サンシュコ
   

韓国ニュースに興味を持たれている方であれば、「ネロナムブル」なる言葉は先刻、ご承知と思う。この言葉が、さきごろ米紙『ニューヨークタイムズ』で紹介され一躍、「世界語」になった。ネロナムブルとは、「自分がすればロマンス、他人がすれば不倫」という身勝手さを嘲笑したものである。倫理観の喪失である。そう言えば、韓国の犯罪率は極めて高いのだ。

 

NYTは、「ネロナムブル(Naeronambul)」という表現を韓国語の発音通りに紹介した。この言葉は、韓国国民が批判する与党の態度を示しているとし、「私()がすればロマンス(マンス)、他人(ナム)がすれば不倫(ブルリュン)」という由来を説明している。NYTは、韓国二大市長選で与党が大敗した理由として、「ネロナムブル」を取り上げている。与党が、自己反省せずに野党など反対意見を批判してきた事実を指しているのだ。

 


最近の福島原発トリチウム問題でも、韓国政府は「ネロナムブル」ぶりを発揮している。自国の原発ではトリチウムを海洋放出しているのに、福島原発が行なうと発表したら、にわかに反対態度を表明。その理由が振っている。福島原発は爆発事故を起こして漏出しているトリチウムである。韓国は正常運転してきた原発であり、トリチュウムといっても福島とは次元が異なり「きれい」だとしている。

 

福島原発のトリチウムは、汚水を全て処理した後の「処理水」である。「汚水」ではないのだ。こういう初歩的なミスを冒して堂々と韓国の正当性を主張している。矛楯に気付かないのが韓国社会なのだ。まさに、「ネロナムブル」である。

 

『朝鮮日報』(2020年12月27日付)は、「外国語にない『ネロナムブル』」と題するコラムを掲載した。

 

(1)「1980年代後半、ソウルの住宅価格が恐ろしいほど上がった。非難の声が激しくなると、盧泰愚(ノ・テウ)政権は首都圏に住宅200万戸を建設すると発表した。当時のラジオ番組で、電話がつながったリスナーが「亡国的な不動産投機は根絶しなければならない」と声を荒らげた。ところが、司会者が「まとまったお金があったら何がしたいですか?」と聞くと、リスナーから「当然、家に投資しますよ」とあきれた答えが返ってきた」

 

この話は、韓国人が大なり小なり持っている性向である。「感情8割・理性2割」も突き詰めれば、「ネロナムブル」を象徴している。

 

(2)「大学教授団体による新聞「教授新聞」が今年の四字熟語に「我是他非」を選んだ。「私は正しく、他の人は間違っている」という意味だ。もともとは「ネロナムブル」を選んだのだが、これに合う四字熟語がなかったため、仕方なく「我是他非」にしたという。我是他非は「ネロナムブル」の本当の意味を表現できていない。そう考えると、「ネロナムブル」にぴったり当てはまる外国語の表現があるか気になった。米国在住の著述家チョ・ファユ氏は「英語では『double standard(二重規範)』という言葉が似ているが、『ネロナムブル』のようなニュアンスはない」と説明した」

 

「ネロナムブル」にぴったり当てはまる外国語の表現はないという。それだけ、韓国人の身勝手さが世界標準から外れていることを証明している。

 

(3)「現政権ほど「ネロナムブル」という言葉が多く使われた時期はなかった。チョ国(チョ・グク)前法務部長官は「ネロナムブル」の「ラスボス」として登場した。「チョロナムブル(チョ国+ネロナムブル)」という言葉まで生まれた。あきれたのは、この政権の青瓦台の各執務室には「春風秋霜」という言葉が掲げられていることだ。「他人には春風のように温かく接し、自分には秋の霜のように冷たく厳格にせよ」という意味だ。それなのに、実際の行動は「ネロナムブル」である。それでも恥じ入るどころか、かえって目をむいて腹を立てる。どれだけ独特の精神世界を持っているのか理解できない」

 

文政権ほど、ネロナムブルを貫いた政権はない。これは、相手を「味方・敵方」という分離して見る結果である。味方の脱法を許し、敵方に対しては積弊一掃という形で追及する。文大統領は、このパターンで政権を運営してきたが、ついに行き詰まった。支持率が30%まで低下し、不支持率は65%に達している背景である。

 

ここへ、「具合良く」福島原発トリチウム問題が降って湧いた。支持率引上げに、これを利用しようという魂胆である。日本政府は、これまで各国外交団に対して100回の説明会を開いてきた案件だ。情報公開してきたにもかかわらず、韓国政府は「初耳」のような振舞である。国民の手前、取り繕っているのは明白。韓国の原発は、トリチウムを海洋放出しているのに、日本はダメだという。「ネロナムブル」なのだ。