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米中対立は、もはや互いに引くに引けない局面に達している。経済と軍事の両面において、半導体が占める役割は圧倒的である。第二次世界大戦までは、鉄鋼生産力が戦争の帰趨を左右していた。今や、その役割は半導体が担っている。

 

4月4日の中韓外相で、中国は韓国へ技術開発の協力を仰いでいたことが分かった。

 

中国外交部がホームページに掲載した会談結果を説明する文書によると、王毅・外相は韓国外交部の鄭義溶(チョン・ウィヨン)長官に対し、次のように述べている。『朝鮮日報』(4月5日付)から引用した・

 

1)韓中両国の経済は高度に融合しており、利益共同体になっている。

2)中国は韓国と戦略的に接触し、第三国市場における協力分野を発展させるスピードを高め、韓中自由貿易協定の第2段階の交渉を早期に妥結させたい。

3)5Gやビッグデータ、グリーン経済、人工知能(AI)、(半導体)集積回路、新エネルギー、ヘルスケアなどの分野で協力関係を強化し、高付加価値分野で協力するためのパートナーになることを望む。

 

前記の3項目を読めば、中国の技術開発で韓国へ大幅依存の姿が分かる。とても、米国と対抗できる力はないのだ。これを裏付ける事態が、次の記事によって証明されている。

 

『朝鮮日報』(4月6日付)は、「中国政府主導の半導体・燃料電池車企業が相次ぎ廃業 ひびが入った『テクノロジー崛起』」と題する記事を掲載した。

 

中国のインターネットメディア『騰訊網』は3月28日、半導体ファウンドリーの武漢弘芯半導体(HSMC)が投資誘致に使っていた最先端半導体製造設備は実態がない虚偽だったと報じた。HSMCは過去に「オランダの半導体製造設備メーカーASMLから中国唯一の極端紫外線(EUV)露光装置を輸入した」と説明していた。しかし、それは実はEUV露光装置ではなく、清華紫光集団(清華ユニグループ)など他の中国メーカーも保有しているありふれた設備だった。騰訊網は「銀行に差し押さえられた設備を買い取るという企業もない」と伝えた。

 

(1)「実際にはオランダのASMLは米国の対中規制で中国本土にはEUV装置を1台も輸出していない。簡単に確認できる噓にだまされ、中国政府はHSMCに1280億元(約2兆1600億円)を支援したが、結局これといった製品を作ることができないまま、32日に廃業した。中国政府が主導する「テクノロジー崛起(くっき)」に至るところでひびが入っている」

 

補助金目当てに噓の申請をする。これは、中国全般に見られる現象である。地方政府は、補助金を出す際に専門知識がないので簡単に騙されるのだ。橋梁建設で、建築と無関係な理髪業者が建設請負いに名を連ねて話題になった。儲かると聞けば、見境がない社会である。

 


(2)「半導体、スマートシティー、スマートカーなど、イノベーション分野で巨額の政府資金をつぎ込んだ事業で、廃業する企業が相次いでいる。数兆~数十兆ウォン規模の大型プロジェクトの失敗が相次ぎ、中国政府は「新興産業への各地方政府の投資が過熱している」と直接警告に乗り出した。
中国の半導体業界では「ランウェイチャオ(爛尾潮=相次ぐ破綻廃業)」という言葉が流行している。これら企業はいずれも設立から4~5年の新興企業で、中には地方政府系の投資会社が過半数株式を握る「準国有企業」も多い」

 

中国の半導体業界では、「ランウェイチャオ」(相次ぐ破綻廃業)という言葉が流行しているという。この体たらくで、米国半導体産業と競争になるはずがない。マックス・ヴェーバーは、米国の「資本主義精神」を強調したが、中国に見られる無秩序と虚偽の充満する精神構造とは180度異なる。

 

(3)「現地業界は、「技術産業の基本も知らない官僚のやみくもな投資と専門性を欠く経営が露見した」と評している。地方の官僚が中央政府に良い格好をするため、「イノベーション事業」と聞けば、事業計画書をまともに検証することもなく、投資を実行してしまう慣行が問題の原因だ」

 

技術に素人の官僚と起業家が、タッグを組んで「一儲け」を企んでも成功するはずがない。膨大な時間と資金が浪費されるだけで終わるのだ。

 


(4)「半導体だけではない。国営新華社通信は3月17日、今年の全国人民代表大会(全人代)と全国人民政治協商会議(全国政協)でこれまで7年連続で言及された「新エネルギー車(NEV)」が政府活動報告から抜け落ちたと報じた。政府活動報告は中国政府が年間で集中する事業を定めるロードマップだ。自動車メーカーが、電気自動車(EV)や燃料電池車を開発するとして、政府の補助金を受け取った後、廃業する事態が相次ぎ、政府はNEVを政府活動報告から除外してしまったのだ

 

下線部は、補助金目当てにする必然的な失敗である。政府は、補助金支出が新産業育成に不可欠と信じ込んでいる。計画経済の欠陥でもあるが、欧米からの新技術移入杜絶も重なり、技術立上げ面で計り知れない損失を受けるであろう。

 

(5)「こうした状況が続き、3月11日の全人代後の記者会見で李克強首相に対し、「半導体など国家が主導するイノベーション事業が頓挫するケースがあまりに多い。どうするつもりか」という質問まで飛んだ。IT業界関係者は、「最近株式投資家が中国のテクノロジー企業への投資割合を高めているが、実体を伴わなかったり、誇張されていたりするケースが多いため、慎重にアプローチすべきだ」と指摘した」

 

3月の全人代でも、半導体など国家主導のイノベーション事業が、多く頓挫していることが問題になっている。中国最先端産業の半導体は、驚くことにこの程度である。

 

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