政権寄りの捜査や判決が、次々と出ていることでそれは分かるのだ。

 

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