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文政権は、中国の鼻息を恐れている。だが、国民の反中意識は燃えさかっている。こちらは、中国が無遠慮に韓国文化の源流を中国と宣伝することへの反発が原因だ。反日とは違った意味で、「嫌中」が盛んである。

 

『大紀元』(4月29日付)は、「韓国江原道、『中国文化タウン』建設計画が中止へ 反対署名60万超え」と題する記事を掲載した。

 

韓国・江原道(カンウォンド)で建設予定の「中国文化タウン」の開発業者は27日、住民の強い反対を受け、プロジェクトの中止を発表した。韓国市民が、中国共産党による浸透工作に警戒を強めている、と一部の公民権活動家は分析した。

 


(1)「4月18日現在、「青瓦台の国民直接請願サイト」に建設中止を求める署名は60万筆を超えた。『ラジオ・フリー・アジア』の報道によると、同プロジェクトの費用は10億ドル(約1087億円)にのぼる。開発企業のコロン・グローバルは「莫大な損失を被るが、同プロジェクトを進めることができないことを理解している」とコメントした。韓国系米国人の公民権活動家である金世訓氏は、親中派の文在寅政権は韓国人、特に若者の間での支持率が低いことに加え、キムチや韓服などの文化的起源をめぐる韓中間の論争が市民の反中感情の高まりにつながっていると分析した」

 

韓国世論では、8割が親米派である。中国と日本へ親しみを持つのは、せいぜい数%に過ぎない。だが、文政権は「親中朝」路線である。学生運動時代に「親中朝・反日米」を叫んでいた延長線上にある。国民世論に沿った「親米路線」とは反対方向に進んでいる。

 

国民は、朝鮮戦争で中朝軍に痛めつけられた苦しみを忘れずにいる。だから、大規模な「チャイナ文化タウン」構想に反対を叫ぶのであろう。

 

(2)「金氏はまた、「この中国文化タウンのプロジェクトは、対中宥和政策の1つと見なされている。多くの韓国人は、同プロジェクトが中国共産党の影響力拡大の足掛かりになると考えている」と指摘した。同氏はさらに、韓国メディアが香港での抗議運動を大きく報道したため、韓国市民の多くが中国共産党による人権抑圧に嫌悪感を抱いていると説明した。「中国共産党の『一帯一路』は常に文化交流を口実に、地域の政治や経済に影響を与えようとしている。韓国人はこれには本当にうんざりしている」と指摘した。反対署名の発起人は「中国文化タウンの建設は、江原道・首府の春川巿內にある遺跡を破壊してしまう恐れがあるからだ」と反対の理由を述べた」

 

春川巿は、あの「冬のソナタ」の舞台になった風景のきれいな街である。計画されていた「チャイナ文化タウン」は、その遺跡が破壊される恐れもあって、反対運動が盛り上がった。参考までに書くと、「冬のソナタ」主人公、カン・ジュンサンの自宅一帯が、高層ビル建設予定地になるという。これまで、カン・ジュンサンの自宅は日本人観光客で賑わったが、次第に参観者も減ってきたので、建物の一部を保存して移転するという。

 

(3)「観光名所でもある江原道と中国人民網は2019年、春川市と洪川市に「中国文化タウン」を建設する協定に署名した。江原道の崔文洵知事はかねてから、同プロジェクトは民間企業が投資する観光建設プロジェクトであり、中国人が集団で暮らす「チャイナタウン」の建設ではないと主張している。しかし、国民は納得しなかった。同プロジェクトの面積は約120万平方メートルで、仁川の「チャイナタウン」の10倍規模と予定されていた。崔文洵知事は当時、プロジェクトの発足式で、これを「文化の一帯一路」と呼んでいた」

 

韓国特有の景色である春川市に、チャイナ文化センターは想像しただけで不釣り合いである。原色のけばけばしい色彩で、あの景色を台無しにされるのは我慢できなかったのであろう。かく言う私は、春川市へ行った経験はない。ただ、「冬のソナタ」の景色(特に川沿いの晩秋)が幻想的であったので記憶している。