a0005_000024_m
   

中国当局は、1月1日より住宅ローンと不動産開発企業への融資枠を絞り、不動産バブルの沈静化に努めてきた。今年の潜在的危機のトップに、金融危機が上げられてきたほどだ。それが、ついに現実の問題となって表れて来た。

 

『ロイター』(4月4日付)は、「中国の小都市で住宅バブル崩壊危機、金融システムリスクの懸念」と題する記事を掲載した。

 

中国河北省の中小都市、タク州市にあるマンションの1室を購入したズーさんは、北京まで通勤できる鉄道を建設する約束を開発業者が果たさなかったため、住宅ローンの支払いを打ち切った。会計の仕事をしながら補償請求運動をしているズーさんを含め、3人の買い手にロイターが話を聞いたところ、業者の対応に腹を立てて昨年ローンの支払いをやめた買い手は1000人前後に上る。

 

一方、中国南西部の雲南省にある風光明媚(めいび)な都市、大理市では、小規模企業経営者のリーさんが、2年余りもマンション住宅引き渡しで待ちぼうけを食わされている。現在は両親も同居する形で家族が狭い借家に暮らすリーさん。「開発業者は2018年末から都合4回も引き渡しを延期している。彼らへの信頼は、もう完全に失せた」とあきれ顔だ。

 

(1)「ロイターは、タク州市のマンションを開発した上海株式市場上場の華夏幸福基業股分有限公司にもコメントを求めたが、回答はない。この会社は約57億ドルの債務でデフォルトを起こした、と報じられている。ズーさんやリーさんの苦労の背景には、中小都市で商売をする不動産開発業者が多額の債務を抱えて、どんどん首が回らなくなっているという状況がある」

 

中小都市の不動産開発業者は経営危機に直面している。後のパラグラフで示されているが、恒常的な人口流出に悩み、地元経済の先行きが暗いという共通項を抱えている。日本経済が1990年代以降に経験したことが始まっている。

 

(2)「業者の多くは、不動産市場が過熱気味だった16年から18年にかけて野放図な借り入れを進めた結果、今になって過剰債務と需要急減、規制厳格化という「三重苦」に見舞われている。アナリストによると、こうした問題はより小規模な都市に限定されている。大都市の需要は衰え知らずのため、大手の上場不動産開発業者の事業は引き続きうまく回るだろうという」

 

経営危機の企業は、過去の不動産バブル期に多額の債務を抱えたことが命取りになっている。バブル現象に目が眩んだ結果である。

 


(3)「一方で、今後は不動産セクターのデフォルトが増加し、金融機関や地方政府にも悪影響が及ぶのではないかとの懸念も示している。上海の不動産コンサルティング会社、同策房産諮詢のシニアアナリスト、ソン・ホンウェイ氏は「恐らく今年はデフォルトが増え、市場はどの業者の債務が多く、どの業者の案件が小規模な都市に集中しているかを見極めようとするはずだ」と述べた」

 

不動産企業のデフォルト増加は、金融機関や地方政府に波及する。中国政府が危機感を持っているのは、こういう事情が起こっているからだ。金融機関は不良債権を抱え、地方政府は土地売却収益の減少で財源不足に見舞われる。

 

(4)「中国国家金融・発展実験室(NIFD)のデータによると、昨年の不動産開発セクターの社債デフォルトは、前年から4倍増の266億元。今年も3月半ばまでに、華夏幸福基業の案件を筆頭に87億元に達したとされる。不動産開発セクターで今年に返済期限を迎える国内市場とオフショア市場の社債総額は、さらに42%増える見込み。規模では過去最大の9000億元に達する見通しだ」

 

中国当局のデータによれば、昨年の不動産開発セクターの社債デフォルトは、前年から4倍増の266億元(約4442億円)である。今年も3月までで87億元(約1452億円)で、年間ベースでは5811億円となり、昨年の30%増になろう。

 


(5)「こうした業者によるデフォルトの危険性によって生じる潜在的な金融システムリスクをアナリストらは懸念する。しかし、そのリスクがどれぐらいの大きさか見極めるのは至難の業だという。北京のZhixin Investment Research Instituteのエコノミストチームは、リポートで「借入比率が大きく、資本回転率が低調な一部の不動産業者は、短期債務返済の面で相対的に高い圧力に直面している。引き締め的な金融環境が今後、資金繰りのひっ迫につながり、不動産業者から信託基金、第三者の理財商品運用業者にまたがるクロスデフォルト(デフォルトの連鎖)が起きる可能性がある」と警告した」

 

中国当局は、住宅バブル抑制に動いている。借入比率が大きく、資本回転率が低調な一部の不動産業者は、資金繰りに窮する事態になろう。長年のバブルを放置してきたので、後始末は尋常でない。来るべきもの来たのだ。

 


(6)「ロイターが政府統計に基づいて計算したところ、中国全体で見れば住宅価格はなお上昇基調を維持しており、昨年の上位70都市の平均上昇率は4.9%だった。ところが、中国社会科学院のデータでは、最も規模が小さい19都市の住宅価格は、ピークだった17年と18年に比べて2桁の下落率を記録した。恒常的な人口流出に悩み、地元経済の先行きが明るくない多くの小規模都市では、住宅在庫が40カ月超分の販売数に匹敵する水準まで積み上がっていることが、調査会社CRICのデータで確認できる。別のアナリストは、開発業者が支出を抑えることで新規開発プロジェクトの落ち込みが長期化すれば、土地売却で資金を調達する傾向のある地方政府が、債務返済能力で影響を受けるのではないかとみている」

 

下線を引いた小都市は、人口流出に悩み住宅在庫が40ヶ月を超え、販売数に匹敵する事態を迎えている。この現象は、やがて大都市へ波及するはずだ。大都市でも2割が空き家(投機用住宅)になっている。すでに、実需で見た住宅需要は超過供給である。危機状態に突入していると言える。