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中韓外相会談は、3月4日に中国厦門で開催された。中韓両国が、それぞれ発表した会談内容と未発表部分を繋ぎ合せると、中国のワンサイドゲームであったことが判明した。中韓双方の発表にはなかったが、中国はTHAAD(超高高度ミサイル網)の撤去を要求していた。中国は、韓国の自主権である国防にまで干渉しているのだ。

 

日本の注目すべき部分は、韓国が中国のTPP(環太平洋経済連携協定)参加に賛成したとされる点である。韓国はまだ、TPPへ参加申入れした段階で、これから交渉が始まる。正式加盟まで数年は掛かると見られている。韓国国内の条件整備に時間を必要とするためだ。中国は、こういう「星雲状態」の韓国に対して、早手回しにTPP参加の敷居を下げさせる言質を取ろうとした。

 


中国のTPP参加は、国有企業が壁で不可能である。もう一つ、年内に参加見通しの英国が、国内法で「独裁国との協定禁止」という立法措置を取って、中国のTPP参加阻止の動きを強めている。韓国を籠絡しても英国という強敵が存在する。英国は、大英帝国時代からの流れで、豪州・カナダ・ニュージーランドなどと強力なネットワークを組む。中国のTPP加盟などあり得ないのだ。

 

中国は、TPP加盟が不可能であることを知りつつ、ここまで執拗に話題に挙げている。その理由は、米国のTPP復帰を恐れている結果だ。TPP参加国が増え、さらに米国の復帰となれば、中国は完全に米国市場から閉出される。この恐怖感から、中国は騒いでいるのだ。この意味でも、米国は早急にTPPへ復帰することが必要であろう。

 


『韓国経済新聞』(4月5日付)は、「限韓令解除拒否、ワクチン協力は含む 都合の良い内容だけ選んで発表した中国」と題する記事を掲載した。

 

外交部の鄭義溶(チョン・ウィヨン)長官が韓中外相会談で中国に韓流禁止令の「限韓令」の解除を要求したが中国側はこれを事実上拒否した。これに対し中国外交部は韓国が中国の海外同胞へのワクチン接種計画と環太平洋経済連携協定(TPP)加入などを支持したと主張した。中国が韓国側の要求は無視しながら自分たちに都合の良い内容だけを選んで発表したという批判が提起されている。

(1)「鄭長官は3日に中国の厦門で開かれた韓中外相会談で、ゲーム、映画、放送など文化コンテンツ分野の協力活性化に向け中国が協力してほしいとしながら限韓令を解除するよう要請した。これに対し中国の王毅国務委員兼外相は「韓国の関心事をよくわかっている。持続して疎通しよう」と答え事実上拒絶の意思を表明した。王外相はこれに先立ち昨年11月の訪韓時に外交部の康京和(カン・ギョンファ)長官(当時)の解除要求にも「持続的に疎通することを希望する」と答えていた。昨年の立場から一歩も進んでいないものだ」

 

韓国が、大きな関心事の一つである「限韓令」(ゲーム、映画、放送、観光旅行の規制)解除要請に対し、中国はまともに答えずはぐらかしている。それにも関わらず、韓国は数々の言質を取られた。外交交渉では、韓国の完敗である。

 

(2)「中国は、代わりに韓国側の発表にはない内容を大挙公開した。中国外交部はこの日ホームページに会談関連発表文を公開し「両国は健康コード相互認証に向けた共助を強化し、ワクチン協力を展開してファストトラック適用範囲を拡大することにした」と明らかにした。韓国外交部の発表だけでなく、会談終了後の鄭長官の会見でも言及されていない内容だ。特に中国側の発表には韓国が海外在住中国人に中国産ワクチンを接種する計画の「春苗行動」を支持したという内容も含まれた。在韓中国人向けに中国産ワクチンが韓国に持ち込まれる可能性があることを示唆した言葉だ

 

中国外交の老獪さを見る思いがする。中国は、韓国外相を呼び寄せて、韓国側が未発表部分を発表して韓国を取り込む戦術である。中国産ワクチンが、在韓中国人向けとして韓国に持ち込まれる可能性を示唆しているからだ。韓国は、国内で許可されないワクチン接種が行なわれれば、それ自体違法である。韓国の主権を踏みにじるだけに、韓国はどう対応するのか。

 

(3)「中国外交部の発表には、韓国が中国のTPP加入提案を歓迎したという内容も盛り込まれた。中国側発表によると、TPP加入国でもない韓国が中国の加入を歓迎すると明らかにしたことになる」

 

このパラグラフは、何とも奇妙である。中韓が、TPPの「場外」で勝手な約束をしている感じである。これが、中国流外交であろう。相手の首を真綿で締めるように近づき、いざというとき「古証文」を出して、身動きできないように仕向けるのだ。韓国は、きっぱりと拒絶すべきであった。

 


(4)「韓国外交部は習主席の訪韓について、「双方は習主席の訪韓が新型コロナウイルスの状況が安定し環境が整い次第早期に実現するよう積極的に疎通することにした」と発表したが、中国外交部の発表文には習主席訪韓に関連する内容は一切含まれなかった」

 

韓国の最大関心事である習近平氏の訪韓について、中国は発表文で記載しなかった。これは、今後の中韓外交の駆け引き材料に使う腹積もりであることを示唆する。韓国が、習訪韓を一大イベントにしているから、中国は高飛車に出ているのだ。韓国は、完全に中国から属国扱いされている。そのことが、分からないのであろう。

 

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